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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第三章 悪夢
  第12話 時間

 
前書き
言い忘れていました。

前の話(いや、もっと前もかな)ぐらいから原作を見始めて、原作の言葉を結構引用するようになりました。

かなり省略はしてるつもりですけど、この話も最初の方は原作の言葉を引用しています。

このことを踏まえて見てください。あと、原作通りすぎですいません……
 

 
折紙「ワイヤリングスーツ……展開!」

彼女も、他の生徒と同じく倒れ伏していた。

意識を失う前に随意領域(テリトリー)を形成させ、ASTの武術、ワイヤリングスーツに変貌した。

これで、さっきの途方もない脱力感は消えたが、慣れない感覚のため、一瞬膝を突いてしまう。

しかし、折紙は脳に指令を発し、重力中和。床を蹴ると凄まじい勢いで廊下を駆けた。

それと同時に通信機から自分の上司……燎子の声が聞こえた。

燎子『折紙!?今あんたの学校の周囲に強力な零波反応が観測されてるわ!状況は!?』

折紙「広域に結界が張られている。このままでは非常に危険。応援を……ッ!」

折紙はそこで言葉を止めた。

理由は単純。

狂三「うふふ、折紙さん。そんなに急いでどちらに行かれますの?」

折紙「時崎……狂三……」

赤と黒で構成されたゴシック調のドレス姿の狂三が立っていたからだ。

燎子『何、一体どうしたのよ、折紙っ!?」

折紙「……精霊と接触した。交戦する」

燎子『っ!なんですって!?危険よ、離脱しーー』

気が散る。折紙は脳内に指令を発し、通信を遮断した。

狂三はクスクスと微笑みながら言葉を発した。

狂三「ふふ、今は邪魔してほしくありませんの。ここから先へは行かせませんわ」

折紙「……?」

狂三の言っていることに首をかしげたが、それも一瞬のこと。折紙は戦闘態勢に入った。








十香「な、なんだ……?」

十香は頭の中がシェイクされるような感覚を覚えた。

数十秒前から士道の名前をずっと呼んでいたが、士道が戻ってくる様子はない。

十香は士道との初めてのデートの時の様に士道が死んでしまう。そう思ってしまった。







すると、








頭がグラグラ揺れたと思うと、霊装と天使が顕現した。










十香「これは……っ……」

十香は自分の姿を見下ろして……完全ではないものの、光の膜で構築された霊装が顕現していた。

十香は勢いよく飛び上がると、2本の足でバッとその場に直立した。

十香「よし……いけるぞ!」

十香はぐっと拳を握り、教室を出た。

十香「シドー!どこへ行ったのだ、シドー!」

叫ぶも返事は返ってこなかった。

手当たり次第探すしかない。そう思い十香は駆け出した。

だが、その瞬間。

十香「っ!?」

十香はその場から飛び退いた。

理由は、十香目がけて銃弾よようなものが、黒い軌跡を描きながら迫ってきたのである。

十香「な……っ、誰だ!………お前は……」

その姿には見覚えがあった。

狂三「うふふ。ごきげんよう、十香さん。少しわたくしとお付き合いいただけませんこと?」

ドレスを纏い、銃を握った少女、時崎狂三が、にぃ、と唇の端を上げながらそう言った。










上条「狂三……今、何をした?」

狂三「うふふ、素敵でしょう?これは『時喰みの城』。わたくしの影を踏んでいる方の『時間』を吸い上げる結界ですわ」

士道「時間を……吸い上げる?」

士道が怪訝そうに言うと、狂三はクスクス笑いながら歩み寄って、優雅な仕草で髪をかきあげる。

常に、前髪に隠されていた左目が露わになった。

士道・上条「「なっ……」」

明らかに、異様だった。無機的な銀色に数字と針。

そう、狂三の左目は時計そのものだった。

逆回転しながら、動いていた。

狂三「ふふ、これは私の『時間』……命、寿命と言い換えても構いませんわ」

上条「寿命……?」

狂三「私の『天使』はそれは素晴らしい力を持っているのですけれど、その代償として、一度使う度に膨大な私の『時間』を喰らっていきますの。だから時折こうして、外から飛び退いた補充することにしておりますのよ」

士道「な……っ」

上条「……!」

狂三の言葉に士道と上条は戦慄した。

それが本当なら、今、結界の中に倒れてる人たちは、残りの命を吸い上げられているということになる。

その時、狂三は何故だか少し寂しそうな顔をした。

だがそれをすぐに凄絶な笑みに戻し、指先で士道のアゴを持ち上げてくる。

狂三「士道さん、私はあなたと1つになるためにこんなところまで来たんですもの」

士道「1つになるって……どういうことだよ」

狂三「そのままの意味ですわ。あなたは殺したりなんかしませんわ。それでは意味がありませんもの。……私が、直接あなたを食べて差し上げますわ」

上条「(1つになる…….?食べる……?……それにあの一瞬見せた悲しそうな表情……、士道と融合することでもう他の人の『時間』を吸い上げなくても済むってことか?)」

上条はそう考えたが『食べる』という表現が文字通りの意味か比喩的なものかは分からない。

上条は思わず自分の右手を見てしまった。

狂三「随分自分の右手が気になるようですわね」

上条「……」

狂三は指先を士道のアゴに当てながら顔だけをこちらに向けてきた。

上条は右手をずっと見て、狂三の方を見ていなかった。すると狂三が上条に顔を向けて不意に言ってきた。

狂三「実は、当麻さんにも時間を吸い上げて殺そうとしたんですのよ?」

上条「……何!?」

上条は思わず狂三の方に睨みながら見てしまった。狂三はそんな上条に構わず言う。

狂三「ええ。それをしたのは、あの日の路地裏で当麻さんが私の本当の姿……今の姿を見てしまった時ですわ……あなたが何故か苦しそうにしていたので……楽にしてあげようとしましたのに……」

その時、狂三はさっきまでの笑みとは正反対の真顔で、声のトーンを低くして、上条に言った。

狂三「あの時、あなたの『時間』を吸い上げることはできませんでしたわ。どういう原理を使ったのかは知りませんけれども ……」

恐らく上条が気づかない内に幻想殺しが発動していたのだろう。

口調からして、狂三は上条の幻想殺しは知らないようだ。

士道「狂三、俺が狙いなら、俺だけを狙えばいいじゃねぇか!なんでこんな……」

士道は思わず叫んでしまった。さっきとは違って狂三は愉快そうに言葉を発した。

狂三「うふふ、そろそろ『時間』を補充しておかねばなりませんでしたし……それに、あなたを食べる前に今朝の発言を取り消していただかないとなりませんもの」

士道「今朝の……?」

狂三「ええ。私を救うだなんて迷い言を」

士道「……っ」

上条「……」

士道は狂三の、あまりの視線の冷たさに、思わず唾液を飲み込んでしまう。

狂三「ねえ、士道さん。そんな理由でこんなことをする私は恐ろしいでしょう?関係のない方々を巻き込む私が憎いでしょう?救う、だなんて言葉をかける相手ではないことは明白でしょう?」

狂三「だから、あの言葉を撤回してくださいまし。もう口にしないと約束してくださいまし。そうしたから、この結界を解いて差し上げても構いませんわよ?もともと私の目的は士道さん1人ですもの」

士道「なっ……」

目を見開いた。その条件はあまりに簡単だった。狂三が士道をたかばっているのではないかと疑ってしまうほどに。

そして、嘘をついてる形跡もない。恐らく本気だろう。

狂三「きひひ、ひひ。さあ、早く止めなければなりませんわねぇ。急がないと手遅れになってしまう方もいらっしゃるかもしれませんわよォ?」

士道が言葉を撤回する。たったそれだけ。逆にしなければ結界の中にいる多くの人の命が危険に晒されることになる。

士道「結界を解いてくれ……でもお前を諦めない」

狂三「……え?何を言ってますの?」

狂三は士道と目を合わせた。士道は何かを決意した真っ直ぐな瞳でこちらを見ていた。

狂三「はぁ、呆れますわね……」

狂三はそう言うと、トントン、と軽やかにバックアップし、士道と距離を取った。

そして右手をバッと頭上きかかげる。

するとその手を中心として、ビリビリと空気が震え出した。



その瞬間、




ウウウウゥゥゥゥゥゥーーー



そんなけたたましい音が街全域に鳴り響いた。

狂三「この音が何の音か分かりますわよね?」

士道「っ、空間震警報……ッ!」

狂三は両手を広げて、士道と上条を交互に見ながら口を開いた。

狂三「きひ、きひひ、ひひひひひっ、さぁさ、どォしますの?今の状態で空間震が起こったなら結界内にいる方々をどうなりますでしょうねぇ!」

上条「狂三……テメェ!」

上条は思わず狂三の方を睨んでしまった。

すると、士道が何かを思いついたようなのとを言って、狂三に問いかける。

士道「狂三、おまえは俺を食べるのが目的って……言ってたな」

士道は背の高いフェンスを登り、頂上に足をかけて狂三の方に顔を向ける。

士道「空間震を止めろ。さもないと……俺はここから落ちて死んでやるぞ……!」

狂三「自分を人質に……?」

上条「(士道のやつ、何を………なるほど。自分が落ちても精霊の加護で死ぬことはない……でも狂三はこのことを知らないから、自分を人質にとっているように見えるのか……。士道のやつ、なかなか考えたな)」

上条は狂三と士道を交互に見ながら士道に感心していた。

しかし、狂三はそんなもの関係ないとばかりに言ってくる。

狂三「そんな脅し、やれるものならやってご覧なさいな!」

士道「……あぁ」

士道は静かに言うと身体をフェンスの向こうに投げ出した。

狂三「……っ!」

上条「士道!?」

上条も本当に落ちに行くとは思ってなかった。慌てて士道の方に向かう。

それより早く、狂三が士道の方に向かっていた。

フェンスの下を見るとら狂三が士道をお姫様抱っこのように抱き留め、そのまま、校舎の壁を垂直に登り、屋上に戻り、士道の身体を放る。

狂三「信じられませんわ!あなた、バカじゃありませんの!?」

上条「まあ、士道はバカだろうな……」

狂三が怒っている側で、上条が苦笑いしながら狂三の方に向いた。

上条「でも、これでハッキリしたな。士道は人質にするだけの価値があることが」

狂三「……っ」

士道「さあ、空間震を止めてもらおうか!ついでにこの結界も消してもらう!さもないと舌を噛んで死ぬぞ!」

狂三「何ですの……!?」

狂三は悔しそうな顔をしたあと、指をパチンと鳴らした。すると、周囲に響いていた音が止み、辺りを覆っていた重い空気が消えていった。

士道「じゃあ、もう1つ……」

狂三「まだありますの……!?」

士道「狂三。お前に一度だけ、やり直す機会を与えさせてくれないか」

狂三「まだそんなこと言ってますの?ありがた迷惑ですわ」

士道「そんなことねぇだろ!」

狂三「え……?」

狂三は士道の言葉に一瞬困惑した。

まるで何かを恐れているような……

士道「お前だって、ごく当たり前の平穏な生活が好きになるかもしれない。そうじゃなきゃ俺とのデートを楽しめなかったはずだ!」

狂三「な……そんなこと……」

士道「できるんだよ!俺には!」

狂三「!?」

士道の叫びに狂三は息を詰まらせた。

士道「お前のやってきたやつは一生かけて償わなきゃならねぇ!でも……お前がどんなに間違っていようが、俺がお前を救っちゃいけない理由にはならない……ッ!」

狂三が数本下がる。それを追うように士道が一歩前に踏み出す。

そして右手を狂三に向けて、優しい笑顔で出した。

狂三「士道さん……」

狂三もその手を握りにいくかのように右手をゆっくり出した。

その瞬間。



「駄ァ目ですわよ。そんな言葉に惑わされちゃあ」



どこからかそんな声が響いた。

狂三が眼球から飛び出さんばかりに目を開き、苦しげな声を響かせていた。

なぜなら、

狂三の胸から一本の赤い手が生えていた。

士道「狂三……?」

狂三「わ、たくし、は」

?「はいはい、わかりましたわ。ですから……」

狂三の胸から手が引き抜かれ、血が出てきた。

それと同時に狂三が纏っていた霊装が消え、狂三の身体が人形のようにくずおれた。

?「全く……」

倒れた狂三の丁度後ろから、さっきの声が聞こえた。

士道「くる……み……?」

それは、さっきの狂三と瓜二つ……いやそれは間違いなく狂三だった。

狂三「まったく、この子にも困ったものですわね。この頃の私は若すぎたのかもしれませんわね」

意味が分からない。

狂三が狂三を殺して、最初の狂三が影に喰われていった。

士道「何、が……」

士道が呆然と声を出した。

そして、狂三を喰った影から無数の手が出てきて、士道の手と足を拘束した。

狂三はあざ笑うかのように何か言おうとした。

だが、それが中断された。

狂三「あら……?」

そして狂三は気付いた。

狂三「当麻さんはどこにいらっしゃるのかしら……?」

士道「は?……そんなの俺の後ろに…………え?」

そして士道も気付いた。



上条当麻がいつの間にか消えてることに……






その頃、上条当麻はというと、


上条「ったく、面倒なことしやがって……」

上条当麻は既に学校から出ていた。

上条「士道、悪いが上条さんはちょぃと抜けさせてもらう」

上条は学校の屋上を見て、そして言った。





上条「″真那″、時間稼ぎ頼んだぜ」






そう言い切ると、上条は走ってどこかへ行ってしまった。









 
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