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久遠の神話

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第百九話 戦いが終わりその三

「戦いが」
「そうね、遂にね」
「前世のことは知らないけれど」
 神話の頃からのそれは、というのだ。
「けれどね」
「終わったのね」
「うん、完全にね」
 剣士の戦い、それがというのだ。
「これでね」
「そうよね、それじゃあ」
「工藤さんと高橋さんだけではなく」
 二人だけではなく、というのだ。
「他の人達もね」
「戻られるのね、それぞれの場所に」
「中にはそのままでいる人もいるけれど」
 この辺りはそれぞれだ、人による。
「僕もそうだね」
「そうね、上城君もね」
「学生生活を続けるから」
「そこは本当に一緒ね、じゃあ」
「うん、高校を卒業して」
 上城は顔を上にあげた、そして青い晴れ渡った空を見つつ樹里に話した。
「大学に入学して卒業して」
「就職もして」
「楽しんでね」
「そうしてなのね」
「うん、やっていくよ」
 そうしていくというのだ。
「これからはね」
「そうね、じゃあ私も」
「村山さんも」
「上城君と一緒にね」
 顔を見上げている彼のその横顔を見てだ、樹里は微笑んで言った。
「そうしていくわね」
「そうしてくれるんだ」
「うん、上城君がよかったら」
 こう言うのだった。
「そうさせてもらうわね」
「それじゃあ頼むよ」
「うん、じゃあ」
 二人でこう話しながら校庭を歩いていた、すると。
 校門のところで中田を見た、丁度その前を歩いていた。その彼を見てだった。
 上城がだ、すぐに彼に声をかけた。
「あの、中田さん」
「ああ、終わったな」
 中田はその上城に顔を向けて笑顔で答えた。
「やっとな」
「はい、本当に」
「よかったよ、これでもう俺達はな」
「生まれ変わっても」
「戦うことはないんだな」
「そうなりましたね」
「あの、それでなんですが」
 ここで樹里が中田に言ってきた。
「中田さんさえよかったら」
「ああ、どうしたんだい?」
「今夜うちでパーティーするんですけれど」
「戦いが終わったお祝いにか」
「はい、それで中田さんがよかったら」
 こう彼に言うのだった。
「どうでしょうか」
「俺もパーティーに来ていいのかよ」
「はい、人は多い方が楽しいですし」
 樹里は笑顔で中田を誘うのだった。
「どうでしょうか」
「そうだよな、今日だよな」
「はい、夜に」
「わかったよ、じゃあな」
「それではですね」
「妹を塾から家に送ってからな」
 それからだというのだ。
「そっち行かせてもらうよ」
「わかりました、それじゃあ」
「ただ、酒出るよな」
「そのつもりです」
「それなら歩いて行くからな」 
「お酒飲んだらバイクとか乗れませんから」
「ああ、だからな」
 それでだとだ。中田は樹里に笑顔で答えた。 
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