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マクレガーさんのお話

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第二章

「幾つも置いてな」
「そうしてなのね」
「全部の畑を守ろう」
「わかったわ、じゃあ今晩もね」
 奥さんも頷いてなのでした、そしてです。
 マクレガーさんはこの夜も案山子を作りました。今度は幾つも作りました。そうしてそれぞれの案山子を畑の中に一定の間隔で置くのでした。
 そうしてみるとです、畑の被害は相当に減りました。人参や玉葱にしてもです。しかしそれでもなのでした。
 荒らされていました、それでマクレガーさんは今も苦いお顔で奥さんに言うのでした。
「やられているな」
「かなり減っていてもね」
「やられていることはやられているぞ」
 被害を完全になくしたいマクレガーさんにとっては困ることなのです。
「まだな」
「ジャガイモのところもね」
「連中も食わないといけないからか」
「人間も恐れないっていうのね」
「そうなるな、これはな」
「どうしたものかしら」
「案山子だけじゃ駄目か」
 マクレガーさんはこうも言うのでした。
「それに兎や穴熊だけじゃないからな」
「烏とかね」
「鳥連中もいるからな」
 動物は兎や穴熊だけではないのです、鳥もいるのです。
 だからです、マクレガーさんは彼等のことも考えて奥さんにお話しました。
「あいつ等は夜は来ないが」
「昼はね」
「案山子で完全でないのなら」
「どうしたものかしら」
「さてな、少し考えるか」
 またこう言うマクレガーさんでした。
「何がいいか」
「ううん、案山子は見せるものよね」
 奥さんはここで案山子のことを言いました。
「そうよね」
「ああ、それはな」
「そうよね、目よね」
「案山子は見せて驚かせるものだからな」
「目で完全でないのならね」
「まだあるか、あるとしたら」
「耳はどうかしら」
 こう自分のご主人であるマクレガーさんに言うのでした。
「音ね」
「音か」
「そう、音ね」
 音を立ててはどうかというのです。
「ほら、この前日本からここに観光に来た人いたわね」
「ああ、あの若いお兄さんか」
「そう、あの人がうちの畑見て静かだって言ってたから」
「日本の畑は五月蝿いのか」
「音を立てるのかもね」
「じゃあそのことを調べてみるか」 
 ここまで聞いてこう言ったマクレガーさんでした。
「日本の畑をな」
「誰か知ってる人いるかしら」
「村長さんが昔日本に旅行に行ったことがあるからな」
「じゃあ村長さんに聞いて」
「ああ、そうしてみるな」
 こうしてでした、マクレガーさんは村長さんとお話をして日本の畑のことを聞きました。そして次の日の朝早速でした。
 畑の周りに棒を挿し込んでそこに細いロープをかけました、そしてです。
 そこに木の板を幾つも連ねました、奥さんはそのロープや木の板を見てマクレガーさんに首を傾げさせて尋ねました。 
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