ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第三話
あの後、イリナとゼノヴィア(家に帰る際に名前を教えてもらった)を連れて家に帰った。
まあ、落ち着けて話を聞けるのが家位しか思いつかなかったんだが……。
家に帰ってくるとそこにはルビアが立っていた。
「ルビア、ただいま」
「ああ、おかえり。イッセー……大丈夫だったか?」
「ああ、大丈夫だよ。怪我なんかしてねぇし」
ルビアは俺の事を心配してくれる。多分、俺が玄室を開いたのを察知したんだろう。
ルビアは俺に受け継がれている《聖女》の魂を一部ではあるが受け継いでいる。ゆえに玄室など魔族に関する事柄なら察知する事が可能なのだ。
俺が玄室を開くという事は戦闘が起こると思ったのだろう。だから俺を心配してくれた。
「イッセー君、彼女は……」
「ああ、大丈夫だよイリナ。俺の家の皆は裏の事は知ってるから」
「そうだったんだ……あれ?お父様とお母様は?」
そうか、イリナは知らなかったんだな……。
「死んじゃったよ……イリナが外国に行ってからすぐにな」
「そ、そんな……ごめん……」
「いいさ。もう慣れてるし」
そう言って俺はイリナの頭を撫でる。
「あ……」
「これを聞いて何か思う所があるならもうこの話題は出さないように。な?」
「うん、わかった……」
「よし。それじゃ二人共、入ってきてくれ」
俺は玄関の鍵を開けて中に入る。
ルビアは当然のように家に入ってきて靴を脱いでリビングに向かう。
イリナは勝手知ったる我が家だからスムーズにリビングに。ゼノヴィアはそんなイリナについていく。
リビングには既に皆が揃っていた。
「ただいま」
「あら、おかえりイッセー。どうだったの?」
「ああ、リアス先輩に俺が裏の事を知ってるとバレた。まあ、何をしてこようと何もしないがな」
「まあ、そうですわ。本人の事を何も確認しないで上辺だけの情報だけを信じるのはいけない事ですわ」
「リンスレットの言う通りだな。人を上辺だけで判断するような人間とは仲良くはしたくはないな」
皆のリアス先輩に対する思いがこんなに一致するとは思わなかった。
「あれ?イッセーさん、帰ってたんですか?」
と、台所からアーシアはやってきた。あれ?今日の当番はアーシアじゃなかった筈じゃ……。
「イッセーさん、今日の当番はイッセーさんですから下準備しておきました」
「ああ、そうか。ありがとうな、アーシア」
「……まさかこんな地であの『魔女』と会うことになるとはな」
「―――ッ!」
そう言われた瞬間、アーシアは体を震わせた。
俺たちはそれを聞いた瞬間にその後に続く言葉に集中する。
「……しかし私たちも事情は聞いている。もうこんな事は言わないから安心してくれ」
「ゼノヴィアさん……」
よかった……イリナの友人だしな。路頭に迷わせたくはないしな。
「ま、とりあえず座ってくれ。料理作ってくるから」
俺はそう言ってアーシアと共に台所に入る。アーシアはまだ上手く料理が出来ないから俺たちの料理を手伝いながら勉強しているらしい。
そして料理が完成して皆テーブルに座った。その中にゼノヴィア達も入っているのだが……。
「「……………………………」」
「どうした、食え」
「え、えっと………………いいのか?」
「当たり前だろうが。さっさと食え」
「で、でもね………………………」
まあ、それもそうだろう。この人数だから普通と料理の量も増えてくる。そして料理の質も違ってくる。
「い、イッセー君……こんなに料理上手くなってたんだ……」
「ゴクッ……」
イリナよ、それはちょっと酷くないか?それとゼノヴィア、我慢が出来ないのか?
「それじゃ、いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
「「い、いただきます……」」
イリナとゼノヴィアは恐る恐る俺の作った料理に箸を持っていき、口に運ぶ。
「「お、おいしーーーーーーーーーいっ!!!」」
二人は同時に叫んだ。
「う、美味い!こんなに美味い物は初めて食べたぞ!!」
「ううっ!美味しいよ、美味しいよぉ!!」
ゼノヴィアは一心不乱に。イリナは泣きながらも料理をどんどん口に運んでいく。
クレア達はいつも通りに食べる。
というかイリナ。何で泣く?
「うぅ……花嫁修行の一環で料理も頑張ったのに……これじゃ負けちゃうよ……」
イリナは泣きながらそう言った。
「「「「「「っ!!!」」」」」」
そして皆、なぜ驚く?まあ、イリナが花嫁修行をしてたのには驚いたが……しかし、なぜそこまで目を見開かせて驚く?
『イッセー。貴方はもうちょっと乙女心を勉強した方がいいわ』
『イッセーは本当に……』
レスティアとエストは何か呆れてるし……。
「それで、どんな事情なんだ?」
「ああ、そうだったな。実は……」
そして俺はイリナ達がやってきた事情を聞いた。
それを聞いて俺が最初に思った事。
「あの、戦争狂は……!」
何でも教会が管理していたエクスカリバーが何者かに盗まれたらしい。
その犯人というのが……堕天使コカビエル。三大勢力の中でも自分達が一番強いと豪語する男だ。
それゆえに力で示そうとしており、俺は戦争狂と呼んでいる。
あいつ……俺がこの町にいると分かっててここに来たな……後考えられるのは現魔王の二人の妹、リアス・グレモリー先輩と支取蒼那先輩……いや、ソーナ・シトリー先輩を傷つければ二人が来ると思ってそうしたのか……。
いずれにしろ、あいつは本当に戦闘が好きという事が改めて認識させられたな……。
「まあ、とりあえず今日は家に泊まっていけよ」
「でもイッセー君に悪いよ?」
「問題はない。むしろお前に問題があるぞイリナ」
「何でっ!?私何か悪い事した!?」
こいつは自覚がないのだろうか?
「お前、また金欠になってもしらんぞ?」
「うっ……」
そう、このイリナ。昔っからなんだが教会に関係する何か影響を与えた人物の偽者の絵とかを高値で買おうとするからな。
「わかってくれるか、イッセー!?」
と、一心不乱にご飯を食べていたゼノヴィアがそう言って詰め寄ってくる。
この反応を見てわかった。ああ、こいつも被害者なんだな…と。
「イリナは組んで……こうなった事は多々あるんだ……私が何度言ってもイリナは引かないし……挙句の果てには一瞬の内に会計まで済ませてるしで……」
「大丈夫だ、ゼノヴィア……俺はそれを幼少期の頃に結構見ていた」
「こいつのこれは小さい頃からだったのか……」
呆れるゼノヴィア。そうだよな、呆れるしかないよな。
だからこそ、今日はこの家に泊めるんだ。
「という事になってしまったけど、皆異論とかあるか?」
「私は別にないわよ?むしろ家の中が賑やかになって楽しそうだし」
「私も別に問題はないわ」
なるほど、赤毛姉妹は別に問題はないと。
「私も問題はありませんわ」
「私もだな。イッセーの決めた事だ。異論はない」
リンスレットとエリスも文句はないと。
「私もね。そんなに心配する程でもなさそうだし」
フィリアも問題はない、と。
『私も問題はないわ。イッセーといれれば何も問題はないもの』
『私はイッセーの剣。イッセーの赴くままに』
レスティアとエストも大丈夫。
「満場一致でオッケーだとさ。それじゃちょっと待ってろ。ベッドメイクしてくるから」
俺はそう言って空いている部屋のベッドを綺麗にする為にその空いている部屋に向かう。
『相棒。よかったのか?』
部屋に向かっているとドライグが話しかけてきた。よかったって……
「何が?」
『相棒はもう充分に戦った。もう、戦わなくてもいいのではないか?』
こいつにはこういう所がある。俺は父親みたいに思っているけどな……でも、本当。お父さんみたいなんだよな、ドライグって。
『お、俺は純粋に相棒の事を心配してだな!』
「はは、ありがとうなドライグ……でも、いいよ。心配しなくても。仲間を守る為だったら……俺は命を張れる……じゃないと、レンにもアレイシアにも顔向け出来ないだろ?」
『そ、それはそうだが……』
「話はそれだけだ」
俺はそう結論づけて部屋のドアを開ける。
「さて、どっから始めたもんか……」
ドライグSIDE
「相棒……」
俺は相棒の神器の中で相棒の事を見る。
いや、今まで俺は相棒の心の中でいつも見てきた。
最初は相棒は何の力も持たない子供だった。しかしある時を境に周囲の子供に危害を与えるようになってしまった。
もちろん相棒の意志ではない。
後に気づいたがその時には相棒の中にいた《レン・アッシュドール》と《アレイシア・イドリース》が目覚めており、その力が相棒に流れていたらしい。
あいつの幼なじみである紫藤は気にしなかったが……紫藤がいなくなってから相棒には不運が起こった。
両親が死んだ事だ。そして……相棒には引き取り手がなかった。
それにより相棒は荒みきった……相棒がここまで立ち直れたのはレスティアとエスト……あの闇精霊と剣精霊のおかげと……後は
「お前たちとの和解……そうだろう、《レン・アッシュドール》、《アレイシア・イドリース》?」
俺が振り向くと……そこには一組の男女が立っていた。
男の方は切れ長の瞳に鋭い雰囲気を纏う黒髪の青年位の背丈。女性の方は白銀の髪で温和そうな雰囲気を纏っている。
「そうだな、イッセーは俺たちの事を認めた」
「そして、それでいてなお、私たちとの共存を望んだ」
「そうだな……そして相棒は強くなった」
俺たちの思い描いていた想像以上に……。
「あいつは覚悟を持って俺たちと共存している」
「だったら、私たちも覚悟を持たないと。でしょ?赤い龍帝さん?」
「二人共……ああ、そうだな」
俺たちはお前を見守っているぞ……相棒……。
SIDE OUT
後書き
遅くなり申し訳ありません。
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