リメイク版FF3・短編集
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暗闇に眠れ
前書き
ジンの呪いを解いた後、サスーン城からの旅立ち。
4人目の仲間と何とか打ち解けたい、ルーネス視点の話。
「何とか云えよ! ムッツリしてないでさ……?! な、何すんだよっ」
詰め寄ったら、片手で肩を突き返された。精一杯上目遣いで睨みきかしてやるけど────
相手は下目遣いでめっちゃ冷たい顔………
サラ姫に1人挨拶しに行って、しばらくして戻って来たあいつにおれは「どうだった?」って聞いただけで ─────
無表情で何も答えないから、詰め寄ってみたらこれだ。
冗談も通じないのか? このおカタい兵士さんはっ。
「や、やめなよ二人とも……!」
「はぁ、先が思いやられるわね」
アルクゥは戸惑い、レフィアは呆れてる。
「 ────── 」
あ、先に目を逸らした。……おれの勝ちっ? てか、そのまま1人で城出て行こうとするなよ!
「 ………みんなー!」
ん? 城門を出た所で、城の上からサラ姫が手を振って呼び掛けてきた。
「無理はしないで! きっと帰って来るのよーっ!」
「サラ姫様! 必ずこの地に戻って参りますッ!」
うおっ、サラ姫に対してそんなに声張り上げちゃって……。おれ達とも、それくらいのテンションでやってけってのっ。
カズスでもちゃんと呪い解けてるか様子見に来たら、町の入り口でレフィアの親父さんが待ち構えてて、お互い無事を喜んでたけど話もろくに聞かずに、レフィアの手を引いて自分とこの家に連れ帰っちまった。
………あれ? って事は、おれ達3人で旅すんの??
おれとアルクゥは目を合わせてキョトンとするけど、イングズの奴に目を向けても────相変わらずムッツリしてる。
「なぁ……この展開、どう思う?」
「 知らん 」
あのなぁ、そりゃないだろっ。
「……おお、お前さん達! わしだよ、シドだ! 飛空艇にミスリルの船首を付けて、ネブルの谷を塞いどる大岩に体当たりすれば砕けるかもしれん! 鍛冶屋のタカに頼むんじゃ!」
早速レフィアの親父さんにそうしてもらったけど、レフィアは連れてけそうになかった。
おいおい……、マジで3人の旅になるのかっ?
アルクゥとはいつも通りでいられるけど、イングズとはやりづらいなぁ。何とかして、打ち解けらんないかな……?
この後レフィアは、親父さんの目を盗んですぐおれ達と合流した。
はぁ……良かったぜ。クリスタルから啓示っての受けたの、おれ達4人だもんなっ。
そして飛空艇の大破と、おれ達無傷のミラクルは……まぁ置いといて、シドと別れてカナーンの宿屋────夜を迎えた。
「 ………少し出て来る」
あいつは……、イングズはひと言だけ云って宿屋ロビーから1人出てった。
何か気になってこっそり捜しに出てみると、微かにブンブン音がしてくる。町の北側から……??
近くに民家のない開けた場所で、月明かりの元あいつは"すっぴん"姿で剣を手に素振りしてた。
さすが城の兵士、真面目だなぁ。しかも、おれでも分かるくらいすげぇいい動き………
少しの間、木立の陰から見とれてたけど、ふとある事を思い付く。
黒魔道師にジョブチェーンジっと。カナーンに来て買っておいたこの黒魔法で ─────
「 <ブライン>!!」
「 ゔッ ……?!」
よっしゃ、一発成功! あいつ、片手で目押さえて動き止まった。ほとんど何も見えなくなったはずだ……!
「や~い、モンスターじゃなくて"おれ"の仕業だよ~ん! 暗闇状態治したかったら、おれが持ってる[目薬]奪ってみろーいっ!」
「 ─────── 」
あれ? 思ったような反応がない。てっきり怒って、目見えなくてもおれの事手探りで捕まえようとすると思ったら………
片手で目押さえたまま全然動かない。おっかしいなぁ??
「お、おーい、どうした~? おれならここだぞー、目の前に……」
「 ─────!」
うわっ、近づくんじゃなかった、ダマされた……?!
目押さえてた手をパッと放した片腕に、がっちり首回りを捕らえられちまった!
その勢いで、とんがり帽子外れたっ。
ち、力強っ……、離れらんないぃ……っっ
「 ────寄越せ、目薬 」
み、耳元での低い声に、背筋がぞくっとする。
やっぱ、怒ってる?
「し、絞め殺す気か……!? く、苦しっ……わかった、渡すから、目薬っっ」
「 ────── 」
イングズが剣を一旦手放した片手に、手探りで何とか渡した。
そしたらイングズは、おれを解放した。
おれは思わず、屈んで喘いだ。
「 ………よくも人の日課を邪魔してくれたな、それなりの罰を受けて貰おうか」
へ? バツって─────
は……れ…? なんか、きゅうに、ねむ…く……
すっぴんでもつかえる、"すりぷる"、か……??
( ────そのままそこで、眠ってろ──── )
遠のくイングズの冷たい声と、おれの意識………
(い、いい加減放してくれよ、その腕から……!? 苦し…っ、悪かったよ……あやまるからぁ)
(既に遅い────このまま私の腕の中で、果てろ)
( むぎゅうぅ~~っっ )
「 枕にそのまま俯していると、窒息するぞ」
「 ────むはっ?! あれ、いつの間におれ、ベッドに……??」
「なかなか起きて来ないお前を呼びに来た。さっさと支度しろ、ルーネス。他の二人もとっくに起きているぞ」
「へ? あ、うん……(あれ、今初めて名前呼んだ?)」
「何をほうけている。……ちゃんと着替えて来いよ」
「ん? いつの間に寝巻き───着せられた? 脱がされた……?? ま、まさか、なっ」
End
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