オズのモジャボロ
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第十一幕その十一
「ジャックのお家よ」
「そうですね、あのお家が」
「ジャックさんのお家ですよね」
「そうよ、ジャックはあの中で暮らしているわ」
まさにお家に使っているというのです。
「いいお家でしょ」
「はい、如何にもジャックさんのお家って感じで」
「面白いですね」
「あそこにジャkックさんがおられるのはよくわかります」
「納得出来ます」
「お似合いのお家ですね」
「そうでしょ、それじゃあね」
ドロシーはにこりと笑って五人にお話しました、そして。
モジャボロもです、皆に言いました。
「では今からジャックに会いに行こう」
「あのお家の中に入って」
「そうして」
「うん、そうしよう」
こう言ってなのでした。皆は一緒にカボチャ畑の中を進みました。そうしてジャックのお家に入ろうとしましたが。
ここで、です。急にカボチャ畑の中からでした。
白地にところどころに青いラインが入っているセーラー服を着た男の子が出て来ました、可愛らしい顔立ちに青いつぶらな瞳と癖のある金髪、その子を見てでした。
モジャボロはすぐに笑顔になってです、その子に言いました。
「やあ、ボタン=ブライト」
「あっ、モジャボロさん」
ボタン=ブライトと呼ばれた男の子は帽子を脱いで一礼して挨拶をしてきました。
「お久しぶりです」
「また面白いところで会ったね」
「そうですね」
「暫く見ていなかったけれど」
何故見ていなかったかはです、モジャボロにはよくわかっていました。
それで、です。ボタン=ブライトに笑顔で言いました。
「何処で迷子になっていたのかな」
「わかんなーーーい」
これがボタン=ブライトの返事でした。
「気付いたらここにいたんだ、僕」
「いつものことだね」
「ドロシーさん達もいるんだ」
ボタン=ブライトはモジャボロの横にいるドロシー達に気付きました。
「それに他の子達も」
「私達の新しいお友達よ」
ドロシーがにこりと笑ってボタン=ブライトに彼等のことをお話しました。
「オズの国に来てくれたね」
「そうなんだ」
「そうなの、この子達はね」
ここで、でした。ドロシーはボタン=ブライトに五人のことをお話しました。ボタン=ブライトはドロシーの説明を聞いてから言いました。
「成程ね、皆オズの国の人になったんだね」
「住んでいる場所は元の世界だけれど」
恵梨香がボタン=ブライトにお話します。
「私達オズマ姫にオズの国の市民にしてもらったの」
「そうなんだね、よかったね」
「けれどまさかここでボタン=ブライトに会えるなんて」
そのことはといいますと。
「思いも寄らなかったわ」
「ボタン=ブライトはこうだよ」
「いつもね」
かかしと木樵が恵梨香にお話してきます、ボタン=ブライトのことを。
「いつも迷子になっていてね」
「それで急に出て来るんだ」
「何時何処で出て来るかは誰にもわからないんだ」
「それこそボタン=ブライト自身にもね」
「僕は何時でもオズの国にいるよ」
このことは確かです、ですが。
「けれど何時オズの国の何処にいるかは僕にもわからないよ」
「ううん、そのお話は聞いていたけれど」
「それでもよね」
恵梨香とナターシャはボタン=ブライトの話を聞いて言いました。
「こうして実際に会うと」
「びっくりするわね」
「どうしてもね」
「いきなりだから」
「オズの国でのいきなりは普通だよ」
モジャボロがこう二人に言いました。
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