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ハイスクールD×D 赤眼の少年

作者:アベック
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変態という名の犯罪者

 
前書き
更新ペースは気まぐれです 

 
『昨日の深夜四時頃に、行方がわからなかった武宮信也(ぶみやしんや)さんが、駒王市の駒王第三公園の中央付近で全裸の状態で倒れていたところを、近所を散歩していた男性に発見されました』
「なーんだ。公然わいせつ罪? とかいうので捕まらなかったのか。つまらないなぁ」

 初っぱなから最低なことをぼやく黒服の少年は今、昨日男をダルマにした第三公園の二つほど奥にある、駒王第二公園にいた。
 少年は見ていた携帯電話をズボンのポケットにしまうと、のっそりと寝転がっていたベンチから起きた。

(…………お腹減ったな)

 グゥー! と、少々大きい音をならした腹を擦る。というのも、少年は昨日からなにも口にしていないのだ。
 人間は三日間ならなにも食わずに生きられるというが、それはそれでこれはこれである。死ななくても欲にはなかなか勝てないのが人間である。

(………………そういえば、昨日入れておいたあれがあったね)

 すると少年は、またしてもいつの間にかできていた空間の穴に右腕を突っ込み、ごそごそとなにかを探すように腕を動かした。

(…………おっ! あったあった)

 少年は探していたある物を掴むと、穴の中から勢いよく腕を引き抜いた。

「取っといてよかったよ…………うん、結構美味しいね。これ」

 少年がスナック感覚で食べているそれは、赤色の液体が付着した腕だった…………腕だった。
 そして、少年が喰している腕の持ち主は、昨日の深夜……正確にいうと午前二時三十五分頃に、少年を襲って喰らおうと思いきや、返り討ちに遭い、さらに四肢をもぎ取られてダルマにされた武宮信也(ぶみやしんや)という男のものだ…………ついでにいうと最後に全裸になった男だ。

(不味い…………食欲が止まらない)

 少年は腕一本だけでは満足できなかったようで、例の空間からさらに腕一本と足二本を取り出した。今さらだが、少年は人肉が好物なようだ。
 ガリッバキッと一心不乱に骨まで四肢を喰しているが、この場所は公園である。

「昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました」

 当然、紙芝居を披露する中年男性や、それを見ている茶髪の幼児がいてもなんらおかしくはない場所だ。
 だが、少年が座っているベンチは、丁度目の前にある滑り台によっていい具合に隠れているので、なにを食べているかまではわからないようになっているのだ。滑り台に感謝である。

「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました」
「おじちゃん。これって桃太郎だよね?」
「ふふ、坊や。確かにこの作品の元ネタは桃太郎だよ。けどね、これは大人の桃太郎なんだよ?」
「ブッ!?」

 耳に入ってきたその大人の桃太郎という言葉に、少年は思わず飲み込むはずだった人肉をブッと吐き出した。

(大人の桃太郎だって!? 桃太郎っていうのは確か、子供向けの昔話だよね?)

 少年は自分の知識が間違っているのかと困惑するが、すぐに考えを改めた。

(……そういえば、昔話っていうのは子供向けに改変したっていうのが多くて、元々の話は残酷だって聞いたような気が……なるほど。そういうことか)

 大人の桃太郎=残酷な桃太郎。
 そう解釈した少年は中年男性の次の言葉を待った。

「おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこ、ばいんばいん。どんぶらこ、ばいんばいん。どう見てもGカップ以上の爆乳です。張りといい、形といい、極上の乳でした」

 ……………………………………………………。

「……確かに大人だね」

 少年はそう呟くと、ポケットの中から赤色の小さな結晶を複数取り出し、それらを全て口の中に放り込んだ。

「さて……………………殺す!!」

 両目を真っ赤に光らせ、体全体を赤色のオーラが包み込んでいく。

「ふはは! 変態に慈悲はねぇ!! オーバーキルだ!!」

 穏やかな口調から一転、荒々しいものに変わった少年は、両足に力を込めると、一瞬で中年男性の目の前に移動した。

「ん? 君は――――」
「失せろ汚物が!!」

 その言葉と共に、少年は渾身の右ストレートを中年男性の顔面にぶちかました。 
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