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ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
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アイングラッド編
SAO編
  《圏内事件》3





「……何だよその格好」
「……普通の格好して下さい」
「失礼なやつらだな。折角の探偵ゴッコじゃないか。まずは気分から入ろうぜ」

そう言ってさらに二着の服を取り出す。

「要らんわ!!」
「着ませんからね!?」
「……残念だ」



……翌日、集合場所に来てみるとレイは何を考えたかなんとTHE探偵みたいな格好(というかコスプレ?)で現れたのだ。
しかも俺達の分まで用意しているという周到さ。それを断ると本気で落ち込んでいるという状態だ。

「そういえば昨日、別れた後……」

取り敢えず、話を変えようと昨日遭遇したDDAのことを話す。

「……DDAだと?」
「ああ、転移門からでたところで囲まれてな。壁戦士隊のリーダーいるだろ?あいつにあの槍を巻き上げられたんだよ」
「……そういえばいたわね。そんなゴツイ感じの人」
「そいつが怪しくないか?」
「いや、それはないと思う。攻略組の連中が一番恐れているのは攻略組でいられなくなること。リーダー職まで任されるやつがそんなことするはずがない」
「ふむ……そんなものなのか」



以前から気になっていたのだが、たまにレイというプレイヤーに違和感を覚える。

上手くは表現出来ない。

あえて言うなら自分が今置かれている状況すら客観的に観察している。もっと言えば自分自身すらモノとしか観ていない……。

故に、こうして考え事をしているのを見ると背に言い様の無い悪寒を感じるのだ。

知的な目の奥に映る冷酷な光。
普段の気さくな彼からは想像できない。

そう……まるで全てを見透す――



「――聞いてるのかキリト」
「っと、ごめん。聞いてなかった」
「よし、じゃあアスナ。コイツを実験台にしよう」
「そうね」
「……実験!?な、何するんだよ?」
「ドキドキ★圏外で受けた《貫通継続ダメージ》は圏内に入るとどうなるでショー?はい拍手」

「「…………」」


















というわけで、やって来たのは57層マーテンのフィールド。

「で?《貫通継続ダメージ》はどうするつもりだ?」
「こうするつもり」

レイは投躑用のピックを取り出し、構える。
なるほど、ピックが刺さったままなら《貫通継続ダメージ》は発生する。

だが、何故目線が俺の額に照準してるのかわからない……。しかもあれは何時ものおふざけモードの顔だ。

「……あのなレイ。人が1人死んでるんだ。ふざけるのは今度にしてくれ。それに、その距離からかわせないわけないだろ」
「さ、本番だ」
「無視か!!」

実験にHPは提供しても装備の耐久値まで減らすのは勿体ないので、オープンフィンガーグローブは外す。
ピックを逆手に持ち換えてシングルシュートのモーションをおこし、もう片方の手に放とうとしたとき、

「ちょ……ちょっと待ちなさいよ‼︎」

鋭い声に動きを止めてアスナの方を見ると高価な治癒結晶を取り出していた。

「大袈裟だなあ。こんなんじゃ全体の1、2%しか減らないよ」
「バカ!!圏外じゃ何が起こるかわからないのよ!?さっさとパーティー組んでHPを見せなさい!!」

弟を叱る姉のような口調で怒鳴られ、飛んできたパーティー要請に首を縮めながら承諾する。

思い返せばアスナとパーティーを組んでいたのはアインクラッドの黎明期までで、最近ではボス攻略の方針を巡って対立し、言い争い、決闘にまで至ったこともある。
ちなみに、その争点だったフィールドボスは遅々として進まない会議にキレたレイがソロで倒してしまい、『紅き死神』の名前が広く知れ渡ったのは別の話だ。

そんな決して友好的な関係とは言えない彼女に心配された俺は面食らった顔をして、思わずアスナを凝視していた。



「……なにジロジロ見てんのよ」
「いや……そんなに心配してくれるとは思ってなくて……」
「ちっ……違うわよ!!……違わないけど……って早くしなさいよ!!」

ひぃっ、と縮み上がり、改めてピックを構える。
右手から放たれたピックは左手に刺さり、そのまま放置しておくと赤いライトエフェクトの《貫通継続ダメージ》が発生する。

「早く圏内に入って!!」

圏内に入ると時折赤いライトエフェクトは発生するものの、HPの減少は止まった。

「……止まった、わね」
「武器は刺さったまま。しかし継続ダメージは停止か……」
「感覚はどうだ?」
「残ってる。これは武器を刺したまま圏内をうろつくやつが出ないようにするためかな」
「今の君のことだけどね」
「よしキリト、もっかい圏外に出ろ。そして脳天に釘を刺してすぐに圏内に入れ。なかなか面白そうだ」
「やだよ!!」

冗談だと言って俺の左手に刺さってるピックをするっと抜いてくれる。

「しかし……だったらなぜカインズ氏は死んだんだ?圏内では必ずHPは保護されている……だが、死んだ。あの武器の特性か、未知のスキルか「うわっ!?」ん?」

叫び声は俺のもの
レイがピタッと止まりこちらを呆然と見ている。
その先には胸の前で俺の手をむぎゅーと握るアスナ。

「なっ……おまっ……な、何を!?」
「これダメージの残留感覚は消えたでしょ」
「―――うん、まあ……ありがとう」
「デレデレすんな」
「し、してない!!」
「声が上擦ってるぞ」
「う……」

10時にヨルコさんと待ち合わせをしているため俺達はそのまま居住区に向かった。


 
 

 
後書き
どーにも自分にはユーモアセンスが無いような気がする……。
シリアス場面なら得意なのに……。

アニメは本格的にALOが始まりましたね。
個人的にはGGOまでやって欲しいです。

キリトさんカッコイイ! 
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