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ソードアート ・オンライン 〜鋼鉄の城に輝く星々〜

作者:びーの
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エピソード6 流星VS閃光


73層ボス戦が終了し、攻略組の面々は手に入れたアイテムをみたり、チームのメンバーを労ったり、それぞれが違った動きをしていた。リョウトもフードを被って顔を隠して、隅っこで一人休んでいた。
そんなひと時の安らかな時間も一人の男によって破られる。

「なんだよ…ヒース…」

「そんな邪険にしないでくれないか、流星くん。」

流星。それが正体を隠して、ボス戦に参加している俺の呼び名となっている。何故って?おれが必要事項以外全く声を発しないので、むこうが勝手にあだ名をつけたからだ。
ついでに俺の正体を暴こうとしてくる輩も初めの頃はいたがその度に返り討ちにしてやったので、正体を暴かない。それが暗黙の了解となっている。

それなのに…

「何の用だよ…ヒース。」

「なぁに、君を我が血盟騎士団に勧誘しにきただけだよ。」

「またか……いい加減しつこいぞ…」
この男、70層あたりからボス戦が終わる度に勧誘してくる。

「私は君のような優秀なプレイヤーを探していてね。」

「聞き飽きた。」

「とりあえず、ギルドに入りたくない理由を聴かせてもらえるかな。」

「ギルドの制約がめんどい」

「KOBはギルドで纏まってなにかをするということはない。ほとんどの場合が攻略やボス戦でも参加してくれれば、なにも言わないさ。」

「制服が嫌い」

「別に着ることを強制しない。」

「パーティプレイとか邪魔でしょうがない。」

「君の動きについていける優秀な人材が揃っているが。」

「はぁ…ヒース。あんたがなんと言おうとどこのギルドに属する気はない…」
しつこ過ぎるだろ…


「君ならきっとそう言うと思っていたよ。だから、流星くん。我々とデュエルをしてみないか?」
そうきたか…

「俺にデュエルをするメリットがない。」

「では、こうしよう。KOBのメンバーの中から私が一人選び、それに君が勝ったら今後ギルド勧誘はしないと誓おう。」

「なるほどな…いいぜ。しかし、あんたには負けた時のリスクしかないぞ。」

「まぁ、そうなのだが、メリットがないというわけでもない。」

「あるかメリットなんて?」

「君の実力を知るいい機会になる。」
ほんと、このおっさん、何考えているかわからん…

「了解だ。で、誰とやればいいんだ。」


「流星さんよ〜、なんか面白いことやってんじゃないすか〜。俺らも混ぜてくれよ〜。」
見た目派手な装備をしたチャラそうな一団がやってくる。
ちっ、めんどくさいのがきたよ。こっちはさっさと帰りたいのに…

やってきたのは、ビーターを快く思わない人たちが集まったギルド『ロード・オブ・ナイツ(LON)』のみなさんだ。今でこそ、ビーターを悪く思う輩はいなくなったが完全になくなったというわけではない。その少数派の筆頭がこいつらだ。そんな器量の少ないこいつらが正体不明ユニークスキル使いの俺を妬まないわけがなく、事あるごとに突っかかってくる。


「はぁ……めんどくさい…」

「いいじゃねえかよ〜流星さんよ〜。あんたと一度やりあいたいとおもってたんだよね〜。」
紺の鎧と兜、長槍を装備したLONのリーダーのカインが絡んでくる。

(装備と名前絶対F○の竜騎士狙ってるだろ!そして、うぜぇ!)

「わかった。しかし、こっちからも条件がある。」

「ははは、そうこなくっちゃ!で、条件ってのは」

「俺が正体を明かさない代わりとして、ボス戦でドロップしたアイテムを無償提供して、攻略組の面々でオークションやってるの知ってるよな。」

「あぁ、アレね〜。本当それって助かるわー」

「そうか、よかったな。じゃあ、お前らが負けたら俺がドロップしたアイテムを貰う権利なしな。」
意外となんでもなさそうな条件だが、割とそうでもない…
リョウトは攻略では遊撃のポジションにつき、ボスに対し多くのダメージを与えているため、ドロップするアイテムもそれだけ多くなる。オークションもとい争奪戦でレアアイテムを手にできれば、それなりに強くなることが可能である。LONのメンバーもその例に漏れず、そこでレアアイテムを手に入れたおかげで資金面でも、戦力面でも全く困っていない。
それくらい、ボス戦で得られる物は重要なのである。

「おいおい、それはないぜ。」

「そうか残念だな。お前らが買ったときの商品もあるのにな。せっかくLAで手に入れたアイテムをくれてやろうとしたのに…」
あいつらの目の前にご褒美をちらつかせてやる。決して届くことすら不可能な。

「なんだと!」

よし!食いついてきた!それを手に入れる前にドン底に落とされるとも知らないで。
くくく、と壮絶な笑みを浮かべるリョウト
そして、それすらも気づいていないカイン(笑)

「いいぜ!やってやるよ!」

「ほう、いいのかね、流星くん。流石に2連戦はキツイと思うのだが。」

「日にちを分けるのもめんどいし、それにこいつらが負けたときのペナルティは攻略組全員に関わるから知っておいて欲しいしな。」


「さて。で、どっちからやればいい。」

「じゃあ、俺らLONからやらしてもらうぜ。でもってあんたの相手はリーダーの俺自ら相手してやるから覚悟しな!」
リーダー頑張れ〜等々LONの面々から声援が送られている。まぁ、そのリーダーの不甲斐なさで自分たちに災いが降りかかると知らないで呑気なことだ。

『KAINから1vs1のデュエルを申し込まれました。受諾しますか。YES/NO』
目の前にホロウィンドが表示される。
初撃決着デュエルを選択し、YESを押す。

『KAINとの1vs1の初撃決着デュエルを受諾しました』
とウィンドウが変化し、同時に60秒のカウントダウンが開始される。

対戦相手であるカインはニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら、槍を構える。
どうせ、勝ったら貰える俺が手に入れたLAのことでも考えてるんだろうな…
人それを取らぬ狸の皮算用と言う。

何事かと攻略組の面々が集まってきて、即席の決闘場がつくられる。

そして、カウントが5…4…3…2…と一桁になり、残り1秒になった時、地面をSTR値全開で蹴り、周りの野次馬の視線から俺の姿が一瞬消える。

そして、DUELの文字が空中にフラッシュすると同時にカインの顔面に飛び膝蹴りが炸裂し、後方へ大きく吹き飛ばす。

(ソードスキル無しの蹴りでは、流石にダメージはないか…)
着地と同時にナイフを取り出し、最も出の速い『クイック・シュート』を放つ。
それは吹き飛ばされたカインを追っていき、カインが地面に足をつける前に着弾、ボス部屋の壁まで吹っ飛ばした。

『DUEL』 『WINNERー****** LOSEーKAIN』
開始一秒もかからず、終了したため、DUELとWINNERの文字が表示されるという奇天烈なことが起こった。さらに勝者のほうの名前が(アスタリスク)で表示されているという点だ。

デュエル終了後には必ず敗者と勝者の名前が表示されるので、それで俺の正体がわかると思っていたのだろう。残念だったな。

種明かしは今装備している『ネーム オブ アスタリスク』というネックレス型アクセサリーのおかげで表示される名前が*になっているだけだが、このアイテムを知っている者がほとんどいないのでバレる心配はない


「さて、次はKOBとやるわけだが、誰とやればいいんだ?」

「そうだな、我々からは副団長のアスナ君にやってもらおうかな。」

「お願いします。」
野次馬の中から出てきて、律儀にお辞儀をしてくる。

「ところで、彼らに対してあんな条件を提示して、しかも対戦相手にあそこまでしますか、普通。」

そう言って、壁にもたれているカインに視線を一瞬向ける。
カインは壁にぶつかった衝撃からか気絶しているようでしかも投げたナイフの威力が凄まじかったのか紺の鎧には穴が空いてしまっている。

「提示した条件に関しては、LAを手に入れることに見合うデメリットを提示しただけだ。それにあの阿呆に関してはうざかったから。反省はしていない。」
などと言ったので、呆れているアスナ。

そんなアスナにお構いなしにデュエル申請を送る。
『******から1vs1のデュエルを申し込まれました。受諾しますか。YES/NO』

『******との1vs1の初撃決着デュエルが受諾されました。』
デュエルが受諾され、カウントダウンが開始される。


カウントが刻一刻と進む中、アスナは流星に勝つためのプランを頭の中で練る。

(彼が見せたのは、蹴り技と投剣……おそらく、さっきと同様に最速で決めにくるはず。だから、接近して攻撃してきたところのカウンターを狙う!)

プランが練られ、それを実行するためのイメージを形作り、さらに他にも幾つかのパターンをもつくる。

『DUEL』

デュエル開始の合図と共に5mもの距離を一瞬で詰めてくる。『飛脚』を放ち、胴体に膝蹴りをきめてこようとする。
それを寸前のところで回避に成功する。

「これで!」

スキルディレイで動けない流星に最速の『リニアー』を放つ。

勝った!






と確信したが…








動くことがシステム上不可能なはずなのに…








その突きを何事もなかったのように回避し








「え!?(なぜ!)」


突き技を放ち、伸びきった腕を掴まれ、一本背負いのように背中で私の体を持ち上げ、そのまま投げ飛ばされる。

「きゃあ!」


着地の衝撃で立ち直れないままでいると剣を喉元へ突きつけられる。

「くっ、あ、アイ リザイン」

アスナの敗北宣言とともに空中にウィナー表示が現れる。

流星はコートを翻して、ボス部屋の出口へと向かっていく。

「待って!」とその背中に声をかける。

「はぁ〜、なんだよ…」
大きなため息をして、なんだかご立腹なアスナのほうを向く。

「どうして、『流星剣』を使わなかったんですか!」
あぁ、そゆこと…剣を使わなかったことに対して手を抜かれたと思ったわけですね。

「私が女だからって、手加減したんですか!」

「俺は全力でやったぞ。それに俺に『流星剣』を使わせたいなら強くなればいいだろ。」
違うか?と正論を返す。

「くっ…で、でも!」

「デモもストもない!俺は全力でやったし、もっとアスナが強くなればいいだろ。」

「あ、そうそう。ヒース、約束は守れよ。」

「わかった。男に二言はないさ。」

じゃあなとその場を後にする。その間、中層のモンスターぐらいなら、視殺すこともできるんじゃないかと思うほどの鋭い視線をアスナに向けられていた。

こりゃ、絶対恨まれてるな。アスナだけには、正体を明かしたくない。バレたら殺されそう。マジで!


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翌日の新聞で

『閃光のアスナと最近攻略組として活躍している『ロード・オブ・ナイツ』が流星に挑むと瞬殺!!』

と見出しを飾っていた。

余談だが、俺が瞬殺したカインのギルドからは脱退者が相次ぎ、その人たちは血盟騎士団や青龍連合に入ったらしい。
 
 

 
後書き
作「え〜、今回はゲストとして『閃光』ことアスナさんに参加してもらうことができました』わーパチパチ
ア「よろしくお願いします。」
作「で、どうでした?流星の強さは?」
ア「えぇ、とても強かったです。けど!相手に、全力を出すのが礼義なんじゃないですか!あぁ、もう思い出すだけでイライラしてきた!」

〜アスナの愚痴を聞くこと一時間〜
作(アスナさん、マジこえぇー!リョウトばれたらマジ殺されるぞ)
リ「・・・」ガクガクブルブル…
作「え〜、リョウト君は現在あんな感じになってますが、じきに治ります。次回もよろしくお願いしまーす!」 
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