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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第十三話 Electromagnetic Power Plant

 
前書き
ゼロがイーグリード、ルインが(正確にはVAVA)、カメリーオを下し、エックスがマンドリラーに挑む 

 
エックスはマンドリラーが占拠した巨大発電所に来ていた。
ここに来る途中、ゼロが入手したボディパーツが転送され、防御力が飛躍的に向上したエックスはイーグリードのDNAデータを組み込んだバスターを見つめる。
顔見知り、知り合い程度の自分と違い、ゼロにとって旧い戦友なのだ。
それを討ったゼロの心境は図り知れない。
VAVAがカメリーオを破壊したことも知らされた。
カメリーオの電磁迷彩機能を引き抜いた後、何処かへ消えてしまったという。
VAVAが何をしたいのかは分からない。
しかしあまりよくないことは確かだ。
エックスは複雑な心境で施設内に入っていく。


































中に入ると墜落したデスログマーが目に入る。
衝撃の影響で施設内の機能がいくつか停止したようだ。
これは好機だと思い、エックスは奥へと向かう。
途中で向かってくるメカニロイドにはフルチャージショットを喰らわせ、あるものには…。

エックス「ストームトルネード!!」

イーグリードのDNAデータから得た特殊武器を放つ。
バスターから放たれた竜巻は大型のメカニロイドを切り刻んでいく。

エックス「(これもいい武器だ。)」

ある程度距離を詰めなければ当てられないファイアウェーブよりも使い勝手がいい。
これを攻撃の要にして、エックスは発電所の奥へと向かっていく。



































奥に向かうと広い部屋に出た。
照明は落ちており変電器の駆動音以外何も聴こえなかった。
背後の扉が閉まる。
閉じ込められたとエックスが悟った時、一転して部屋の照明がついた。
一瞬眩しさに目が眩む。
エックスは天井を見上げると目を見開いた。

エックス「何だこいつは…!!?」

透明なゼリー状に覆われた巨大な機械。
顎に当たる部分には巨大な電極がついている。
そんな異形が変電室の天井に浮いていた。

エックス「確かあれは…」

サンダースライマー。

ゼリーの膜を持つメカニロイドは、1個の細胞をどこまで巨大化できるかというラボの実験の産物である。
しかし、維持に大量の電気が必要なのと制御不能のため、プロジェクトもろとも凍結処分が下されていた。
はずだったのだが、マンドリラーが制圧したことで解放されたらしい。
エックスはストームトルネードをサンダースライマーに喰らわせる。
膜がいくつか削られるが、倒すには至らない。
出来るだけ敵から離れなければならないと機動力の上がった足で変電室を駆け回るが、撃ち返す間もなく電撃が襲ってくる。
しばらく走り回った末に相手の攻撃が止んだのを見計らってエックスはバスターを連続で撃ち込んだ。
ファイアウェーブもショットガンアイスもストームトルネードもカメレオンスティングも。
しかしいずれの攻撃もゼリー状の膜を貫通しきることなく消滅してしまった。

エックス「くそ!!何で出来てるんだあれは…!!」

悪態をつきながら諦めず撃ち続けるが、相手は堪えた様子がない。
それどころかその巨体で突撃してきた。
エックスは慌てて回避する。
まともに受けたら押し潰される。
このままではバスターはともかく特殊武器のエネルギーが尽きてしまう。

エックス「(ストームトルネードは後1発しか撃てない…なら、危険だが、これしかない!!)」

エックスは意を決してバスターに変形させた腕をサンダースライマーに突っ込んだ。
腕に走る痛みに顔を顰めながら、最後の1発を放つ。

エックス「ストームトルネード!!」

内部で放たれた竜巻により膜が弾け飛び、露出した機械部分にバスターを連射し、破壊した。

エックス「………」

生まれた瞬間に、この世に生を受けた瞬間に凍結処分させられた実験機の残骸に哀れみを覚えながらも、エックスは先へと進んだ。



































エックスは奥へと進むと、十字に分かれている通路を見つめる。
左の通路の奥から淡い光と共に懐かしい感覚がする。
エックスは左の通路に進むと奥には白衣の老人のホログラムが映るカプセルがあった。

ライト『このカプセルにはアームパーツを遺しておいた…カプセルに入り、腕に装着すれば、お前のチャージショットは更に強化され、より強力なスパイラルチャージショットが放てるようになる。そしてこれはルインの最後のアーマー解除プログラムじゃ…あの子に渡して欲しい……』

フット、ヘッド、ボディに続く最後のパーツ。

エックス「…分かりました。パーツとプログラムを受け取りましょう」

カプセルの中に入るとアームパーツが腕に装着される。

ファーストアーマー完成。

続いてルインのアーマー解除プログラムを受け取る。

ライト『エックス…戦いとは辛く虚しいものじゃ……だがそれによって得られる平和の…笑顔の素晴らしさを忘れるでない…』

エックス「…はい。ありがとうございます。あなたのおかげで、俺はこうして、ゼロとルインと一緒に戦える。この御恩を返せるかは分かりませんが、決して忘れることはありません…。」

エックスは白衣の老人に頭を下げるとマンドリラーの元へ向かう。



































何もない通路を抜けると、タービン室の扉にたどり着いた。
エックスがそれを力任せに開けると、中はまた暗闇だった。
だが、何かがいるのは分かった。
暗い天井付近で七色に明滅するランプが縦一列に見えた。
それが合図であったように、広い部屋の照明が点灯される。
そして、天井の太いパイプに片手でぶら下がる巨大な猿の影が浮かび上がった。

エックス「マンドリラー…」

エックスは苦い顔でかつての同僚の名を呼んだ。
来ると分かっていたスパーク・マンドリラーは、静かに床に降りてエックスに問いかけた。

マンドリラー「…シグマ隊長が狂ってると思うかいエックス?」

シグマの名を聞いてエックスの顔がさらに険しくなる。

エックス「奴はもう隊長なんかじゃない…イレギュラーだ!!」

マンドリラー「なあ エックス…」

マンドリラーはボリボリと頭を掻きながら言った。

マンドリラー「隊長が正しくて お前が間違ってると思ったことはないか…?」

エックス「…………」

マンドリラー「俺も考えるのは苦手だ…答えは戦えば分かるかもしれんな…」

表情の無い顔に何か遠くを見るような目をしながらそう語ると、マンドリラーは腕のドリルの出力を上げた。
エックスもアームパーツによってパワーアップしたバスターを展開する。
二段階のチャージショットをマンドリラーに放つ。
マンドリラーはそれを翻すとその巨躯と普段の態度からは想像できないような俊敏な動きで接近すると、その豪拳でエックスを殴り飛ばした。
“豪速拳の雷王”の異名を持つマンドリラーの恐ろしさは接近戦の強さではなく、その俊敏さにあるのだ。
瞬間速度だけなら、かつての精鋭揃いの第17部隊でも“時空の残鉄鬼”ブーメル・クワンガーに次ぐレプリロイドである。

エックス「ぐっ…!!」

強化されたアーマーはマンドリラーの一撃に耐えはしたが、エックス自身に相当の衝撃を与えた。

マンドリラー「壊す気で殴ったんだがなぁ…」

あの一撃は渾身の力を込めて繰り出したのだ。
それなのに強化されたアーマーのおかげとはいえ耐え抜いた。
明らかにエックスのステータスは成長している。
もう1発喰らわせようとするが、今度は回避し、フルチャージショットを放つ。

エックス「スパイラルチャージショット!!」

大量の拡散弾を束ねた赤い砲撃が放たれた。
まともに受ければやばい。
そう判断したマンドリラーは即座に回避した。
スパイラルチャージショットは壁をぶち抜いた。
新たなチャージショット、スパイラルチャージショットの威力に目を見開いたが、エックスは少々訝しげにバスターを見遣る。
エネルギーチャージが臨界点に達そうとした瞬間、バスター内部でエネルギーが四散した。

エックス「(バスターにリミッターが取り付けられているのか…?)」

確かにあれ以上の出力を出したら下手な場所では大惨事になるだろう。
次にバスターの通常弾を連続で撃ち、更に壁際へと追い詰める。
かつて同僚だったためにマンドリラーの弱点は知っている。
特にこの武器はこのような狭い場所で真価を発揮する。

エックス「ショットガンアイス!!」

バスターから極低温のアイスショットが放たれた。
マンドリラーは上に飛び上がって避けた。
しかしこの攻撃はそれでは終わらない。
アイスショットは壁に当たり、部屋の中で無数の礫をばらまいた。
そのいくつかは部屋の壁を凍結し、またいくつかがマンドリラーの身体に張り付き、徐々にマンドリラーの身体を凍結していく。

マンドリラー「ペンギーゴの技を…!!?」

戸惑うマンドリラーの身体をアイスショットの破片が侵食していく。
電気を武器とする彼の身体は極端な熱の変化に対応仕切れないのだ。
動きが鈍ったマンドリラーにエックスは再びショットガンアイスを至近距離でマンドリラーに撃ち込んだ。
そしてあっという間にマンドリラーは氷の彫像となって地に落ちた。

エックス「終わったか?」

エックスは氷に閉じ込められたマンドリラーに近づこうとしたが、マンドリラーを閉じ込めた氷に罅が入るのを見てバスターをチャージさせた。

マンドリラー「ぶるぅあぁぁぁぁぁ!!」

吼えながらマンドリラーは自力で氷を破壊して起き上がった。
今のでかなりのダメージを受けたはずだ。
流石は特A級だ。
マンドリラーがエックスに殴り掛かるが、ダメージにより速度が低下している。
マンドリラーの拳を跳躍してかわし、バスターを向ける。

エックス「これで終わりだマンドリラー!!スパイラルチャージショット!!」

現時点の最大出力のスパイラルチャージショットを放ち、マンドリラーの動力炉をぶち抜いた。
動力炉をぶち抜かれたマンドリラーは俯せに倒れて、機能を停止させた。

エックス「……何とか倒せたか…」

エックスはマンドリラーのDNAデータを回収すると簡易転送装置でハンターベースへ帰還する。 
 

 
後書き
ファーストアーマー完成。
バスターはライト博士製ですが、最初はイレハン準拠ですが、終盤はオリジナル準拠にしたいと思います。 
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