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俺の知ってる作品でバトルロワイアル

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0話:オープニング

 
前書き
見せしめ誰にしようかなと悩んだ。

























































・・・ことはなかった。 

 
 目を覚ます。
 ぼくは自分の現状がいまいちよくわかっていないようだった。
 まず第一に、ぼくは何故寝ていたのか判らない。また哀川さんの仕業かと真っ先に疑ったが、どうやら違うようだ。
 周りにはぼくの他にも沢山倒れている。見渡す限り、百人以上という規模では無さそうだが、少ない人数というわけでもない。数十人位ぐらいが妥当だろうか。学生のような格好をした者、スーツを着た成人女性に、どう見ても子供としか思えない体躯の者まで。変わった格好をした人達も結構いる。中でもあの黄色いピエロのような男は目立つ。
 このように沢山の人間が倒れていた。起き上がってる者もいるし、近くの人を起こして話しかけている者もいる。ともあれこの人数を拉致するのは哀川さんでも無理だと思うし、出来たとしてもする理由は考え付かない。
 まあ、なかには人間じゃない奴もいるかもしれないけど。例えば人を殺す鬼とか。
「戯言だけどね」
「あのう、すみませんお兄さん」

「・・・・・・」 
 聞かれた。これはかなり恥ずかしい独り言を聞かれてしまった。青いジャケットにグレーの半ズボンを着た黒縁眼鏡の男の子に聞かれてしまった。しかし、この子どう見ても小学生ぐらいだよな。低学年の。
「え?戯言?」
「うん、恥ずかしいから復唱しなくていいよ。それで、何かな?」
「ここがどこか知りませんか?気付いたら倒れていて、他の起きている人達にも聞いているんだけどみんな知らないって言うんだ」
 なかなかはっきりした声で話す。小さい子供とは思えないほど礼儀正しく、ぼくとは一回りほどの年齢差があるにもかかわらず物怖じしている様子もなかった。
「ごめん。ぼくにもわからないんだ。まあ気がついたらここに居たっていうのはぼくも同じだね」
 ぼくは確か、昼寝してた。その前後の記憶があまりないが、少なくとも最近は変なのに関わった覚えはない。
「君、名前は?」
「コナンだよ。江戸川コナン」
「そうか、君のご両親はミステリファンなんだね」
 あまり驚かないぼくに対し、少し意外そうな表情を見せるコナン君。まあ、確かに凄い名前だがぼくはその手の人名には慣れている。というか、ぼくの知り合いでまともな名前の人は哀川さんや秋春くんや志人くんぐらいだ。
 戯言だけどね。
「ぼくのことははいーちゃん、いーたん、いの字、いのすけ、いーの、いっきー、いっくん、いーくん他にもいろいろあるから好きなように呼んでよ」
「へえ・・・」
 うん、完全に引かれたようだ。
「じゃあ、いーさんで」
 その時、いきなりキィィィィィンとノイズが走った。誰かがマイクを使って話し始めたようだ。

「全員起きたようね」

 思わず辺りを見渡す。確かに、もう寝ている人はもういなさそうだ。
 次に声のする方向を見る。
 明かりが点いて露わになった壇上にマイクを持つ、妙齢の女性がいた。
 黒く光るジャケットにスタイリッシュな黒い長ズボンが様になっていた。
 壇の端には大きな黒い玉と、その近くにしゃがむ中学生ぐらいの少年がいた。
 
 だがぼくは
 この女を見た瞬間
 戦慄して
 動くことを忘れた。

「あっ・・・」

 なんだあの女は!?
 絶対、只者ではない―――。

「単刀直入に言うわ」
「皆さんにはこれから、」
「殺し合いをしてもらいます」

――――は?

「最後の一人になるまで終わりません」

 ・・・あちこちから大声が上がっている。隣のコナンくんも最初は絶句していたが、やがて女を強く糾弾し始めた。その目には強い怒りが宿っているのがわかる。

「ああそういえば、貴方達に着けさせてもらった首輪なんだけど、その説明をまだしていなかったわね」
 言われて初めて気がついた。
 確かに、首を触ってみると金属のような手触りが感じられる。コナンくんにも、首輪があった。周りの人の首にも注目してみたところ、どうやら全員に着いているようだった。
「じゃあ、そうね。そこの貴方。ちょっとこちらに上がってきてくれる?」
 遠めでよく見えないが女が指を刺したのはどうやら、高校生ぐらいの男のようだった。
 戸惑っていたのだろうかなかなか上がろうとしなかったが、しばらくすると壇上に男の姿が現れた。
 同時に爆発音が響き、男の首から上は身体から落ちた。

「泰介!!」

 誰かの声がした。
 いや待て。まさか、この首輪は―――。

「その首輪は爆弾よ。無理に外そうとすれば今みたいに爆発するわ」

 女が淡々と述べると、男が死んだことで上がった悲鳴は鳴り止んだ。

「それでは殺し合いのルールを説明するわ。
 まず、今から貴方達を別の会場に転送します。その際にデイパックも一緒に送るわ。中には殺し合い会場の地図と食料、懐中電灯など必要最低限の物が入っているわ。ほかにもランダムで“支給品”が入っているから有効に使って頂戴。会場内の物も自由に使っていいわよ。
 次に、放送に関してのこと。八時間ごとに死亡した者の名前を放送するわ。その時一緒に禁止エリア、つまり入ったら首輪が爆発する区域を放送します。とは言っても、禁止エリアになるのは放送から二時間経ってからだけど。
 他の細かいルールはデイパックに入っている冊子に書いてあるわ」

 ちなみに、と女は続ける。

「優勝者には、どんな願いも叶えられる権利を上げるわ。それでは皆さん、頑張ってね」

 するとぼくの体に変化が起こった。
 動かない。金縛りにでもあったかのように、姫ちゃんの曲絃糸に捕われたときの様に動かない。見ると、ぼくの身体はジジジと消えていく。




「磨知!」

 ガンツ玉を操作している少年、西丈一郎に命じて参加者を転送していた伊園若女の前に、一人の青年が現れた。

「・・・雨宮君?」

 磨知、か。
 自分の身体に上書きされていたプログラム人格の名。

「なんで、こんな・・・!?」
 若女に何かを言おうとしていた眼鏡の青年―――雨宮一彦が言い淀む。彼の転送も始まったのだ。それでもあくまで冷静に、雨宮は聞く。
「なぜ、お前がこんなことを?」
 無理もない。
 雨宮一彦は若女の事を知らない。彼はまだ久保田拓也の身体の中にいるのだから。
 若女は答えない。答えを聞かないまま、雨宮一彦は転送されていった。

「全員終わったようね。それじゃあ、さっさと戻るわよ」
「・・・わかッたよ」

 バトルロワイアルの主催者、伊園若女と西丈一郎はすっかり人のいなくなった会場の暗闇に吸い込まれるように消えていった。




【澤永泰介@School Days 死亡】  
 

 
後書き
不安 
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