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戦姫絶唱シンフォギア/K

作者:tubaki7
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EPISODE8 変化


~AM 12:00 都内某所 廃工場地区~


けたましく鳴り響く第一級災害警報。ノイズが出現したことを知らせるそのサイレンはこの廃工場地区でも役目を果たす。それは同時に特異災害対策機動部二課への出現ポイントの詳細と、その区画の避難を促すものでもある。もっとも、こんな場所に人間などいはしないのだが。


『オリャ!』


ノイズを一蹴。灰へと変えたのは赤き戦士クウガの蹴りだ。その後ろでは刀を縦横無尽に振るう風鳴 翼とクウガと同じく拳などの近接メインで戦う立花 響の姿がある。双方に不自然にあいた距離は心の距離だとも言いたいのかそれとも違うなにかなのかはわかるところではないが今日の翼は雄樹が見てもこれだという隙が見れるように動きに無駄がありすぎる。証拠にさっきから響が援護する回数が多く、昨日までの立場がまるで逆転している。

やっぱり気にしているのか剣先がわずかに震えているのが見えた。

ただの気疲れであればまだいい。強引ではあるが無理やりにでも休んでもらえば多少なりとも心の癒しになるかもしれない。でも、もしもっと心の根源にかかわるものだった場合それは手におえないものの可能性がある。そうなった時、自分じゃどうしようもないと思いつつ、クウガ――――雄樹はパンチでノイズを消滅させる。


「ユウ兄、後ろ!」


響の警告で転がって躱す。直後、四つん這いになりながら少し大きめのノイズが上へと上がっていくのが見えた。途中、階段の踊り場で止まるとこちらをまるであざ笑うかのように見下ろしている。

此奴を街に行かせるわけにはいかない。雄樹は地面を強く蹴ってジャンプしノイズのいる場所へと跳躍する。

だが――――


『ちょ…わわわわわ!?』


高さが足りず、途中で落下する。なんとか近くの踊り場に手すりをかけて落下を止めるも、相手はまだ上にいる。このまま階段を上っていけばいいんだろうが、素直に自分が行くまでノイズが待っているとは思えない。なら、やはり跳躍するしかない。自分よりも脚力のある翼は今戦闘中。響はそんな翼のフォローにまわり身動きが取れないこの状況、やはり自分が行くしかないか。

ノイズが上から光線を撃ってくる。それをやむ負えず踊り場から跳んで躱し、地面へと逆戻りして上を見上げる。


『もっと・・・・もっと高く飛べたら・・・・!』


ダメだとわかっていても、やるしかない。雄樹はもう一度踏み込んで、上を目指す。


『イッケえええええええええええええええええええ!!!』


叫びと共に跳躍した雄樹。その色が赤から青へと途中で変化し、雄樹の身体を屋上へと運んだ。いきなり身体が軽くなったような奇妙な感覚にさいなまれながらも着地し、ノイズと向き合ったところで自分の身体が赤から青に変わったことに気づく。これが、了子の言っていたアマダムの力なのだろうか?


光線を発射してくるのを躱し、拳を繰り出す。いつもならこれで消滅させることのできる相手だ、なのに・・・・・それが効かない。むしろ以前よりも弱くなったような気さえする。まるで手ごたえを感じないことに、ならば蹴りでと叩き込むが、それもノイズの身体を浮かばせることはできても消滅までには至らない。腹を蹴られたことで動きが鈍くなるも、苦し紛れに放った一射が直撃し、吹っ飛ばされてフェンスを突き破って落下する。背中を強打したことで肺から空気が押し出されて咳き込む。

いったい、なにが起きて…!


仕返しとばかりにノイズが上からやってくる。それを転んで回避。青になったまま赤に戻らないことに戸惑いと焦りを覚えつつ構える雄樹だったが背後から剣の一閃を浴び、真っ二つに切り裂かれたノイズが灰と消滅したことに安堵した。


『ありがとう翼ちゃん。もう、冷や汗かいたよ・・・・』

「・・・・いえ」


 やはり、というべきか。自分に対しての態度がさらにドライなものになっている。響以上に心の距離が遠いのを感じてはぁ、とため息とついた。














~PM 15:00 飲食店“ふらわー”~


「ってことがあってさ~」

「さ~」

「うん、時々だけど響と雄樹さんって実は血のつながった兄妹なんじゃないかと思うときがあるよ」


憩いの場、としても名高いお好み焼き屋ふらわー。町はずれのところにあるしる人ぞ知る名店だが、今日はまだ客が少ない。学校帰りの未来を連れてやってきた雄樹と響が今日昼間あったことを二人して未来に愚痴をこぼした。流石にノイズと戦っていたなんて言えはしないので雄樹は「いつもは赤いキャラクターなんだけど、いきなり青いのに変わっちゃって」とゲームに、そして響は「知人に自分の気持ちを伝えたいけど険悪な感じでどうしても切っ掛けがつかめない」と悩み相談みたいな感じで話していた。

テーブルの上にヘタレ込む二人。寸分たがわずに動くふたりは本当に兄妹みたいに見える。


「響のは…まあわかるとして、雄樹さんが悩むのって珍しいですよね。なんかわるいものでも食べましたか?このままだと明日吹雪になるかもしれませんね」

「未来ちゃんて俺のこと実はそこはかとなく嫌いだったりするのかな?」

「冗談ですよ」


おどけて笑う未来だが言われた雄樹からしてみればまったく冗談に聞こえない。かわいらしくわらう未来だがその姿が返って恐怖をさそうのは気のせいだと思いたい。

さて、と未来はしょうゆの入った容器、そしてソースの容器を手に取って雄樹に見せる。ふたには赤と青色に塗られている為これがちょうどいいとおもったんだろう。親切に説明してくれるあたり自分への嫌悪はないとわかって内心ほっとする。


「えっと、私ゲームとかあまりやらないんで詳しくは言えませんけど・・・・要は、使いどころなんじゃないですか?」

「使いどころ?」

「はい。しょうゆにはしょうゆの、ソースにはソースのいいところがあるように、それぞれにあった使い分けをしてみたらいいんじゃないですかね」


使い分け・・・・。それを聞いて雄樹の表情が心なしかあかるくなる。

そうだ。赤には赤も、青には青のいいところがある。それを理解して、うまく使えばきっともっと二人のフォローもできるかもしれない。


「ありがとう未来ちゃん!俺、なんかやれる気がしてきたよ」

「どういたしまして。・・・・あ、じゃあ後で私の相談にのってもらっていいですか?」


「もちろん!」とサムズアップで返し、出されたお好み焼きを勢いよく平らげていく。横の響も「私へのアドバイスは~?」と不満を漏らしていたが未来に軽くあしらわれて少ししょげたあと食欲に負けたようで同じようにお好み焼きを食べだす。


そして、


「「んまい!!おばちゃん、おかわり!」」


元気な声と笑顔が店内に咲いた。  
 

 
後書き
というわけでドラゴン登場とみんなの憩いの場ふらわー登場。ふらわーはクウガでいうポレポレポジションです

そして癒し担当の未来さん登場。ちょっと殺伐としたボケ発言が多いかもです。だが私は謝らない


次回はドラゴンでの戦闘と、VSクリス。そして翼と響の距離にも焦点を当てた第8話をお送りいたします。そしてアマダムの隠された能力が明らかに!・・・・・なったりならなかったり。
 
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