東方変形葉
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変化と不変の入り乱れ
東方変形葉19話「Let's go 月面旅行 ぱ~と2」
前書き
紫(あの子はちゃんと気を引き付けてるかしら・・・。心配ね、たまにどんくさい時があるから。)
藍「紫様、もう落ち着きましたか?」
紫「くーやーしー!」
藍「そ、そうですか・・・。あの月のリーダーにしてやられてしまったからと言って暴れないでくださいね。もうすこしでご飯ができますよ。」
紫(あぶないあぶない、藍のは内緒なんだった。今は見張られているようだからこのふりをしなくてはいけない。それにしても、いつまでこのふりを続ければいいのかしら・・・。)
「・・・というわけなの。」
一通り説明したけど、きっと依姫は反論するでしょうね。
「なるほど、確かに穢れは感じられませんが、しかし地上人をここに住まわすのは・・・」
「穢れがない者はここでは地上人とは言わないわ。だからおっけー。」
うん、よく言った私。これで反論できる隙を埋めたわ。
「そ、そうですか・・・まあお姉様がそうおっしゃるのなら構いませんが。」
上手くいったわ。ふふふ、いつまで泊るのか知らないけど、地上に帰りたいと言ったら届けてあげましょう。・・・でも、たまにはこっちに来てもらいましょうか。なんだかこの子とは相性がいいような気がするからね。
「じゃあ名前を聞いてもいいかしら?」
うむ、自己紹介は大事よね。さすが私の妹。
「ああ、俺は葉川裕海。まあ向こうではたまに“変化の現人神”とか言われてるよ。」
ん?2つ名?初耳よ?
「え~、なにそれ私聞いてないわよ?私にも教えなさいよぉ~。」
お仕置きよ、という感じで横腹をくすぐる。レイセンはとてもいい反応をしてくれるから、やりがいがあるけど、この子はどうかしら。
「ご、ごめん。そういえば言うのを忘れてたなと思って、っていうかそこくすぐったいから。くっ・・・・ははははっ」
いい反応!・・・かな?
「お姉様、邪魔しないでくださいよ。で、私はこの人の妹、綿月依姫よ。」
「ああ。よろしく・・・はははははっ、も、もうやめて、くすぐったいってば。」
「あなたは能力とか持ってたりするのかしら?」
あ、我が妹依姫が私の妨害を無視した。もうそんなに成長したのね・・・。
「ああ、“変化”を操る程度の能力。それでついた2つ名がそれなんだ。」
「えっ裕海さんってそんな能力を持っていたんですか!すごいですね!」
レイセンが身を乗り出して興味津々に能力のことを聞いている。ああ、そういえば私の能力をまだいってなかったわね。
「そうなの、すごい能力ね。私は神々をこの身に宿す能力を持っているの。」
「へえ~、八百万の力が使えるのはすごいね。」
チャンス!このタイミングならいえる!ついでにこの子を試してみましょうか。
「私は、海と山を繋げることができるのよ。と言っても、あなたにはこの能力が理解できるかしら?」
「う~ん。山と海を繋げるだから、空間操作ができるってことか。なるほど!豊姫もすごい能力を持ってたんだね。」
「え、ええ・・・」
一瞬で理解されてしまった。この子、なかなかできるわね。
「さて、今日はもう遅いですし、そろそろお風呂にしましょう。」
「そうね。じゃあ入りましょ、レイセン、裕海。」
「は~い!」
「ああ・・・一応聞くけど。」
「何かしら?」
「・・・男湯は?」
「ないわよ?」
「俺はどこに入ればいいの?」
「私たちと。」
「・・・最後でいいか?」
「え~、一緒に入りましょうよ。」
「お姉様!この子にも誇りというか決まりのようなものがあるんです!仮にもお客人である裕海にわがままを言わないで下さい!」
怒られたわ。なにがいけなかったのかしら・・・まあいいわ、ここは依姫の言うとおりにしましょう。
危ない危ない。まえに橙と入った時は橙が子供だったから別によかったんだが、さすがに子供ではない人と入るのはだめだからね。うん、男として。そういやここでもスキマって使えるのかな?あ、使えた。こんなこともあろうかと、スキマの中にいろいろ入れておいたからね。どうやら月から地上へスキマを繋げるのは無理みたいだから。スキマの中から本を取り出すと同時に、誰かが来た。ぱたぱたと、軽い足音をたてながら走っている。
「豊姫様~、お話ししましょうよ~ってあれ?たしかあなたは・・・」
「ん?豊姫ならお風呂に行ったよ?」
兎の耳をつけた小さな女の子が入ってきた。ぞろぞろと。永遠亭の兎の人間バージョンみたいだ。
「まあいいや。できるなら、地上のお話をしてください!おもしろいやつで!」
なんかハードルの高い要求をしてきた。じゃあ紫の失敗談でも・・・いややめておく。なんか寒気を感じた。う~ん、じゃあ外の世界の話でもするかな。
「よ~し!じゃあ俺がとびっきり面白い話をしよう!」
『わ~い!』
一斉にこっちに走ってきた。俺の周りを数十人のうさみみ少女が取り囲んでる。膝に乗る子もいるし、頭の上に軽めに腕を置く子もいる。まあ、外の世界の偉人の失敗談でもしよう。なんだかんだで笑いが取れるのは失敗談だからな。
「裕海さん、お風呂あきましたよ~って・・・」
「あら」
「まあ」
「・・・たすけて。」
変な状況になった。みんなが失敗談を聞いて笑っていたまでは良かったんだが、一人がつまずいて、それに連鎖してなぜかみんながつまずいて次々と倒れていった。そして、俺のところになだれ込んだ。結果として、俺がうさみみ達の下敷きになっていた。苦しい。下手に動けないし。
「もう兎達と仲良しになったのね。いいこといいこと。」
依姫がつぶやいた。冷静だなあ。スキマで脱出してもいいんだが、なんだか今日は疲れて力が出ない。スキマを今使ったら、間違いなく風呂で寝てしまう。
「豊姫様~、依姫様~、た~す~け~て~。」
たのしそうだな。あれ?助けてほしいんじゃないの?なぜ俺にしがみつくんだろう。しかも一斉に。
「あらあら、すっかり気に入られちゃって。まあ、今助けてあげるわよ。」
すっと体が軽くなった。いつのまにかうさみみ達は少し離れたところで山になっていた。豊姫の能力のおかげだろう。空間操作って便利だな。
「助かったよ。じゃあ風呂入ってくるね。あと、うさみみ達もまた今度おもしろい話をしてあげるよ。」
『は~い!』
「すごい、裕海さん。たった20分で好かれるなんて。」
廊下を歩いていてふと思った。なぜ俺は風呂場の場所を聞かずに風呂へと向かったんだろうか。あ、あの人に聞こうか。あの着物を着た、ピンクの髪の人に。
「ねえ、風呂場ってどこ?」
「あっちよ~。」
「あ、ありがとう・・・って幽々子じゃないか!」
「あら~、ばれてたのね。」
「そのまんまの格好で来てばれたも何もないだろ。」
「はあ、はあ、幽々子様。もう少しペースを・・・ってなんで裕海さんがここにいるんですか!」
あれ?妖夢には知らされてないのか?まあ隠した方がよさそうだな。
「それより、そっちはどうだ?」
「う~ん、なかなかないわね~。」
「あと何日ぐらい気を引かせばいい?」
「う~ん、まああと二日かしら。まあ好きな時に帰りなさい。」
「え?何の話ですか?何を話してるんですか!?」
「ああ、じゃあこっちもうまくやっておくから。じゃあな。」
すこしかわいそうだが、妖夢は置いておこう。
「ええ、こっちもまかせなさい。」
「何の話ですかー!」
風呂場広すぎるな。スッと入ってスッと上がった。
「ふう~、いい湯だった。」
「じゃあ、そろそろ寝るわよ。」
「そうですね。寝ましょう。」
「は~い!」
「ああ・・・ところで、布団が3つしかないんだが?」
「う~ん、そうねえ。急な客だから用意してないのよ。じゃあレイセンと一緒に寝なさい。一番体小さいからスペースはあるだろうし。」
確かに大きめの布団だ。それなら別にいいか。
「そういうわけだから、いいか?レイセン。」
「はい!どうぞ!」
あっさりだな。まあ本人がいいならいいか。
「じゃあおやすみ。」
「おやすみなさい。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい!」
元気いいな、レイセンは。朝はすっきり目覚めそうだ。
前言撤回。かなり時間が経っているから前言っていうのも変だが。レイセンが寝ぼけたのか俺の体に抱きついてきてるのだ。しかも手と足でしっかりと。頭もこっちに寄せている。なんか前にもあったな、こういうこと。まだ早いだろうから、寝よう。
「・・・裕海からはいい匂いが出てるのかしら。」
珍しく依姫より早く起きれたと思ったら、まさかこんな光景に遭遇するとは思わなかった。レイセンが思いっきり裕海の体に抱きついているわ。寝ぼけてやったのか故意でやったのか疑問に思うくらい。いいな~、私も抱きつきたい。抱き心地がよさそうな体をしているせいかしら。よし、そういうことにして・・・ダイブ!
「うぅ~ん・・・・・・ダイブするなぁ~・・・ここは・・・」
いつもどおりに起きると、なんか裕海がうなされていた。なぜかお姉様とレイセンが裕海の体に抱きついているからだろうか。どうしてこうなっているのだろう・・・
朝起きた。そしてなぜか豊姫まで腕に抱きついてる。まあそこまではいいとして、なぜか鳩尾が痛い。まるでそこに何かが飛び込んできたかのように。夢でうなされていたのはこのせいだろうか。それにしても、何が鳩尾に落ちてきたんだろう。謎は深まるばかりだ・・・。
まあそれは別にいいや。さて、あと2日の月旅行を楽しむかな。
続く
後書き
19話です!
文字の文を入れたらすごい字数が稼げることに気が付きました。おそらくこれからはもう少し一話一話が長くなります。
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