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美しき異形達

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第十三話 向日葵の紹介その五

「これ欧州だと貴族が使ってたものよ」
「おいおい、貴族かよ」
「そう、凄いから」
「先輩の家って本当に金持ちなんだな」
「陶器もこんなのだからね」 
 マイセンを普通に使える程、というのだ。
「やっぱり凄いわよ」
「マイセンねえ」
「薊ちゃん陶器とかは」
「全然知らないよ」
 そうだとだ、そのマイセンのカップを手にしたまま菊に答えた。
「茶器とかでもな」
「知らないのね」
「食器なんてそのうち割れるものとか思ってるよ」
「そうなのね」
「孤児院とか寮だとな」
 集団生活の場でそうした贅沢なぞあろう筈もない、だからこう言うのだ。
「全く縁がないからな」
「そういえばそうなるわね」
「だからだよ、こんなのな」
「縁がないのね」
「全くな」
 実際そうだとだ、菊に答えた薊だった。
「マイセンとかもはじめて聴いたよ」
「じゃあ薊ちゃんが好きな食器は
「丈夫で長持ちする食器だよ」
 つまり実用性第一だというのだ。
「プラスチックとか好きだな」
「成程ね」
「そういうことでな。とにかくこのカップはいいものなのはわかるよ」
「そのことはなのね
「ああ、わかるよ」
 名前は知らないがそのよさはわかるというのだ。
「いいものだよな」
「相当に高いから」
 菊は薊にさらに話した。
「マイセンはね」
「こうしたのを普通に使えるってのが」
「お金持ちだと思うわ」
「そうなるんだな」
「ええ、私もはじめて見たわ」
 そのマイセンの陶器はというのだ。
「先輩って本当にお金持ちなのね」
「家のことは少しね」
 智和は菊その憧れる様な言葉にだ、困った様な笑顔になって返した。
「恥ずかしいから」
「だからですか」
「うん、出来ればね」
 話して欲しくないというのだ。
「そうしてくれるかな」
「わかりました、それじゃあ」
「それでね。そういえばお祖父さんも」
 数々の特許で彼にそうした生活をもたらしてくれた祖父、彼はここでその祖父のことに思いを馳せてこうも言った。
「色々やっていたね」
「有名な科学者でしたよね、先輩のお祖父さんって」
「そうだよ、科学者でありね」
 そしてだとだ、智和は裕香の問いに応えて述べた。
「発明家でもあったんだよ」
「発明家ですか」
「そう、その特許もあるし」
 智和は彼の祖父について話していった。
「医師でもあったんだ」
「凄い人だったんですね」
「そうみたいだね、僕はお祖父さんのことはあまり知らないけれど」
「特許を一杯持っておられて」
「僕が知らないことも沢山していたみたいなんだ」
 その仕事で、というのだ。
「その中には危ないこともあったとか」
「えっ、危ないことって」
「あくまで噂だよ。人造人間やクローンの研究を密かにしていたとか」
「それって」
 その話を聞いてだ、裕香だけでなく。 
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