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道を外した陰陽師

作者:biwanosin
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第八話

「で?進路相談どうだった?」
「大竹をさんざん困らせてきた」
「オマエなにやってんの!?」

 教室に戻ってきて翔に聞かれたので、そう答えたら全力で突っ込みを入れられた。
 何故だ・・・?

「どうやったら、進路相談でそんなに困らせれるんだよ?」
「大したことはしてないぞ?第一声に、まだ私立どこ受けるか決まってない、って言っただけだし」
「そりゃ困る・・・で、話し合いの結果、どこ受けるか決まったのか?」
「話し合いなんてしてないぞ?」

 翔が本気で呆れた顔をしている。
 そこまでのことかな・・・?

「一輝、オマエさ・・・そんなんで将来どうするんだ?中卒で就職なんてできないぞ?」
「そんなもん、陰陽師としてやっていくに決まってるだろ・・・卵だけど」
「そういや、ランキング十五位だったな・・・その上、席組み第九席のパートナー・・・」
「な?高校とかどうでもいいだろ?」

 まあ、それでも・・・

「高校生活は楽しそうだから、行くんだけどな」
「いや、まだ決まってすらいないのに何言ってんだよ・・・」
「ん?決まったけど。つい数分前に、入学が」
「一気に話進みすぎじゃないか!?」

 賑やかなやつだな~。
 周りのやつらが皆、何事かとこっちを見てるぞ。

「まあまあ、そう慌てないで。一回お茶でも飲んで落ち着きなはれ」
「どこの人だよ、オマエは・・・」

 そう言いながらも、翔は水筒からお茶を飲んで、一回落ち着く。

「ん?どうしたの、カズ君?」
「って、殺女さん!?」

 が、殺女の登場で一気に落ち着きが消えうせる。
 コイツは、まだ馴れないのか・・・女子の方は、もう何の問題もなく話すようになったというのに。

「ああ、そうだ。行く高校決まったぞ」
「ようやくか~。で、どこ?」
「零厘」
「そっか~。じゃ、私もそこにしとく~」

 そう言って、殺女は電話を取り出した。
 連絡先は・・・ま、多分光也のところだろうな。
 いや、学園に直接、って可能性もあるか・・・どちらにせよ、殺女も入学決定だな。

「・・・で?どんな方法で入学先が決定したんだよ?」
「仕事。在住陰陽師をやって欲しいんだと。報酬として、学校で必要なお金を全額向こうの負担、出席日数が必要ない」
「かなりの大盤振る舞いだな」
「そうか?個人的には、その上で現金の報酬を貰いたいんだけど」
「傲慢なやつめ・・・」

 と、そのタイミングで殺女の電話が終わった。

「カズ君、とりあえず入学は決定したから、今度目安としての学力テストと、いくつか確認に来て欲しい、って」
「え~、面倒な・・・はぁ、契約関係は光也にでもやらせるか」
「面倒がるなよ・・・って、今陰陽師課のトップを呼び捨てにしたか!?」

 一々反応が大げさだな・・・

「殺女なんて、コウコウって呼んでるぞ?」
「いや、殺女さんは席組みだからいいだろ。でも、オマエはそうじゃないんだし・・・」
「気にしすぎだ。俺にとってアイツは、親のいない俺の後見人で、立場上保護者やってるだけの人だし」
「かなり世話になってるんだな」

 世話になってるつもりはない。
 むしろ、こっちがアイツからの依頼をかなりの頻度でこなしてるし。
 何回、普通だったら死んでる場面があったことか・・・いや、死んでないけどね?
 俺は、あの程度じゃ死なないけどね?

 それでも、あのレベルの仕事ならもう少し報酬を要求したいのを我慢してるんだから、保護者代理なんて大したことじゃないだろうに。



    ========



「・・・終了です」

 で、後日・・・というか次の日。
 俺と殺女は零厘学院に来て五教科分の学力テストを受けていた。

「はぁ・・・疲れた」
「確かに、一気にやるのはこたえるよね~。今日は外食かな?」
「かなり金はかかるが・・・ま、仕方ないな」
「あの、契約関係のほうに移ってもよろしいでしょうか?」
「ん、ああ。どうぞ」

 俺と殺女が夕食について話していたら、すごく割り込みづらそうに監督官がそう言ってきた。
 まだそれがあったな・・・ま、そっちについては光也に全面的に任せるからいいけど。
 で、部屋を変えずに光也と学院のお偉いさんが来て、話し合いが始まる。

「では、まず土御門殺女さんのほうからよろしいでしょうか?」
「はい、構いませんよ」

 お偉いさん・・・恐らく理事だと思われる人の質問に、光也が答える。

「・・・なあ、俺の番になるまで寝てていいと思う?」
「う~ん・・・いいんじゃない?」
「だよな。んじゃ、お休み」
「いいわけないでしょう。寝ないでください。殺女さんの話をするにあたって、一輝さんの話もしないといけないんですから」

 畜生・・・いらねえだろ。

「では、まず最初に、彼女が我が校に入学することは公開してもよろしいのでしょうか?」
「入学後、であれば構いませんよ。変な人が入学してきても困りますし。・・・次の年からについては、またその時に考える、ということで」

 ファンが多い席組みのための対応だな。
 このあたり、皆は大変だな、と思う。

「では、そう言う形でいかせていただきます。次に、そちらのパートナーの方についてはどうして置けばよいでしょう?」
「と、言いますと?」
「同じクラスに配属した方がよいのでしょうか?」

 ああ、そういうことか。
 どうするんだろうな、それは・・・

「それについては、また後ほど」

 と思ったら、光也はそうこたえた。
 一瞬、悪戯をたくらむときの笑顔が出た気がしたんだが・・・気のせいか?

「では、次に寺西一輝さんについて。ぶっちゃけてしまうとランク持ちとはいえまだ卵なのだから、それはどうなんだ、という理事がいまして。どうにかなりませんかね?」
「では、私のほうから一人一人説得しておきます」

 光也のヤツ、やけに俺をここにいれようとするな。

「・・・と、後はここにサインをすれば終わりですかね?」
「はい。これまでに話した内容での契約になりますね」

 え、確認することそれだけ?
 なら別に、わざわざ俺がいる必要ないじゃん・・・

「では、私の名前でサインしておきますね。何かありましたら、私のほうまで連絡してください」
「はい、分かりました」

 まあ、俺は一応未成年だしな。
 そのあたりは、後見人の光也がするのが筋、か。

「・・・と、では。一つお聞きしてもいいですか?」
「?・・・ええ、どうぞ」

 契約が終わってから、光也がそう言ってきて、向こうの人も戸惑いながら話を聞く方向になっている。
 何を話すつもりなんだ・・・?

「・・・彼については、一つ国家機密があります」
「!?」

 光也の一言で、向こうの表情が驚愕に染まった。
 ああ、もうこの段階で話すんだ。

「それについて、他言無用の呪いを受けていただけるのであればその詳細をお話させていただきます。どうしますか?」
「・・・それは、どういった呪いなのでしょう?」
「話そうとすると、口が閉じる。筆談しようとすると、震えて字もかけない。そのようにして人に教えられないようにするものです」
「そうですか・・・では、お願いします」

 お、聞くんだ。
 中々に根性あるな。

「・・・んじゃ、後は任せたぞ光也。俺はもう帰る」
「本人が帰らないでくださいよ」
「やなこった。俺がいたら、そこの人からどんな目で見られるか分からん。俺の性格についてまで、しっかりと説明しといてくれ。帰るぞ、殺女」
「はいは~い」

 そして、俺は後を全部光也に任せて、零厘学院を後にした。

 後日、光也から色々と連絡はあったけど・・・まあ、その場その場で色々しておけばいいだろう。
 
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