貰った特典、死亡フラグ
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死亡フラグ貰いました。
3話:つかの間の平穏 前編
前書き
この主人公は最強にはなれないかも。
「なんて素晴らしい朝なんだ」
時刻は7時半。太陽はもう高く登っている。
幸いにも俺は“エクリプスウィルス”で死ぬことはなかった。あれ? 発症ってどんな感じになるんだっけ?
(思い出せねぇ……)
なんというか、その記憶だけがなくなっている感じだ。殺戮衝動などは覚えているのに。
「んぅ~」
俺の寝ている隣から、声が聞こえた。しかも、なんかもぞもぞ動いている。そういえば、ベッドで寝てたんだっけ……あれ? じゃあ、誰が……。
「みにゅ~~~~~」
顔を出したのはマリだった。俺の思考が一瞬止まる。何でいんの? え、添い寝までしてくれたの!?
(いやいや、焦ってはならん)
こういう時こそ冷静に朝の挨拶。。よくあるじゃないか、添い寝なんて。慣れてるだろ、……ゲームで。
「マリ、お、おはよぅ」
「ふぁえ。あ~、ダレンだ~」
そうして、目を擦りながら起きてきた。寝ぼけている。出てきたのは、まずは顔。その次は白いはだ……裸ぁ!?
「な、なな、おま……」
「どうしたの~? 顔まっか~」
マリは笑っているが、さすがに俺は目をそらす。大丈夫だ、何も見えてはいない!
「なんでそっち向くの? 人と話すときは目を見ないと」
そう言って、俺に近づいてくる。後退りするが、ここはベッドの上。限られたスペース。しかも、俺が寝ていたのは壁側なので、すぐに壁にぶつかった。
「いや、お前、上半身、上半身!」
「何を唐突に…………げ」
やっとお気づきになられましたか~、ってヤバイ! 早くここから脱出しないと!
「ふえぇぇぇぇぇ~~!?!?」
叫び声をあげながら、マリは俺に枕投擲3秒前。マリの上を飛び越え、急いで出口へと走る。“翔翼”使うこんな感じかなぁ。
ボフッと枕が俺に当たる。地味に痛い。扉を閉め、寄りかかる。勢い良く閉めすぎたかも。
『ダレンの変態~!』
「冤罪だ、このやろう!」
「あらあら、若い子達は朝から元気ね~」
目の前に立っていたのは、サーシャさん。とてもにこにこしていた。
「あ、サーシャさん。おはようございます」
「おはよう。どうしたの? そんな、朝起きたら、隣にマリがが寝てて、マリに声をかけたら、寝ぼけて眠い目を擦りながら上半身裸で起きてきて、目をそらしたら逆に近づいてきて、やっと気づいたと思ったら叫ばれて枕を投げられて、変態呼ばわりされた様な顔をして」
「サーシャさん」
「なぁに?」
「見てました?」
「もちろん!」
やだ、この人。見てるんなら助けてほしかった。変態呼ばわりされることをした覚えはない!
「でも、肌白くて綺麗だったでしょう?」
「え、あ綺麗で、じゃなくて! サーシャさんは知ってたんですか? マリがああやって起きてくるのを!」
「知ってたわよ。朝がどうなるか昨夜から楽しみだったわ~」
そう言ってすたすたと台所の方へ行ってしまった。ほんと、なにが目的なんだろうか?
「でも、綺麗だったのは否定できないな!」
そうだな、見ちゃったものは仕方ない。やましい気持ちなんてない、ないぞ!
「なにが綺麗だったのかなぁ? ダァレェン~」
「うわっ!」
気がつかなかった。俺の後ろには怒っているというのすら越えているマリが……。あれか阿修羅すら凌駕する存在か。懐かしいなぁ。
「この変態! 女の子の着替えを、しかも二回も見ちゃうなんて! 変態! 変態!」
「いや、どっちも事故だから! 見ちゃったのは否定しないけど、あと綺麗でした!」
「へ、綺麗?」
お、これは許してくれるか?
「うん、綺麗だった! かわいい! グッド! ……あ、でも胸ぇっ!」
ドスッ! という音という音をさせて、俺のみぞおちにマリが手を突っ込んだ。
「ぱうっ、みぞおち……やめ」
「やっぱり、ダレンの変態~~!」
それから10分ほどマリに追いかけられた。結果はマリが転んで涙目になって終了。仲直りはできました。適度な運動の後の朝食はとても美味しかった。あと、サーシャさん達のにこにこ顔がハンパなかった。
●●
う~、ダレンに裸を見られちゃった。上半身だけだから良かったけど、物凄く恥ずかしい……。忘れてた、ダレンが一緒の部屋にいたこと。
綺麗って言われたけど、胸がどうしたのだろう? 反射的にやってしまったけれど……。う~ん、平均的だと思うけど。
でもダレン、寝てるときにうなされていたけど大丈夫かな?
●●
「ダレン、こっち~」
「お願い、ちょっと待って……」
今、俺達がいるのは開墾地の周りの森。俺は何でここにいるのだろう。てっきり、皆の手伝いでもするのかと思っていたのだが。いきなり、遊んでこい、だからなぁ。
それは、朝食を食べ終わった後。
「いよっし! レッツ開墾!!」
俺の頭の中には、クワを持って高笑いしている俺のビジョンが。ザックザック、物凄いスピードで畑を耕している。
『イヤッハ~ッ! 楽しい~!』
素晴らしいなぁ……。ワクワクしてきた。
「そういえば、ダレン君」
「はいっ! なんなりとっ! 早速、クワでザックザックですか?」
サーシャさんからの呼び掛けに、俺は準備万端をアピール。あとは、クワを持って外へと駆け出していくだけだ! 開墾への熱意は急上昇。
「えーと、今日はやらなくていいわよ?」
「へ?」
その言葉に、スーっと俺の開墾に対する熱意が冷めていくのを感じた。なんで? やるんじゃないんですか?
「ダレン君、昨日倒れてたじゃない。だから、いきなり働くんじゃなくて、
少し体動かして慣らさないとダメよ?」
「いや、でも……」
「だーめ。アルさんからも言われてるし。マリと少し遊んできなさい。あぁ、若い男女2人きり。アルさんとの昔のことを思い出すわ~」
また始まった。朝食の場でも聞かされた、惚気話。マリはまたか、という顔をしながらも楽しそうに聞いていた。
「そういうことで、マリと一緒に遊んできなさい」
遊ぶといっても俺、17歳だし、大人だし。それにしてもマリと2人きりにして危ない、とか思わないのだろうか? まぁ自分、ヘタレですから。
「じゃあ、行ってきます」
「ええ、いってらっしゃい。マリは玄関にいるわ。エスコートちゃんとね?」
「わかりました」
サーシャさんに言われた通り、玄関にマリはいた。左手に何か持ってるけど何だろう?
「あ、ダレン来た~」
笑顔で振り返るマリの左手にはギラリと光る鉈が1本。……殺される!?
「ひいぃぃぃぃっ!」
「ちょっ、どうしたの!? ダレン!」
「どうか、お命だけはっ! なにとぞっ!」
土下座をし、拝む。そうか、もしかしたら、裸見られてたのまだ怒ってるのかっ!?
「大丈夫だからっ! この鉈は木を切るためだから、ダレンは切らないから!」
良かった。俺は切られずにすむのか。マジで死への危険を感じた。
「そうか、なら気を取り直して……。行きましょうか、お嬢さん」
マリにスッと手を差し出す。まるで執事の様に。いや、本物の執事知らないけど。
「おっ、お嬢さん?」
マリが驚いた顔をしている。エスコートってこんな感じじゃないの? テレビでよくやってるし。それとも、マドモワゼルの方が良かったのかな? ところで、マドモワゼルって何て意味?
「サーシャさんに、エスコートちゃんとしなさい、って言われたからこんな感じかと」
「そういうことね。びっくりしたよ~、いきなりこんなことされたから~」
そう言ってマリは俺の差し出した手を握る。これって……
「まるで、付き合ってる男女みたいなあぁぁぁぁぁっ!?」
言った瞬間にマリが顔を赤くし、体を回転させる感じで握っている右手をおもいっきり、振りほどいた。そうすると、左手に持っている鉈が襲いかかってくるわけで。
「おぅっ! 死ぬかと思った!」
そして、左手からすっぽ抜けた鉈はマリの家に刃が食い込んでいた。ドジッ娘にも程がありすぎるっ!
「もうっ! いきなりそんなこと言うからっ!」
俺のせいかよ。まぁ、手を繋ぐ提案をしたのは俺だけど……。危なかった。
「まぁ、悪かったと思ってるかも。それより、早く行こう?」
これ以上ここにいると、墓穴を掘りそう。いや、マジで。
「どこに行くかわかってる?」
「……ごめん、わかんない」
そういえば、聞いてなかった。遊びに行ってこい、って言われただけで。これではエスコートできないな。
「もうっ。森で遊ぶついでに薪取りに行くんだよ? それじゃぁ……エスコートよろしくね、ダレン!」
そう言ったマリは、まさに眩しいと言える笑顔だった。ほんと、可愛いなぁ! 左手に鉈を持っていて少し怖かったけど。
●●
「ダレン君はちゃとエスコートできるかしら?」
ダレン君とマリの様子を窓から覗く。鉈が飛んできたときには、正直驚いた。
「なに、大丈夫だろう。マリのドジッ娘は相変わらずだなぁ!」
「もうっ! 笑ってる場合じゃないですよ、アルさん」
今は落ち着いているが、昔はもっとひどかった。歩いては転び、皿を持っては落としていた。でも、一番は……
「なに心配するなサーシャ、ダレンならマリのことを守ってくれるかもしれないさ。マリだって……そう思ってる」
私の心配を思ってか、アルさんがそう言う。やっぱり、人の心の変化には敏感な人ね。そこが好きなのだけれど。
「そうね。マリが認めたダレン君だものね」
マリはダレン君を見て少し、良い方向へと変わったのかもしれない。
後書き
武器募集のほうはまだまだ続きます!
感想、アドバイスなどよろしくお願いします
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