マカロニウエスタン
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第四章
「けれどな」
「それでもな」
「ああ、俺達はな」
作る方はというのだ、その真似を。
「真剣だよ」
「それでいい作品を作ろうってな」
「真剣に思ってるよ」
心から、というのだ。
「時間も金も使ってな」
「情熱もな」
「今撮ってるのもだよ」
彼が監督を務めているこの作品もというのだ。
「そうしているからな」
「そうだよな。だからわざわざスペインまで来てるしな」
「絶対に名作にするさ」
今撮っている映画もだというのである。
「上映待っていてくれよ」
「ああ、心待ちにしてるぜ」
チンベッサはファリーナに笑顔で応えた、そのうえでこの作品のクランクアップまで現地スタッフとして働いた。
そしてクランクアップの夜にだ、完成を祝う場でワインを飲みつつファリーナ達に対して笑顔で話したのだった。
「じゃあ後はな」
「イタリアで上映してな」
「スペインでもな」
「それ待ってるぜ」
心から言うのだった、この言葉を。
「楽しみにな」
「その上映奥さんと一緒に観てくれよ」
「子供さん達ともな」
「ははは、若い綺麗な姉ちゃんならいいけれどな」
チンベッサにはそうした相手はいない、それで冗談で言った言葉だ。
「まあ今回も女房とガキ共と一緒に観させてもらうぜ」
「ああ、楽しんでくれよ」
「この映画も」
「そうさせてもらうな、それじゃあな」
こうした話をクランクアップの祝いの場でした。そして実際の上映の時だ、彼は最後まで観てスタッフロールの場面で一緒にいる女房子供達に言った。
「ほら、あれな」
「あんたの名前だね」
「お父さんの名前ね」
「ちゃんとあるね」
「ほらな、俺もあの映画を作ってたんだよ」
そのスタッフの一員だったというのだ。
「凄いだろ」
「ええ、何時観てもね」
女房もだ、自分の亭主に笑顔で応える。
「あんたの名前があるのを観るのはね」
「いいものだろ」
「本当にね。この映画も面白かったわ」
「そうだろ。皆真剣に撮ってるからな」
「撮影はなのね」
「ああ、真面目だよ」
真面目にだ、撮影をしているというのだ。
「本当にな」
「そうなのね」
「アメリカの真似にしてもな」
それでもだというのだ。
「作る方は真剣だよ」
「あんたもだね」
「仕事だしな」
それだけにというのだ。
「それも当然だよ」
「仕事だからなのね」
「ああ、真面目にすることがな」
そうして作ることがというのだ。
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