ダブルアクション
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第六章
「だからいいと思う、ではな」
「はい、頑張ります」
「二人で」
淳も麻友も津山に確かな声で答えた、そうしてだった。
二人は白鳥の湖の練習を進めていく、二人の息は合っていた。
だが練習中にだ、二人で滑っている時に。
麻友は足を滑らせてしまった、それで転倒しそうになったが。
淳がその麻友の身体を受け止めた、そして言うのだった。
「大丈夫?」
「え、ええ」
麻友は転倒しそうになった狼狽を残しながら答えた。
「有り難う」
「注意しないとね」
「若し淳君がいないと」
どうなっていたかとだ、麻友は淳に手伝ってもらって体勢を元に戻しながら言った。
「危なかったわ」
「転倒はね」
「ええ、演技の時のマイナスになるだけじゃなくて」
それだけでなく、だ。
「怪我の元だから」
「怪我は大敵だからね」
フィギュアだけでなくスポーツ全体に言えることだ。
「気をつけないとね」
「そうね、本当に今はね」
麻友は淳の顔を見上げつつまだ狼狽が残っている顔で言った。
「淳君のお陰で助かったわ」
「どうも、けれどね」
「けれど?」
「それは俺も同じだから」
微笑んでだ、淳は麻友にこうも言った。
「実はね」
「そうなの?」
「うん、いつも麻友ちゃんにどうしようかって相談するじゃない」
「ええ」
「その時にアドバイスしてくれるから」
だからだというのだ。
「それを参考にしてるからね」
「だからなの」
「うん、麻友ちゃんには助けてもらってるよ」
「それは私もよ」
「麻友ちゃんも?」
「淳君もアドバイスしてくれるから」
だからだというのだ。
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