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完璧で瀟洒な従者…だが男だ

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第2話 銀髪に美しい顔立ちの転校生…だが男だ

 
前書き
しばらく間が空いてしまい、申し訳ございません。
息抜き程度にしか考えていなかったのですが、まさかお気に入りがここまで増えるとは思ってもいなかったので作者自身としては嬉しい限りです。
これからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。
 

 
お嬢様から命を受け、美鈴に気を使われた(文字通りの意味で)数日後。
僕はとある学校の門の前に立って居た。
道行く学生達は僕の事を何事かと思って見ているのか、視線が此方に集中しているのが分かる。

(うぅ、お嬢様ぁ…)

その視線のお陰で僕の胃痛はマッハです。




私立駒王学園。
それが今日から僕の学び舎になる学園の名前だ。
確かお嬢様の話によると、元はお嬢様校だったらしいが少子化の影響でつい最近共学になったらしい。
なので、女子七割男子三割と圧倒的女子率である。
しかしその実態は悪魔が土地を管理する為に隠れ蓑にしている学園、との事だ。
この土地を管理しているのは人間でいうところの高校三年生くらいの年齢らしい。
とりあえずまとめてみるとこんな所か。

しかし、今から悪魔の縄張りに入るかと思うとなぁ…いや、弱気になるな僕!
紅魔館の皆の事を思い出せば、このくらいの事何てこと無い。

(…よし)

さて、行きますか。
そう思い僕は足を進めた。


◆◆◆

時は進んで放課後。
え?飛び過ぎ?
….だって別に、特筆するようなことは全く無かったし。
せいぜい自己紹介の時に、

「どうも皆さん初めまして、十六夜咲夜です。趣味は料理、特技は種の無い手品です。これからよろしくお願します」

「シャベッタァァ!!」
「銀髪でイケメン、嫌いじゃないわ!」
「イヤッホー、駒王サイコー!」
「今日の私は、阿修羅すら凌駕する存在だ!」


…等々、教室が全体的に騒がしかったのは覚えている。
まだ一年生とは言え、こんな騒がしいもんなんだね高校生って。
学生時代は分かんなかったけど、前世+今世の年齢を重ねた今なら分かる気がする。
そう思いながら荷物を纏めて帰る準備をする。

「あ、そういえば醤油切らしてて無かったかも。買ってから帰るかな?」

そう思い、僕は学校から家への帰宅路地を歩きながら明日からの事について考えていた。



学校から紅魔館までの距離は意外とある。
そこまで疲れはしないが、一般人からすれば骨が折れる…とまでは言わないが結構疲れる距離だ。
だがこの完璧で瀟洒な従者は違う。
なんせそこんじょそこらの一般人では無いのだから。
と、普段通りに歩いていたら紅魔館が見えてきた。
が、

「?」

けどおかしい。
何時もなら門の前にいて門番してる筈の美鈴が居ない。

まさか、何か美鈴の身に在ったのか!?
そう思った僕は紅魔館に迎う足を速めた。
常人の足ならば数分は掛かるであろう距離を一瞬で詰め、門を開けて中に入り、探し人である美鈴の名前を呼ぶ。

「美鈴!何処に居るの⁉︎」

しばらくの間が在り、ますます焦燥感に駆られる僕の耳に呑気な声が聞こえてきた。

「あ、咲夜さん。お帰りなさい、随分早かったですね?学校は如何でしたか?いや〜今日は大変でしたよ、久し振りにメイドの仕事をしましね…お陰でちょっと今日はいつも以上に疲れた気がしま……」

僕の後ろから聞こえてきた声に振り返ると、そこにはジョウロを片手に持って、人懐っこい笑みを浮かべているうちの門番が居た。
当然この状況下では指し示す人物は彼女一人しかいない。
恐らく、趣味の花壇の手入れでもしていたのだろうか。
だからといって門番が自分の持ち場を離れるとは何事か。
人が凄く心配していたのに、この人から毒気を抜くような笑顔には、怒る気も無くなる。

と言うか大体、僕の抜けた穴を誰が埋めるかとなれば美鈴くらいしか適切な人物は居ないので、その事を全く考えてみもしなかった僕にも落ち度はある。
まぁ要するに、僕も瀟洒な従者とは言えぬようなうっかりをしてしまったということだ。

「…美鈴」

となると、彼女に言うことは一つだ。

「?何ですか、咲夜さん?」



「ただいま。あとちょっといい?」

「はい?」



完全な余談だが、門の前で執事服の少年に怒られている華人小娘の姿が近隣で見られたとか。


◆◆◆

そしてその夜。
お風呂上がりのお嬢様の髪を乾かしている時の話。
ちなみに僕はちゃんと目隠しをしてます。
…隙間から覗くような真似はしてないよ?本当だよ?

「咲夜」

「はい、お嬢様」

「学校はどうだった?」

「まぁ少しは楽しめそうですよ」

「そう…」

「お嬢様?如何されましたか?」

「今の内に日常を楽しんだ方がいいわ、彼処はじきに戦場になるわ」

「はい。…え、お嬢様今何と?」

「さぁ?もういいわ、貴方も早く寝なさい。明日も学校でしょう?」

「あ、はい」

(絶対に悪魔達には関わらないようにしよう!)

そう思う僕だった。



しかし、彼は気づいていなかった。


──その時点でもう既にフラグだと言うことに。



























 
 

 
後書き
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