美しき異形達

「俺達にとってはな」
「じゃあ闘うだけか」
「今もなのね」
「そういうことだ」
　薊と向日葵にも言った。
「だからだ、今もだ」
「ここで貴様等を消させてもらう」
　サボテンの怪人に続いてイソギンチャクの怪人も言ってきた。
「ではいいな」
「覚悟は出来ているな」
「じゃあ丁度手合わせしてたし」
「今回はね」
　薊と向日葵が他の仲間達に顔を向けて確認を取った。
「あたし達がな」
「今回は闘うわね」
「まあ、万が一はない様にするけれどな」
「何かあった時は宜しくね」
「何かあった時はすぐに出るわ」
　薊はクールな目で二人に答えた。
「安心して闘って、二人共」
「そうか、じゃあな」
「安心して闘わせてもらうね」
　見れば菊と桜もだった、温かい笑顔で二人を見ていた。二人はいざという時のことがわかってそうしてだった。
　心を落ち着かせた、そのうえでだった。
　あらためて怪人達に顔を向けてだ、彼等にはこう告げた。
「じゃあな」
「はじめていいわよね」
「一対一か」
「それで闘うのね」
「ああ、二対二じゃなくてな」
「二組のカードになるわね」
　二人もこう怪人達に答える。
「一対一同士の」
「そうした闘いね」
「そうだな、しかしだ」
「俺達もそれでいい」
　怪人達もそれで構わないと言うのだった。そしてだった。
　お互いに対峙した、するとすぐにだった。
　怪人達から仕掛けた、サボテンの怪人はその右手に丸いサボテンを出してそれをだ、薊に対して投げた。薊の相手はこの怪人だった。
　イソギンチャクの怪人はその右手、鞭を向日葵に向けた。自分で相手を指名してそのうえでの攻撃だった。
　薊はそのサボテンを棒で打ち落とした、だが。
　サボテンは打った瞬間に爆発した、その爆発を見た瞬間にだった。
　薊は後ろに跳んで爆発をかわした、そして着地してから言うのだった。
「中々ねえ」
「ただのサボテンと思っていたな」
「ああ、実際ね」
　その通りだったとだ、薊は苦笑いで答えた。
「そうだと思ってたんだがね」
「生憎だがな」
「爆弾だったんだね」
「手榴弾と思え」
　それだというのだ。
「そうしたものだ」
「あんた達も芸が細かいね」
「そう思え、ではだ」
「今回の闘いも楽しめそうだよ」
「貴様は楽しむことはない、死ぬだけだ」
「言うね、言葉も」
「そうなることを言っただけだ、ではだ」
　怪人はまた爆弾を投げてきた、サボテンのそれを。
　そしてだ、またサボテンを投げてきた。薊は今度は棒で打ち落とさず左右にフットワークを使ってかわした。その薊達の横では。
　向日葵がイソギンチャクの怪人の鞭をかわしていた、鞭は縦横に動き向日葵を襲うが向日葵も左右に動いてだ。
　鞭をかわす、怪人はその向日葵を見て言った。
「思ったよりもな」
「動きがいいっていうのかしら」
　向日葵は右に回転して鞭をかわして屈んだ姿勢で怪人を見て言った。
「私が」
「弓道の動きではないな」
「弓道しかしていないけれどね」
「しかしか」
「力に目覚めてからね」
　それから、というのだ。