ロックマンX~朱の戦士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二話 イレギュラーハンター
前書き
ルインがイレギュラーハンターに入隊する話。
ルインがドクター・ケインと暮らし始めて数ヶ月後。
レプリロイドとしての生活にも慣れてきた頃、自分が転生する前に立てた目標。
エックス達に会うという目標の元、試験を受けることにした。
イレギュラーハンターとなるためにはシミュレートルームで仮想エネミーの戦闘試験でランクを決めなければならない。
「準備はいいかい?」
ルイン「はい」
試験官の言葉に笑顔で、彼女は答えた。
ハンターベースの訓練施設の中で、シミュレートルームは1番広い。
実際の事件現場などを再現し、訓練する為の場所なので、広い方が多くのものを再現できるのだ。
「状況判断も採点対象に入ってるから、設定内容は教えられないが…」
ルイン「大丈夫です。」
試験官の説明に、迷うことなく返事をする。
「分かった。では…試験スタート!!」
精巧な立体映像が出現する。
ルインは銃、ZXバスターを抜き、メカニロイドを撃ち抜いた。
「……無駄がないな…」
彼女は動きに全く無駄がない。
最小限の動作で攻撃を繰り出し、かわし、隙もない。
見ていて華もある。
動く度に金髪がふわりと揺れる。
戦い方もそうだが、整った顔立ちも相まって、より一層美しく見える。
ルイン「こいつで…ラスト!!」
フルチャージしたチャージショットを放ち、大型メカニロイドのコアを破壊した。
「…………状況判断力、SA。達成時間、12分26秒31。達成率、91%。減点5。総合点、SA…特A級だな。検討する間でもなく」
ケイン「う~む、最初の登録試験で特A級に一発合格なんて、ゼロ以来じゃのう…」
優秀なレプリロイドがイレギュラーハンターに入るのは実に喜ばしいが……。
優秀すぎて釈然としない。
試験結果を聞かされたルイン本人はと言うと。
ルイン「特A級…(現時点で)1番上のランクですよね?」
確か、今から100年後にS級ランクが出来たから、現時点の最高ランクは特A級だ。
ルイン「良かった…B級がいいところかなと思ってたんだけど…下のランクより上のランクの方が嬉しいや」
ルインの無邪気そうな表情にケインも顔を綻ばせてしまう。
このレプリロイドはどういうわけか、エックスと同じくらいレプリロイドとは思えないくらい人間臭い。
戦闘力は高いが、ワクチンが大嫌いで飲ませようとすれば、逃げ出そうとするし、幽霊という非科学的な物も怖がるなどレプリロイドとは思えないくらい人間らしい。
ケイン「(わしには嫁も子供もいなかったが…娘がいればこんな感じだったかもしれんのう……)」
ルイン「博士?」
ケイン「ああ、すまんのう。お主はこれから特A級のハンターとして第17部隊に配属される。頑張るんじゃぞ」
ルイン「はい!!」
翌日、ルインは第17番精鋭部隊へと配属されることになり、隊長であるシグマの元に向かっていた。
ルイン「(うぅ…緊張するなあ…)」
緊張しながらも先を行くルイン。
そしてシグマの部屋の前に立つ。
ルイン「シグマ隊長。本日をもって第17番部隊に配属されることになったルインです」
シグマ「入れ」
低く重厚な声が聞こえた。
部屋の中に入ると、シグマがルインを見下ろしていた。
シグマ「ルインだったな。今日から我が部隊の一員として頑張ってくれたまえ」
ルイン「は、はい…」
「お呼びですかシグマ隊長。エックスです」
ルイン「!!?」
「入れ」
扉が開き、そこには蒼いアーマーを身に纏うレプリロイド。
全てのレプリロイドの元となったロックマンエックスがいた。
ルイン「(うわあ…本物だ…)」
感動を抑え切れず、少し身体を震わせてしまうがシグマもエックスも気付くことはなかった。
シグマは自分が慣れるまでの間、エックスに自分の相手をするように言った。
エックス「はい。それじゃあ…ルイン…行こうか?」
ルイン「あ、はい!!」
エックスと共にルインはシグマの部屋を後にした。
ルインはエックスの隣を歩きながらエックスをチラチラと見ていた。
ルイン「(本物…本物のエックスだ…)」
ずっとずっと実物を見てみたいと思っていたから感激も大きい。
エックスはエックスでルインの容姿を見ていた。
現時点の現存するレプリロイドとは違う細身のアーマー。
だが、腰にまで届く金髪はアーマーの色も相まって親友の兄妹型ではないかと思ってしまうのだ。
ルイン「エックス…先輩だよね?」
エックス「そうだよ。でも先輩は止めてくれないかな?そういうの苦手なんだ…」
苦笑しながら言うエックスにルインは頷く。
周りを見れば、他のレプリロイドがチラチラとルインを見ていた。
ルインは微妙に居心地の悪さを感じた。
ルイン「ね、ねえ…なんかみんな私のことジロジロと見てるんだけど…」
自分は何かしてしまったのだろうかと不安になり、エックスを見上げる。
エックスも気づき、苦笑を浮かべながら首を横に振る。
エックス「ああ、君の容姿はあるレプリロイドに似ているからだよ。」
ルイン「私に?」
エックス「名前はゼロ。俺の…大切な親友だよ」
ルイン「親友…」
そういえばこの姿の元になったのはモデルZXはゼロをベースにした姿だからゼロに似るのは当然かもしれない…。
しばらく歩くと、訓練所に着いた。
そこには紅のアーマーを身に纏い、腰にまで伸びた金髪をしているレプリロイド、ゼロであった。
その隣にはストーム・イーグリードと呼ばれるレプリロイドがいた。
イーグリード「ん?おい、エックスと…隣にいるのはお前の兄妹型か何かかゼロ?」
ゼロ「何?」
ゼロはエックスの隣にいるルインに視線を遣る。
ルインはルインでジッとゼロを見つめていた。
エックス「彼女はルイン。今日からこの第17番精鋭部隊に配属されることになったんです」
イーグリード「ほう?ランクは?何級だ?」
ルイン「と、特A級です。イーグリード先輩とゼロ先輩と同じ…」
イーグリード「ほう?」
自分と同ランクということにイーグリードは目を見開いた。
エックス「それだけじゃないんです。彼女はゼロに匹敵する程の成績で特A級ハンターに一発で合格したんですよ」
イーグリード「ほう、この娘の容姿といい、完全に女版ゼロだな。性格は対称的なようだがな」
ルイン「は、初めまして、ゼロ先輩」
ゼロ「先輩は止めろ。ゼロでいい。後、敬語は止めろ」
ルイン「あ、うん…分かった」
ゼロの言葉にルインは慌てて返事をする。
エックスはゼロは、そういう言葉使いをされることが面倒だと思っていることを知っているために苦笑していた。
イーグリード「それにしてもお嬢さんはゼロに似ているな」
ルイン「そ、そんなに似てますか?」
エックス「うん。その朱いアーマーといい、金髪といい、そっくりだよ」
ルイン「は、はあ…」
こうして第17番精鋭部隊に配属されることとなったルイン。
彼女は彼らとどのような物語を描いていくのだろうか?
後書き
エックスとゼロと出会った夢主。
彼女はこれからどのような物語を描いていくかは誰にも分からない。
ページ上へ戻る