久遠の神話
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第百五話 テューポーンその十
「間違いなくね」
「そうですか、じゃあ」
「私は戦わないわ」
上城、彼とはというのだ。
「そして魔の剣士とも」
「そうされるんですね」
「最後まで見させてもらうわ」
「じゃあ僕は」
「未来は一つよ」
その未来しか許さないというのだ。
「わかっているわね」
「それはもう」
「ならいいわ。それではね」
ここまで話してだ、スフィンクスはというと。
姿を消した、そしてだった。
後に残ったのは上城と樹里、そして聡美だった。樹里は上城が自分達のところに来ると微笑んでこう言った。
「見させてもらったわ」
「うん、勝ったよ」
「凄い闘い方だったわね」
「スフィンクスさんがアドバイスをしてくれたからね」
だからだとだ、上城は樹里に微笑んで話した。
「勝てたよ」
「いえ、それは違います」
樹里の横にいる聡美が微笑み上城に言った、謙遜した彼に。
「この勝利はです」
「これはですか」
「貴方が手に入れたものです」
「ですがスフィンクスさんは」
「忠告を聞くか聞かないかはです」
このことはというのだ。
「その人が決めることなので」
「だからですか」
「貴方はスフィンクスの忠告を聞き入れました」
「僕が決めたからですか」
「はい、貴方が手に入れた勝利です」
「スフィンクスさんのお陰じゃないんですか」
「勝因の一つだったことは確かです」
このことは間違いないというのだ、だが聡美はこの勝利はあくまで彼が自分の力で手に入れたものだというのだ。
「その忠告から貴方は力を使われましたが」
「それをですね」
「ああした風に。しかもテューポーンを倒せるだけの力があったので」
「僕が手に入れた勝利だというのですね」
「その通りです、ですから」
聡美は微笑んで上城に話していく。
「貴方はテューポーンの力を手に入れるだけのものがあるのです」
「そうなんですね」
「むしろスフィンクスのあのアドバイスからあれだけのことが出来た貴方は素晴らしいです」
聡美は微笑み彼にこうも話した。
「私には無理でした」
「銀月さんでもですか」
「はい、とても」
そうだったというのだ。
「私にしても。しかも私は逃げていますから」
「あの時に」
「そのテューポーンを向かい合っただけでも驚いていました」
聡美は自分の心境も隠さずに話した。
「人は神には出来ないことが出来ます」
「上城君がですか」
「神だからといって奢ってはそこに破滅を呼びますね」
樹里に応えながらの言葉だった、聡美の今の言葉は。
「私もそのことを教えてもらいました」
「上城君からですか」
「はい。そうです」
聡美は樹里にも微笑みを向けて話した。そのうえで上城に顔を戻してそして彼にこうも言ったのだった。
「貴方ならこの無益な戦いを絶対に」
「終わらせられますね、上城君なら」
樹里も言ってきた。
「それが出来ますよね」
「間違いなく。テューポーンを倒したのですから」
「では」
「私も最後まで見させてもらいます」
微笑みだ、こうも言った聡美だった。
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