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万華鏡

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第七十七話 迫るバレンタインその四

「だから私もね」
「景子ちゃん前もそうしたお話してたわね」
「まあね、いつも意識してるからね」
「将来は神社の奥さんね」
「そうなのよ、だからその人に教えてもらってるのよ」
 自分の将来のことを考えてだというのだ、景子はまだ高校生だが将来のことも考えているのだ。それでなのだ。
「神社にもお寺にも行ってね」
「奥さんのお話聞いてるのね」
「本当に宗教施設は奥さんだから」
 その人でもっているというのだ。
「キリスト教の教会でもね」
「そういえば」
 ここで里香がこの話を言ってきた。
「カトリックの神父さんは家庭持てないわよね」
「普通はね、というか」
 景子は里香のその問いにも答えた。
「表立ってはね」
「それでもなの」
「実は、ってこともあるのよ」
「そういうことね」
「昔はお坊さんもそうだったから」
 仏教の僧侶達のことだ、江戸時代まで妻帯は出来なかったのだ。ただし浄土真宗は新欄上人からそれも問題ではなかった。
「まあ一応は、ね」
「神父さんもなのね」
「牧師さんはいいから」
 公に認められている宗派が多いのだ。
「そういうことなのよ」
「その事情はわかったわ」
「今はお坊さんでも普通に結婚していいから」
「それでお寺にもなのね」
「行ってそこの奥さんに教えてもらってるの」
 宗教家の妻としてどうあるべきか、ということをというのだ。
「本当に勉強になるわ」
「景子ちゃんって本当に勉強家だよな」
 美優は走りながら言った。
「神社のこととか」
「いや、そうしないとね」
「駄目だってんだな」
「色々と覚えることが多いから」
 だからだというのだ。
「そういうことも頭に入れてね」
「高校生からか」
「色々勉強してるの」
「そうなんだな」
「そうなの、けれどそれがね」
「それが?」
「かなり楽しいのよ」
 景子は目を輝かせて美優、それに他の三人にも話した。
「こうした勉強がね」
「人生の勉強ってやつか」
 その勉強がどういったものか、美優は言葉で表現した。
「それだよな」
「そう、その人生の勉強がね」
「面白いんだな」
「そうなのよ、実際に生活で参考になるから」
「そうよね、実際に業務用のお店に買いに行くとかね」
 琴乃も走りつつ景子に言う。
「凄い知恵よね」
「そうでしょ」
「うん、他にもあるの?そういうこと」
「色々あるの、買う食べものでもね」
 それについてもだとだ、景子は話す。
「いいお野菜とかお魚の見分け方とか。保存の仕方とか」
「そういうこともなの」
「あと電気代、お水の節約の仕方ね」
「何か本当に生活の知恵ね」
「そういうことがどうしても必要になるじゃない」
 生きるにあたってだ、そうしたことは確かに何時の時代でも必要だ。そうしたことがわからないと何かと無駄が多くなる。
 それでだ、景子も勉強しているというのだ。 
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