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久遠の神話

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第百四話 最後の戦いの前にその六

「その荒ぶる神の力を手に入れます」
「そうですね、では」
「その力も手に入れて」
「そしてですね」
「最後の闘いに赴かれて下さい」
 加藤とのそれにだというのだ。
「是非」
「わかりました、それでは」
「確かにテューポーンは強敵ですが」
「それでもですね」
「今の貴方ならば」
 こう上城に言うのだった。
「勝てますので」
「その力を手に入れてですよね、本当に」
「魔の剣士はただひたすら闘い続けています」
 それが楽しいからだ、やはり加藤は戦闘狂だ。
「剣士としても」
「それだけにですね」
「はい、強いです」
「闘い続けているから」
「そうした人がです」
「やっぱり、ですね」
「最も強いです」
 雑念なくひたすら戦っているからだ、それだけ強くなるというのだ。
「その剣士と闘い、勝つには」
「僕もですね」
「強い相手と闘わなければ」
「だからこそですね」
「スフィンクスもわかっているからです」
 知恵の怪物である彼女にしてもというのだ。
「貴方にテューポーンと闘ってもらうのです」
「そしてその力を得て」
「そうです」
 まさにというのだ。
「勝ってもらい」
「この戦いも」
「終わらせてもらいます」 
 是非にという口調だった。
「そして私達はその貴方にです」
「これまで何かと助けてくれました」
「最後まで、です」
 その助けることはというのだ。
「続けさせてもらいます」
「そうなんですね」
「若しお姉様が戦いの終わりを認められなければ」
「その時はですね」
「私達がお止めします」
 声の主であるセレネーをというのだ。
「お姉様のことは私達がしますので」
「僕はですね」
「ご安心下さい」
「この戦いで終われば」
「それに越したことはありませんね」
「そうですね、誰もが幸せな結末なら」
「それは最高の結果です、ですが」
 しかしだとだ、ここで聡美はこう彼に言った。
「そうなることは残念ですが」
「あまりないですか」
「人も神もその幸福はそれぞれです」
 悲しい目になりだ、聡美は上城に話した。
「それは貴方達の願いを御覧になられればおわかりになられると思います」
「そういえば」
 言われてみればだった、まさに。
 上城は聡美の今の言葉にわかった顔になった、それでこう言った。
「僕は戦いがない平和な状況が幸せで」
「日常がですね」
「はい、ですが中田さんは」
 彼はだ、どうかというと。
「家族の方々と一緒にいたくて」
「その他の剣士達もでしたね」
「それぞれ願いが違いました」
「そしてその考える幸せも」
「そうですね、本当に」
「幸せはそれぞれなので」
 神でも人であってもだ、その願い楽しめる幸せは違うというのだ。 
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