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万華鏡

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第七十五話 大雪の後でその五

「そう思ってたけれど」
「実はだったのね」
「合コン場所でもあったのね」
「そうだったの」
「今年はどうなるのかね、ベイスターズ」
 美優はベイスターズ自体について不安そうな苦笑いになって言った。
「また五位かね」
「最下位にはならないわよね」
 里香も少し心配そうに言う。
「やっぱり」
「巨人があるからな」
「巨人今年も故障多いしね」
「しかも主力がどんどんメジャーに行ってるからな」
「親会社も大赤字でお金がないから」
「今年も最下位だよ」
 美優は心から嬉しそうに、期待する声で言った。
「絶対にな」
「そうよね、もう」
「ああ、阪神は今年も日本一でさ」
「横浜は」
「クライマックスで会って戦いたいな」
 美優は今度は温かい声で言った。
「やっぱり」
「そうよね」
 里香も美優のその温かい言葉に頷く。
「巨人以外のチームとはね」
「だよな。けれど巨人ってな」
「何かね」
「どんなに努力してもな」
 そうしてもというのだ。
「好きになれないよな」
「無理なのよね」
「あそこまで嫌いなスポーツのチームってな」
「そうはないわよね」
「巨人は特別だよ」
 阪神とは逆の意味でだ。
「本当にな」
「知れば知る程嫌いになってね」
「そんなところ他にないよな」
「多分ね」
 まさに巨人だけが持っている特質だ、巨人の歴史はそのまま邪悪の歴史であると言っても過言ではない。
 その巨人の話からだ、五人はこうしたことも話した。
 琴乃は廊下から見えるその雪を眺めながらだ、四人に言った。
「もうそろそろ二月だから」
「あっ、キャンプ」
「それね」
「うん、阪神のキャンプには雪は降らないわよね」
「流石にそれはないでしょ」
 景子が琴乃のその心配に答えた。
「キャンプ地はそうした場所を選んでるから」
「だからよね」
「うん、ないと思うわ」
「だといいけれど」
「そもそも寒い場所で身体動かしたら」
 景子はその場合どうなるかも言った。
「怪我しやすいから」
「身体が硬くなってるから」
「そう、だから暖かい場所でキャンプするから」
「雪はなのね」
「サイパンとか宮崎でないわよ」
 雪は、というのだ。
「幾ら何でもね」
「じゃあ安心して」
「そう、キャンプ見守ろう」
「阪神は今年もやってくれるわよね」
「打線が打てばね」
 これに尽きた、阪神は。 
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