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万華鏡

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第七十五話 大雪の後でその一

              第七十五話  大雪の後で
 雪はまだまだ残っていた、止んだとはいえ。
 プラネッツの五人は食堂でお昼を食べた後で学校の渡り廊下を進んでいた。そこの左右から見える雪を見てだった。
 美優は唸る様な顔になった、そのうえでこう四人に言った。
「なあ、ちょっとな」
「この雪はっていうのね」
「大雪は」
「正直参ったよ」
 口は歪ませてはいないが妙な形になっていた、何処か家鴨に似た顔になっている。
 そしてその顔でだ、こう言うのだった。
「昨日は」
「美優ちゃん昨日は何してたの?」
「何って飲んでたよ」
 そうしていたとだ、景子に答えた。
「飲んで風呂入って」
「そうしてたのね」
「あとゲームしてさ」
「それ私もよ」
「景子ちゃんもかよ」
「だってね、学校にも行けないしお外にも出られないし」
「それじゃあどうしてもだよな」
「その三つしかすることないわ」
 食べる、寝る以外にはというのだ。
「お酒はかなりあるから」
「神社だからな、景子ちゃんとこ」
「それでお母さんと一緒に飲んでたの」
「女同士でか」
「兄さんは兄さんで飲んでてね。お父さんも」
「一家全員でか」
「そう、飲んでたわ」
 景子の家でもそうしていたというのだ。
「あとお風呂入って」
「何か雪だとそうだよな」
「そうそう、どうしてもね」
「ルームランナーでもあればな」
 ここでこうも言った美優だった。
「別なんだけれどな」
「私コンビニ行ったけれど」
 彩夏はこう美優に話した。
「これ位の雪なら普通だけれど」
「えっ、外に出られたのかよ」
「だから私秋田生まれだから」
 雪の多いこの県生まれだからだというのだ。
「これ位の雪ならね」
「平気なんだな、彩夏ちゃんは」
「そう、普通だから」
 秋田の冬ではというのだ。
「コンビニに行けたわ。けれどね」
「けれど?」
「お客さん誰もいなくてね」
 そしてだったというのだ。
「お店の人も凄く退屈そうだったわ」
「まあね。この雪だと神戸だとね」
 里香もその雪を見つつ言った、学園の中は全て白く化粧されていて木々も厚い雪を背負っていて苦しそうである。
「動けなくなるから」
「誰もよね」
「そう、本当に誰もね」
 そうなるというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「コンビニもね」
 普段は常に人が出入りする場所だ、しかしだというのだ。
「誰も行かないわ」
「そうなのね」
「けれど彩夏ちゃんにとってはなのね」
「まだね」
 この位の雪なら、というのだ。
「大丈夫よ」
「秋田って凄いのね」
「本当にもっと雪が降るから」
「こんなものじゃなくて」
「一メートル積もったりとかね」
 実際に東北や北海道ではそうなる。雪国という言葉は伊達ではない。 
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