オズのモジャボロ
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第六幕その二
「ずっとここで暮らしたいよ」
「そうですよね」
「いや、いいものだよ」
王様はにこにことしてお話するのでした。
「オズの国の生活は。兎の国でもね」
「文明は素晴らしいものだよ」
モジャボロも笑顔で言います。
「実にね」
「そう、文明の生活を知ると」
王様はモジャボロにも応えました。
「その楽しさからは離れられないよ」
「そうですよね、本当に」
「その辺りは」
ここでジョージと神宝も王様の言葉に頷きました。
「文明の有り難さを知りますと」
「そこから離れられないですよね」
「そうだよ。私は落ち込んでいる時はわからなかったんだ」
王様は二人にも言いました。
「あまりにも塞ぎ込んでいてね」
「この楽しい国にいても塞ぎ込むこともあるんですね」
恵梨香はこのことに少し驚いて言いました。
「そうなんですね」
「そうよ、誰でも落ち込む時はあるわよ」
ドロシーが恵梨香に答えます。
「そのことはね」
「そうなんですね」
「私だって落ち込む時があるわよ」
「ドロシーさんもですか」
「そう、どうしようかって思う時もね」
あるというのです。
「そうした時も。本当にたまにだけれど」
「意外ですね」
「落ち込んでも一瞬だけれどね」
落ち込む時間はすぐに終わるというのです。
「そうしたこともあるわ」
「意外ですね」
「楽しい場所にいても大変なことはあるから」
だからだというのです。
「私だって落ち込むから」
「じゃあ他の人達も」
「そう、どうしようかって思ったり落ち込むことはあるわよ」
「オズマ姫もですね」
「ええ、ノーム王が攻めて来た時は皆どうしようかって思ったから」
「ああ、あの時は」
「危なかったわ。かかしさんの知恵がなかったら」
この時もかかしの知恵が皆を救ったのです。かかし程頭のいい人はオズの国には一人もいません。それはその時もだったのです。
「どうなっていたのか」
「そうでしたね、あの時は」
「ノーム王はどうしているのかしら」
ドロシーはあの悪い王様のことも考えました。
「いい人になっていればいいけれど」
「ですね、本当に」
「あの人は」
ジョージも神宝もそのことは心からそう思うのでした。
「どうにかなって欲しいですね」
「改心してくれたら」
「あの人は何度心が真っ白になっても悪くなるんだよ」
モジャボロも残念そうに言います。
「どうしてかはわからないけれどね」
「そもそもノームって悪い種族かな」
「違うよね」
ジョージと神宝は二人でこうお話をしました。
「いい種族だよね、どちらかというと」
「そうそう、ゲームとかではね」
「信仰の心があって」
「お坊さんとかに向いているんだよ」
「それがどうしてかな」
「あの王様は」
「ノームにもいい人と悪い人がいるんだよ」
モジャボロは今度は残念そうに言いました。
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