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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんなジェーンさんは大事件で大変だろ

 
前書き
ちょっと前に映画「千年女優」を見ました。
千代子さんマジ美人。そしてシチュエーションや映像の使い方が本当に上手い。監督の近敏さんは既に故人なんですが、惜しい人をなくしたなと改めて思いました。 

 
9月26日

てーへんなことに、なってしまいました。

つまり、ジェーンがロリで俺の娘かつジェーンの子供がロリジェーンで俺が・・・ごめん、全然説明になってなかった。

ごく簡単に言うと、ニヒロちゃんが生まれたことによって形態移行が起きたらしい。ニヒロちゃんはジェーンの身体を自分の身体と同義であると定義していたものだから、ISコアとジェーンはこの形態移行によって完全に融合。ISの特性を持ちながら生身の人間であり、逆を言えば生身の体を持ったISとも言える。超進化融合生命体?複合知性体?とにかくそういう感じの存在になったらしい。
だからニヒロとジェーンの人格は入れ替われる。ロリジェーンが俺をパパと呼んだのは、ロリジェーンの中のニヒロの人格が前に出ていたからだったのだ。
そこまではいい。そこまではいいんだけど・・・すなわち俺が気になるのは、何故にジェーンさんはロリ化してしまったのかということだ。

・・・え?ジェーンさんじゅうさんさい?・・・・・・13歳ぃぃぃぃ!?!?

え、だって!身体!むしろ18歳くらいに見えるくらい大きかったじゃん!?13歳って中学生くらいなのに何でそんなに体大きかったの!?改造人間になったせいなの!?

「説明しよう!」
「で、出たー!いい年してウサ耳つけてるのに天災な奴~!!」
「というか姉さん何やってんの・・・」

博士の言によると、元々本来のジェーンは精神年齢が9歳前後で止まっていたらしい。理由までは教えてくれなかったが、その精神年齢に肉体が引っ張られた結果縮んだのではないかということだ。・・・というか。

「ジェーンは何故にさっきから俺の背中に隠れてらっしゃるので?」
「ニヒロの所為で疑似人格が不安定なんだ・・・」
「と、言いますと?」
「今までは私の行動言動態度思考の全てが疑似人格に基づいて行われていた・・・でも、今はそれがとても不確定で曖昧なものになっている」
「・・・すると何が困るの?」
「・・・いいから、後ろに居させて」

結局よく分からなかった。全く離れてくれないのでお風呂に入れてあげるのも俺がする羽目に・・・というかオウカ!?何で君も一緒に入ろうとしてるのかな!?流石にそれは俺の理性的にまずいから!今はお願い我慢してくれぇぇーーー!!
結局水着を着た俺とオウカが手分けしてジェーンをお風呂に入れた。俺はジェーンと手を繋ぐ係ね。いくら体が小学生くらいって言っても、これジェーンだから。裸を見るのには抵抗があるからね。



9月27日

昨日は大変だったが、先生たちはもっと大変だったらしい。何せジェーンさんの事情を知っている人が殆どいない。急に体が縮んでしまって名探偵だなどと言われても周囲が納得しないのは当然だ。
色々と会長とかと話し合った結果苦し紛れに出した説明が、「ジェーンは事故で失った心臓の代わりにISを人工心臓にして生きていたのだ!多分その所為だろ!」と嘘だか本当だかだかわからない説明でごり押ししたそうだ。
みんな衝撃の事実(うそ)に動揺していた。まさかジェーンの心臓がそんなことになっているなんて夢にも思わなかっただろう。まぁそれも嘘だけど。ISコアの埋め込まれてるのは胸の右らへんらへんだし。
それはそれとして、ジェーンの身体はこのままなのかと篠ノ之博士に聞いてみる。

・・・とんでもない答えが返ってきた。

ニヒロは”もうISコアではない”からそんな制限はない、理論上は本人が望めば多変形態(マルチフォーム)が可能・・・らしい。つまりジェーンが元の肉体に戻りたいと強く望めば体の形は元に戻ると。ただいくら体の形を変えても根本的な寿命は人間並みだそうだ。
え?じゃあなんでジェーンとニヒロは形態移行できないの?と思ったが、そういえば今のジェーンは疑似人格が機能せず不安定な状態にあるようだ。元の人格の精神年齢が小学生止まりな上に不安定なのでニヒロとの精神の均衡が崩れ、ジェーンの意志が反映されにくい状態にあるらしい。

これを解決する手段はただ一つ。すなわち・・・俺の背中に子泣き爺みたいに張り付いてるママさんのパーソナリティを確立させればいい。

『ママったらいつまでパパに引っ付いてるの?』
「うるしゃい!」
『聞いた?ゴエモン!あのジェーンが”うるしゃい”って・・・ぷぷっ』
「こらオウカ、笑うのは止めなさい。こういう時は生暖かい瞳で見守ってあげるのが大人ってもんだよ」
「うぅぅー、そろいもそろって私を馬鹿にするなぁーーー!!」

と言いつつ人の背中から離れない。これは世話が焼けそうだ。



9月28日

帰ってきた!帰ってきた!第一アリーナに、シャルロット&ファリンが帰ってきたぁぁぁーーー!!
とうとう怪我も完治、リューガさんが改修を終えたらしいおニューのフレーム「ラファール・エクシード」のお披露目だ!

ここからはリューガさんの説明そのままなのだが、パーツ全体の不要部分をカットしつつ装甲をより小型にし、装甲を厚くするのではなく構造上の強度を上げる事でよりコンパクトな防御力を実現。空気抵抗も減らしてIS単体としての強化を果たした。また後部ウィングの4枚が肥大化。羽根を複合武器にすることで今までのラファールが抱えていた問題を一気に解決したそうだ。
今までのラファールに搭載されていた”ガーデン・カーテン”は展開しながら敵を攻撃できないという大きな欠点があった。また、バリアの発動を安定させるために腕部を翳すなど行動そのものが制限されている部分があり、それこそラファールを2,5世代機に押し止める要因になっていたそうだ。今回リューガさんはその展開を安定化させ、さらにカーテンを応用した攻撃兵装を搭載した・・・んだろうというのはオウカの言。

模擬戦でセシリア相手に凄い高機動戦闘を見せつけていた。まだ使いこなせていないらしいが、最後にやった羽根が光の刃になるやつは格好良かったなー。ファリンも「これでシャルを勝たせることが出来ます!」とはしゃいでいた。
ニヒロも割と興味津々らしく姉たちの雄姿をジェーンの中から興味深そうに観察していた。ジェーンは、そういえば戦えるんだっけ?

・・・え?どしたのオウカ?・・・成程、戦いを生業にしてたんなら模擬戦なんかもジェーンにはいい刺激になるかもしれないと。早速模擬戦の申し込みを入れておこう。早くジェーンさんに元の姿の戻ってもらわないと、世間でまことしやかに囁かれる「ジェーン、実はゴエモンの腹違いの妹説」なるものが本格的に広まってしまう。

というか、皆がジェーンのことを可愛い可愛いと次々に膝の上に乗せて撫でまわして遊んでいるんだけど。ひょっとして元に戻らない方がみんな的には楽しいのでは?と口に出したらジェーンに抓られた。痛いですごめんなさい二の腕は止めてください。



9月29日

もう最近みんなのジェーンに対する接し方があかん。
孫を可愛がるおじいちゃんみたいなテンションだ。若しくは居酒屋とかに入り込んだ子供をからかうオッサン達?もう完全に子供として見られている。子ども扱いに怒ってじたばたするのも傍から見ると子供だし、困ったら俺の所に逃げてくるのもどー見ても子供。

今までのギジジンカクのクールっぽい振舞いから一転のロリジェーンのギャップに落とされてしまったらしい。コアたちも可愛い可愛いと言っているが、ニヒロ経由で全部聞こえているジェーンにとっては恥辱の限りらしい。が、ニヒロ曰くこれも良い兆候なんだとか。ジェーンの自我が未熟なのは素直な感情の発露が出来ていないからだという。

もっともっと辱めなくては・・・と呟くのほほんさんは自重してね。その「じぇ~ん」って胸に書いた体操服とかランドセルなどの小学生グッズは即刻処分・・・あ、ランドセルは頂戴?弟が小学校に入学したら使うから。



9月30日

専用機持ち達が俺に質問してきた。ここ最近ISコアの”声”のようなものが、集中すると何となく聞こえるというのだ。山田先生は結構はっきり聞こえるようになって来たらしい。

原因はきっとニヒロの誕生による人対ISのコミュニケーション骨格の形成・・・だと思う。ニヒロはいわば限りなく人間に近い、それこそツバキやウツホよりも人に近いISだ。人間の感情を糧に生まれた存在で、人格は人間そのものと言ってもいい。
難しい?えっと、簡単に言えばISが人間の”波長”みたいなものを捉え、直接的に干渉できるようになりつつあるってこと。どうやらニヒロがデータを一方的に発信する形で学園内のコアは皆これの影響を受けているようだ。




ニヒロは既にISコアネットワークともミニネットワークとも独立した存在になっている、ってことか。それでいて、他のISにデータを発信できる。個としてシステムに干渉できる。

それってつまり、ニヒロは”個人”になったんだ。
完全にISというくびきから独立したんだ。
やっぱり、そうなんだ。
篠ノ之博士がISを作った理由は、この為なんですね。


感情を解し、感覚を持ち、コミュニケーションを図り、学習し、他者と関わり、干渉し、しかし本質的には繋がらず、だからこそ理解を深めようとする。

博士が作ろうとしたのは、精神的な意味での「人間」そのものだ。

そしてISの最終到達点の一つがニヒロ。どうですか、博士?


「正解♪」


博士は嬉しそうに、夢が叶った少女のように無邪気な顔で微笑んだ。

 

10月1日

織斑先生と箒ちゃんが、博士と話し合いをしたらしい。内容も教えてくれたが、俺はその内容をこの日記には記すまいと思っている。

リューガさんは知っていたそうだ。ただ、協力しようとは思わなかったらしい。何でだ、ってちょっとイラついて聞いてしまったが、そもそも俺以外に協力できる人間はいなかったみたいだ。リューガさんも父親のゾルダークさんも駄目だったらしい。

だから博士はISを女性にしか扱えないようにした。様々な適性などの制限を加えて操縦者をある程度厳選した。ネットワークによる相互情報交換を行い、ISに常に操縦者を見張らせ、一つの「ひな形」を作り上げたのだ。


普通の女性の像を。


普通の感性を持った、「まとも」な人間になりたかったから。

 
 

 
後書き
ISの最終到達点についてはこの小説オリジナルで考えてたものです。理由については後ほど。 
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