ニュースキャスター
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第二章
第二章
「ハァ!?日本が勝ったのに舌打ちか!?」
「こいつ何考えてるんだ!?」
「っていうか何様なんだよ」
「粂地獄に落ちろよ」
怒りの書き込みが矢次ぎ早に書き込まれていく。
「日本の選手は正々堂々と戦い勝っただろうが」
「あの連中なんて審判買収して反則までやってな」
「ああ、あれな」
その国のお世辞にもスポーツマンシップに従っているとは言えない行為も言及された。
「あれも酷かったな」
「っていうか俺あれネットで知ったぞ」
「俺もだ」
つまりマスコミでは報道されていないのだった。
「特にこの番組なんてな」
「自分に都合の悪いこと報道しないからな」
「っていうか農薬のこと謝罪したか?」
「いいや」
このこともネットにおいて有名になっていた。この番組において野菜の農薬のことが言われたがこれは科学的知識に基くものではない誤報だった。一説には虚報だとも言われている。
「あれで農家の人かなり迷惑したんだけれどな」
「俺の家農家だったよ。洒落にならなかったぜ」
「やっぱりそうか」
「っていうかあれで粂が大嫌いになった」
こうも書く人がいた。
「あいつ等のせいでよ。家潰れるところだったんだよ」
「何だよ、じゃあこいつ等権力者じゃねえか」
「なあ」
このことが指摘された。
「しかも責任全然取らないしな」
「マスコミって責任取らないぞ」
このことも言われた。
「戦争中からずっとな」
「ずっとかよ」
「で、今だってそうなんだよ」
「けれどあいつ等他人の責任には五月蝿いよな」
「そうだな」
マスコミの役目は社会の木鐸と言われる。もっとも今ここに書きこんでいる人間は誰もそんな言葉は全く信じてはいないのであるが。
「で、自分のことはおざなりかよ」
「マジ最悪だな」
「しかし巣型の奴」
今度は巣型について書かれた。
「相変わらず物凄い偉そうだな」
「何様だ?こいつ」
巣型に対しても嫌悪感が止まることはなかった。
「自分が一番偉いって顔してるよな」
「っていうか権力者だからだろ?」
マスコミが権力者だという指摘もまた書かれた。
「それ自覚してるんじゃね?」
「確信犯かよ」
この二人について書かれるだけではなく古宮についても同じであった。やはりその高飛車、いや傲慢な態度が書かれているのだった。
「古宮もな。あの国ばかり応援してるよな」
「日本人じゃねえだろ」
「だよな」
「手前の脚なんかもう誰も見ねえよ」
古宮がいつもミニスカートなのも言われた。
「婆の脚なんてよ」
「早くテレビから消えろよ」
こうした書き込みが続いた。こうした声は少しずつだが次第に広がっていった。そしてこれが決定的になった事件がここで起こったのだった。
この番組のテレビ局や親会社の新聞社が常にえこひいきしているある国が日本で覚醒剤を売り、また破壊工作を行っていたことを自分達から明らかにしたのである。これが問題にならない筈がなかった。
このことは常に囁かれていた。しかしこの新聞社やテレビ局はこれを捏造だと切り捨てていた。ところが自分達から事実だと認めた。これはかなり大きかった。
「やっぱりやっていたのかよ」
「マジテロ支援国家だったんだな」
「犯罪国家じゃねえか」
ネットでは早速話がそれ一色になった。この国は犯罪者国家ということが明らかになった。そしてその批判は彼等を支持していた者達にも及んだであった。
このテレビ局も新聞社も完全にテロ支援国家の仲間、グルだと認定された。当然ながらニュース番組も批判の的となった。流石にこの自白は報道せざるを得ず止むを得なくだが報道した。しかしこれで彼等がネットでの批判を逃れられるかというとそうはならなかった。
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