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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十四章
  結菜と合流×恋人について

「久しぶりね、ひよたち。あれ?一真は」

「隊長は、一時的に拠点に戻っております。代わりに私たちが一真隊を率いておりますが、貴方様は?」

「沙紀は知らないと思うけど、この方は久遠様の奥さんで隊長の恋人になっています。お久しぶりですね、結菜様」

「あなたはあの時の者ね。確か名前は桜花よね。そちらは?」

「私は沙紀と申します。ひよさんたちと堺見物や南蛮商人との繋ぎのために派遣されてから、仲良しになりました。ところでなぜこちらに?」

「久遠に呼ばれたのよ。兵と小荷駄を率いて、今浜で待っていろってね。これが証拠よ」

そう言って結菜様は、懐から何かを取り出して私に渡してくれた。一通の書状だった。

「ちゃんと久遠の花押も押されています。確認してみる?」

花押・・・・・自分が書いた書類だと証明するための判子。

「はい。一応確認をさせていただきます」

手渡された包みを開き、書状を開いて確認した。ふむ、間違いなくこれは久遠様の文字ですね。筆記体の癖とかを確認したら本物。

「ですが、今から行くのは戦場です。何かお家流とかは持っておられるのですか?」

「あら?私がお家流を持っているというのは誰から聞いたの?一真から」

「持っているとは聞きましたが、どういうのとは知りません。ですので見せてもらってもいいですか?」

言ったときに私もISを装着しました。どういうのかは知りませんが、まわりにダメージをもらうわけにはいきませんので。ちなみに私のはサバーニャです。たまに他のも乗るときもありますけど、基本的にはサバーニャを装着します。ただ全身装甲なので頭の部分だけは外してますが。すると、私たちの周囲に氣が充満しました。

「一応言っておくけど、乱世にその名を馳せた美濃の蝮・斎藤利政の娘」

そんな結菜様の言葉と共に、私のすぐ側で何かが弾ける音が響く。その音は、やがて回数を増やしながら、周囲の空気を破裂させていきます。

「これは・・・・蝶ですか?」

「そう。私がどうして帰蝶って名前で呼ばれているかっていう話は黒鮫隊の隊員や一真にも話してないから言うけど」

「一応聞きますが、どういう謂われでしょう?」

結菜様の言葉の奥底には、穏やかではない雰囲気を感じました。シールドビットを展開させておきましょうか。

「人として現世に帰ってきた蝶、という意味の帰蝶。・・・・だけどもう一つの呼び方はね、鬼の蝶と書いて鬼蝶と読むのよ!」

そう言った瞬間、結菜様は横一閃に腕を振るった。途端。私の周囲を飛び回っていた蝶たちが、次々に爆発を起こしました。ですが、ISの防御力をなめてもらっては困りますね。わざと、それを喰らいましたが傷一つ付きませんでした。

「その鎧、かなり防御力があるわね。私のお家流は雷閃胡蝶」

「なるほど。ですが、なぜ、ここにいるのです。これから行くのは戦場ですが、もしかして好きな隊長と一緒に戦いたいとそう仰るのですか?」

「まあ、そういうことだけど。あなたたちは一真とどういう関係なの?」

「結菜様は隊長の恋人または愛妾でしたね。私と桜花と空にいる結衣は隊長の妻になります。ここでいうなら側室といいましょうか」

「妻!ということは、私より上ってことなの!」

「まあ、そうなります。隊長は本妻である奏さんとの結婚記念日のために戻られました。なので、一時的に私たちが一真隊の指揮をしております」

「結婚記念日。なるほどね。それは大事な記念日だしね、でもあなたたちはいいの?」

「はい。いつもいますし。それに隊長は妻全員を合わせれば60人くらいいますから。私たちを黒鮫隊の女性隊員も入れると166人になりますね」

人数を教えるとなぜかみなさん固まってしまいました。
たぶん、妻の人数を言ったからでしょうか。

「さすが、一真様ですね。女心を分かるのは、それでだったのですか」

「とは言っても、告白をしたのは隊長側からではないのですよ。ほとんどが、女性側から告白をされたので」

「それは、凄いですね。一瞬一真様は女誑しなんだなと思ったけど違うんですね」

「んむぅ~・・・・むにゅむにゅ・・・・・ふぁ~~ふぅ・・・・もう、みんな何騒いでいるのぉ~~・・・・??」

荷駄で大の字になって昼寝をしていた鞠さんが、騒動を受けて目を擦りながら起きてきた。

「すみません。起こしてしまいましたか、鞠さん」

「むにゅむにゅ・・・・もう越前?・・・・あれー?わーい結菜だー!」

「鞠ちゃんおはよう。二条館では大活躍だったって聞いたわよ?凄いわねー」

「うん!鞠ね、一真と一緒に頑張ったの!」

「ここにいないけど一真を守ってくれてありがとうね。私の大切な人を守ってくれて」

「えへへー。でもね、鞠は一真の嫁になるって決めているから、そんなの当たり前なの!」

「・・・・・・・・・・・・・・・嫁?」

あ、そういえば久遠様の宣言があったからか。愛妾になりたいと言い始めた人たちがいましたね。ジロッとこちらを睨みますが怖くないですね。私は結菜様より上の側室なので。

「鞠、一真のこと好きだもん。一真のために鬼と一緒に戦うんだから、鞠、一真のお嫁さんになれるんでしょう?」

「ええ、そうですよ。鞠さん。ただし、嫁ではなく愛妾ですけどね。正確には恋人ですが」

「沙紀さん、一真の恋人は何人くらいと言ってたの?」

「えーとですね。1番目は久遠様、2番目は結菜様で、3番目は足利一葉義輝様で、4番目が足利双葉義秋様になっております」

「鞠はっ!?ねぇ鞠は何番目なのーっ!?」

「それはですね・・・・・」

と言いかけたら、後ろから久遠様が来ました。

「久遠!」

「久しいな、結菜。息災であったか?」

「お陰様でね。久遠はどう?ちゃんとご飯食べた?ちゃんと眠れてた?・・・あ。あなたちょっと痩せちゃってるじゃない!ご飯食べてないんでしょ!」

矢継ぎ早に言葉を繋いだ結菜様が、久遠様の身体を抱きしめてあちこち触る。一応私たちもいるんですけど、二人だけの世界に入ってますね。

「こ、こら!そんなこと、今はどうだっていい!」

「良くないわ!」

「「良くないです!」」

久遠様の言葉に私と桜花と結菜様の言葉がハモリました。

「隊長の代わりですが、恐らく隊長も仰いますけど、久遠様が大切なのは変わりません。食事をとって、しっかり睡眠をとって。休息をしておかないとダメだと思います」

「沙紀さんの言う通りよ!あなたはもうちょっと自分自身を大切にしなくちゃダメ!んもう、来て良かった。・・・・私が来たからには、ぶくぶく太るぐらいにたくさんご飯を食べさせるんだから!」

「ふ、太りたくはない・・・・んだが・・・・」

何か久遠様が私を見る。まあ、私や桜花は決して痩せてはいないし太ってもいない。食べた後は、トレーニングしたりしてるし、カロリー計算した物を食べてるから。

「一真だって、痩せこけた久遠より、ちょっとふくよかな方が好きよ、きっと。男ってそういうもんだから」

「そうなのか・・・・?」

「私に聞かれても困りますが、痩せすぎは不健康ですので、食事をしてしっかり体力をつけた健康な久遠様の方がよろしいかと」

「・・・・な、なら。ちゃんと・・・・食べる」

「約束だからね?」

「・・・(コクッ)」

頷いた久遠様に納得したのか、話題を変える結菜様。

「それで、鞠ちゃんのことだけど・・・・」

「ああ。鞠が一真のために。日の本のために鬼と戦うというのなら、その資格は充分にある。それに我も結菜も今現在は愛妾止まりだ。だから順位とかは無しで一真は平等に愛してくれるだろう。そうだろ、桜花に沙紀よ」

「はい。隊長は断る理由はありません。それに形式では我々の方が上ですが」

「私たちはそんなことを考えたことはありません。それに隊長もこう仰います。順番は関係ないんだ、形式は恋人であろうが俺は平等に愛してやると」

「じゃあ鞠、一真のお嫁さんになって良いの?」

「うむ。鬼と戦うため、一真の背中を守ってくれ」

「うんなのっ!」

わーい、と両手を挙げて嬉しさを爆発してますが、かわいいですね。思ったら桜花の手にはカメラを持っていた、いつの間に鞠さんの笑顔を撮影したのですかね。

「ふむ・・・・ならば私も手を挙げましょう」

挙手の姿勢で、詩乃さんが前に進んだ。

「私も!私も手を挙げちゃいます!」

「わ、私だって!」

「ハニーの嫁はこの私と決まっておりますわぁ!」

「はぁ~~~・・・・凄いですね、一真様の人徳は」

「あ、あの・・・・」

「まぁ。小波さんも手を挙げられるのですね」

「・・・・い、いえ。そういう・・・・・つもりは、その・・・・・」

「小波さん?」

「・・・・・・」

あらあら、次々と手を挙げる一真隊の主要メンバーたち。小波さんもですか、さすが隊長ですね。結菜様が何か眉間を指で揉んでますが、何か問題でもあるのでしょうか。  
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