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ペルなの

作者:御門
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7.手合わせ(中)

「ほえっ?」

経験を積み重ね戦いに馴れ、『力を司る者』にすら打ち勝った彼女にしては珍しく、戦いの最中に面をくらい一瞬ではあるが体を止めてしまった。

何故なら、戦いの相手であるシグナムが放った『魔法』によりシグナムの持つ剣がどこぞの斬○刀みたく刃と刃が別れ、鞭みたくしなりながらこちらに迫って来たのだ。

「コレ、魔法!?」

てっきりペルソナやシャドウが放つ様な魔法と似たような感じだろうなと思いこんでた彼女は、魔法というファンタジーなモノよりむしろSFなこの攻撃から受けたギャップはかなりものだった。

短期間で歴然の勇者となった彼女が無意識化で何より重視していたのが知識と予測。

大概の情報は桐条先輩や風花がくれたが、大雑把なところや逆に細かな部分は自分が過去に戦って得た情報を基に無意識に組み上げた予測で戦い抜いて来たのだ。

今回は、短期間の狭い戦場を濃密に駆け抜けて来たのが災いし、予測という思い込みが通常より重く彼女にのし掛かったのだ。

とは言え、彼女をピンチに陥った原因がその濃密な戦いの経験なら、また彼女を救ったのも経験だった。

研ぎ澄まされた無意識が反射的に回避行動をとり、かろうじて直撃寸前で薙刀で受け止め弾く。

一、二秒の攻防だが、ここまで時間が経てば当然彼女の意識も復帰し、間を置かず立て直しの為にも軽く間合いを正そうとバックステップで距離を取ろうとしたが、これがこの戦いで彼女が初めて犯したミスだった。

弾かれたレヴァンティンは普通の鞭とは違い、全体をシグナムとレヴァンティン自体の意志が動かしている。
弾かれた刃先は俊敏な蛇の様に動き、バックステップをした彼女の背後に向かった。

彼女もレヴァンティンの動きを見て目的を看破したが、バックステップ中で超低空であるが現在彼女は宙に浮いている状態で、如何に彼女でも忍者みたいに空中で体勢を自在に変えられはしない。

だがこのままではレヴァンティンの一撃をまともに受けるのは避けられない。

現在のペルソナは低いステータスを『真・斬撃見切り』『真・打撃見切り』『真・貫通見切り』を継承、付与させる事でカバーさせているが、その他の物理攻撃に対する耐性等は持ち合わせていない為、モロにダメージが入る。

バリアジャケットの防御力がどれ程かは彼女は知らないが、明星の鎧程では無いだろうなと考えている。

そこで彼女が取った行動はシグナムだけでなく、安全圏から観戦していた一同も驚かすものだった。

それはシグナムに向かって薙刀を槍投げの如く投げつけたのだ。

先程の彼女と同じ様に面をくらったシグナムは、かなりの速度で飛来する薙刀を殆んど反射的にレヴァンティンで迎撃してしまった。

それによりレヴァンティンの動きに乱れが生じ、彼女がバックステップを終える迄に届かせる事は出来なかった。

バックステップを無傷で成功させた代償に薙刀を失った彼女はホルダーから素早く召喚器を抜き、こめかみに銃口を向ける。

ただ彼女以外は召喚器の機能を知らず、隊長勢は発射機構の無いモデルガンだと思っていたし、見て直ぐ様反応出来る他の人達は突如彼女が銃をこめかみに当てたのを怪訝に思ったり、自殺でも図るんじゃないかと慌てたりした。

シグナムは先程のミスの反省を後回しにし、彼女のシグナムには分からない行動も何かしら意味のある行動と判断し、直ぐ様彼女へ追撃をする。

先程よりも速く迫り来るレヴァンティンを他所に、彼女は呟き引き金を引いた。
「ミックスレイド。ジャックランタン、ジャックフロスト───『ジャックブラザーズ』───!」





その場に居た、中継を見ていた人全員が一斉にコケた。




 
 

 
後書き
『『マスターのこの小説での初めてのペルソナ召喚は、オルフェウス、タナトス、メサイアのどれでもなく、このジャックブラザーズヒホオオオオオオォォォォォォォォッ!!』』 
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