勇者達
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第二章
「ここは待とうぞ」
「わかりました、それでは」
「今はですね」
「様子見ということで」
「警戒をするままですね」
「うむ、気をつけるのじゃ」
ゴブリン達の動き、そして自分達の軽率な行動にだというのだ。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「今は」
他のエルフ達も長老の言葉に頷く、そしてだった。
彼等は今は何もしようとしなかった、ただ森の中、とりわけ外縁で警戒するだけだった。ゴブリン達はその森の周囲に留まりそこから様子を伺っているだけだった。
しかしだ、その彼等がだった。
突如としてだ、こう言ってきたのだ。
「何、話し合い!?」
「話の場を持ちたいというのか」
「あのゴブリン達が」
「まさか」
「いや、事実だ」
ゴブリンから矢文を受け取った者がこう仲間達に話す。
「あの連中からな」
「そう言ってきたのか」
「とりあえず我々と話をしたいのか」
「それでこれからどうするか」
「それを決めたいのか」
「そうだ、そう言ってきている」
文にそう書いてあるというのだ。無論ゴブリンの言葉で。
だがすぐにだ、エルフ達の中の一人がこう言った。
「罠ではないのか」
「ゴブリン達のか」
「それか」
「そうだ、あの連中は凶悪だ」
それ故にだというのだ。
「そうした罠も仕掛けてくるだろう」
「では話し合うふりをしてか」
「我等を騙し討ちにしてくるか」
「そうしてくるか」
「あの連中は」
「こうしたことはよくあることだ」
話の場を持つと騙すことはというのだ。
「だからな」
「ここはか」
ここで多くの者が言うことは。
「乗るべきでないな」
「うむ、様子見だ」
「その方がいい」
「謀略に決まっている」
「それに乗るなぞな」
駄目だというのだ、しかしだった。
ここでだ、長老がこう一同に言った。
「いや、話し合いをしたいというのならな」
「乗るべきですか」
「話をするべきですか」
「そうじゃ」
こう村の者達に言うのだった。
「そうすべきじゃ」
「エルフだからですか」
「それ故に」
「エルフは約束は守る」
それが彼等の信条であるからだ、倫理観というものだ。
「だからここはな」
「向こうまで行ってですか」
「ゴブリン達の陣地まで行って」
「そうしてですか」
「連中と話をするのですか」
「わしが行く」
長老は自ら言った。
「わしが話に行く」
「馬鹿な、そんなことをすれば」
「長老が殺されてしまいます」
まずはこの危険が指摘された、他のエルフ達は心から危惧する顔で言う。
「殺されずとも人質になり何をされるかわかりません」
「あの連中は凶悪です」
「そこからどんな要求をしてくるか」
「そうなればじゃ」
しかし長老だけは毅然としている、彼は止めようとする村の者達に言った。
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