封じ込められたもの
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第三章
「あの辺りの生態系を調べよう」
「そうですね、予定通り」
「うん、今からね」
こう話してだ、そのうえで。
船は北極点の方に向かった、この辺りはアメリカといがみ合っているので領有権的に複雑だが生態系を調べる為に向かった。
そしてそこでだ、調査団は船から氷の上に上がってそこの生物の調査もはじめた、その中で調査団の面々はスミドロノフにこう話した。
「この辺りはあまり調査していませんでしたね」
「北極点の辺りも毎回調査していますが」
「この辺りは」
「これまでのところは」
「うん、僕も来たのははじめてだよ」
スミドロノフもこう周りに答える。皆万全の防寒態勢で氷の上にいる。
「この場所に来るのはね」
「ですね、ではどんな生態系の現状か」
「念入りに調べましょう」
スタッフ達も応えてだ、そのうえでだった。
彼等は調査を開始した、生物の種類と数はまずまずだった、だがここでだった。
スタッフの一人があるものを見付けた、それでだった。
スミドロノフのところに来てだ、こう報告した。
「教授、あちらにです」
「何かいたのかい?」
「氷の山があるんですが」
「氷の山?」
「ちょっと来てくれますか?」
こう彼に言うのだった。
「今から」
「氷の山だね」
「それがあるんで」
「わかった、それじゃあ」
スミドロノフはそのスタッフの言葉に頷いた、そしてだった。
スタッフ達と共に氷の山の前まで来た、すると。
その山は百メートル程あった、かなり大きい。皆その山を見上げてそのうえでこう話すのだった。
「随分大きいですね」
「確かに山ですね」
「そうだね、そして」
スミドロノフもその山を見ている、そのうえで。
氷の山の中にあるものを見た、それで言うのだった。
「何かが氷漬けになっているね」
「はい、そうですね」
「何かありますね」
「生物でしょうか」
「これは」
「大きいね」
氷は厚く中にあるものはよく見えない、だが何かが氷漬けになっているのは間違いなかった。それでスタッフ達も言うのだった。
「何でしょうか」
「これは」
「一体」
「わかりにくいですけれど」
「?これは」
見付けてきたスタッフがだ、目を凝らして言った。
「人ですかね」
「人!?」
「人だと」
「はい、人に似た形ですけれど」
こう言うのだった、スミドロノフ達に。
「そんな風に見えませんか」
「言われてみれば」
「そんな感じか」
「人か、これは」
「そうなのか」
こうだ、周りも彼の言葉を聞いてから言った。
「言われてみればそうかもな」
「人の形に見えるね」
「どうも」
「人にしては」
スミドロノフも氷の中のものを見ている、そのうえで彼が言うことはというと。
「大き過ぎないかい」
「そうですね、確かに」
「途方もない位ですね」
「これ巨人の大きさですよ」
「本当に」
「うん、有り得ないよ」
生物学の見解からだ、彼はスタッフ達に言う。
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