オズのモジャボロ
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第五幕その一
第五幕 パンの国と食器の国
一行はパンの国に入りました、見ればお家も何も道を行く人達も車や町にあるあらゆるもの全てがパンです。様々な種類のパンです。
そのパン達を見てです、神宝がしみじみとして言いました。
「いや、本当に危なかったよ」
「若しお腹一杯でないとね」
「危なかったわね」
恵梨香とナターシャが彼に応えます。
「ついつい手が伸びていたわ」
「本当にね」
「これだけ美味しそうなパンばかりだから」
「危なかったわ」
「そこは気をつけてね」
町自体はとても小さいです、大きさはチョッキンペットの国と変わらない位でしょうか。お家も人々も何もかもが一行の膝程もありません、小さなパンの人達です。
その人達を見てです、恵梨香とナターシャも言うのです。
「こんがり焼けてて」
「しかもとてもいい匂いだわ」
「この中にいたらね」
「お腹一杯じゃなかったら危なかったわ」
「だからだったんだよ」
モジャボロが皆に笑顔でお話してきました。
「まずは食べるべきと思ってね」
「お腹一杯食べたんですね」
「そういうことですね」
「そうだよ、僕も今はこの人達を見てもね」
とても 美味しそうなパンの人達も建てものを見てもです。
「何とも思わないよ」
「ですね、私達も」
「何とも思わないです」
「お腹が空いていたら食べたかったですけれど」
「今は何とも思わないです」
「平気です」
「そう、ではいいね」
それではと話してでした、モジャボロは皆を町の先に先にと向かわせていきます。そうしてそのうえでなのでした。
町長さんのお家まで来てでした、モジャボロが声をかけました。
「お邪魔してます」
「ああ、モジャボロさんですね」
お家の中から声がしてきました。
「来られてたんですか」
「うん、挨拶に来たんだけれどね」
「誰も何も食べていないですよね」
「国に入る前にお腹一杯食べてきたよ」
「それならいいです」
声が応えてきてです、そして。
パンとクッキー、ビスケット等で作られているお家から手足のついたクロワッサンが出てきました、そのクロサッサンの人が出て来てです。
モジャボロの足元にとことこと来てこうきました。
「お久しぶりですね」
「町長さんも元気そうだね」
「はい、ドロシーさんも」
「お久しぶり」
ドロシーも町長さんに笑顔で挨拶をしました。
「町長さん元気そうね」
「お陰様で。鳥も来なくてパンも降らなくて」
「それは何よりね」
「平和に暮らしていますよ、それでその子達は」
五人を見て言う町長さんでした。
「一体」
「私が元にいた世界から来た子達なの」
「というとカンサスの」
「いや、カンサスじゃなくてね」
ドロシーは町長さんに五人のそれぞれのお国の名前もお話しました。町長さんもその名前を聞いて頷いて言いました。
「成程、ドロシーさんの元いた世界にはいろいろなお国があるのですね」
「そうなの、私がいた世界は広くて」
「カンサスはアメリカにあってですね」
「日本や中国という国もあるのよ」
「ロシア、そして ブラジルですか」
「他にも一杯国があるのよ」
「むしろですね」
恵梨香がここでドロシーと町長さんにお話します。
「ドロシーさんがあちらの世界におられた時よりも国は増えていますね」
「そうみたいね、それもかなり」
「実はロシアは一回ソ連になってロシアに戻ってるんです」
このことはそのロシア人のナターシャがお話します。
「私が生まれる前にソ連からロシアに戻っています」
「国も変わるのね」
「そうなんです、ドロシーさんはオズの国に入られて長いですよね」
「オズの国では皆歳を取らないけれどね」
それでもです、歳月は経ちます。常春のオズの国には季節もないですが年月は経ちます。
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