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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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オリジナルストーリー 目覚める破壊者
  61.5話:取り戻した温もり

 
前書き
 
久しぶりに短めのものを。
はっきり言って少し恥ずかしい内容となっています。
  

 



「はぁ~…つ、かれた~…」

やぁやぁやぁ、この度帰って参りました主人公、門寺 士であります。
いやはや、俺の一人称とか何時ぶりよ?七話ぐらいやんなかったよな?だからだいたい……

え?メタ発言はいい?早く本編を進めろ?そういう文句は作者に言ってくれ。俺が関与するところじゃない。
…何?なら前回のお話からどうなったか教えろ?それなら別にいいか。では話すとしようか。






















遡ること、数時間前―――なのは達に説得され、この世界に残ることを選んだ俺は、三人に引っ張られるまま、翠屋へ連れていかれた。

そこには当然士郎さんや桃子さんがいて……桃子さんに泣きつかれました。
いやはや、そこまで心配されるとは思っていなかった。と本音を言ったら、思いっきり叩かれました。

『家族なんだから当たり前でしょ!』

なんて、桃子さんにしては珍しい鬼のような形相で言われてしまった。その後士郎さんには頭にポンッと手を置かれただけだが、心配してくれていた事など言うまでもない、という事なんだろう。




その後は翠屋を士郎さんに任せて、桃子さんと共に高町家へ。その途中、俺が倒れてしまうというハプニングが発生してしまった。思い返せば、ここ数日何も食っていなかったのだ。
いや、だってお金ないんだもん。まだ警察にお世話になりたくはなかったし、仕方なく…ねぇ?

んで、迎えに来てくれた恭也さんと美由希さんに肩を借りて、三人の前では無様な姿で帰ることになってしまった。
その時恭也さんに凄く怖い目で睨まれ、美由希さんには抱き着かれた。疲れているところに抱き着かれるのは正直辛かったが、ここで避ける訳にもいかないのでそれらをまともに受けた。おそらく恭也さんには明日辺りボッコボコにされるんだろうな~…



そして高町家に到着し、桃子さんの格別旨い料理を食べていると、アリサやすずか、クロノやユーノ、エイミィにリンディさん、ヴォルケンズの面々もぞろぞろとやってきた。
これには俺も驚いたが、俺から「なんで?」なんて聞くのは野暮だろう。

まずはアリサとすずか。これは出会い頭にアリサから一発もらいました、グーを。
正直めっちゃ痛い。あんないい右を持っていたなんて、知らなかった。あれは世界を目指せるレベル…なんて考えていたら、また手を振り上げてきたので考えるのを止めた。

次にアースラ組+アルフと淫じゅ…ゲフンッ、基ユーノ。
男組には肩を叩かれ、女性組には「お帰り」とか、「良く戻ってきたね」とか言われた。前半の男組の肩叩きも、意味合いは同じなんだろう。

最後にヴォルケンズ。これはいきなりヴィータが殴りかかってきたが、流石にもう止めてやれということでシグナムやザフィーラが止めてくれた。ありがたや……
ついでにシャマルに回復魔法を施してもらって、だいぶ楽になった。というかヴィータ、後で覚えてろよとかマジ怖いから止めて…!



んで、その日急遽『士帰還パーティー』をやろうという話になったんだが……

『ごめん、もう勘弁して…』

とパーティーの主役になる筈の俺が断ってしまって、その話は一旦おじゃんに。その後俺は自室―――より詳しく言うと、その部屋のベットへダイブして、現在に至るのだ。







「ほんとダメだ…もう、眠い…」

久しぶりに腹を満たし、今までの疲労が一気に眠気となって襲い掛かってきた。
元々戦いが終わって三日間、野宿で何も食わずで過ごしてきたんだ。戦いの時の疲労だけではない。

だからこそ、冬の所為でそろそろ日が落ちる頃の時間帯に、俺は重い瞼を閉じた。
















――――――――――――――

(閲覧注意報発令。これより先、作者の妄想のみで構成されます。それでもいいという人は、どうぞ先へ)
















どれぐらいが経っただろう、俺は部屋に不信に聞こえる音で目を覚ましてしまった。
しかし疲労は回復しきれていないのか、まだ眠気が襲ってくる。

いつの間にか寝返りを打っていたのか、俺の体はベットに対して横になっていた。
未だ重たい瞼をかすかに開き、俺を起こした原因を視界に―――

「っ…!」

入れる前に、何かが布団の中に潜り込んできた。
流石にこれには驚き、一気に眠気が覚める。何事だと思い見下ろすように胸元を見ると……

(ちょっ、なのは…!?)

そこには茶色のつむじがあった。
この家で茶髪は二人、桃子さんとなのはだけ。そしてこの部屋に無断で入って、こんな事をするのは、どう考えてもなのはだけだ。

しかしなんでこんな……

「―――ッ……ッ…」
「…?」

その時、何処からか声が聞こえてきた。聞こえてきた方向は下―――はっきり言えば、なのはからだ。
どうしたのだろうと思えば、彼女の体は小さく震えていた。

「…ッ…ッ、ッ……」

両手は俺の寝間着をしっかりと掴み、額は胸に付けている。そこで俺はようやく、聞こえてきたのは声ではなく嗚咽だと気づいた。


泣いていたのだ、彼女は。


俺を起こさないように意識してか、漏れる嗚咽を抑えて。

あぁそうだ、と俺は思い出す。あの時はやてが言っていた『被害』という言葉を。
あれはこういう事なんだろう。俺がいなくなって、どれだけ皆が心配したかは、俺の元に来てくれた皆の顔を見れば簡単にわかった。

俺はなんてバカなんだろうか。守りたかった大切な人達を守れず…守りたかった笑顔も、こうやって涙になっている。
俺は―――大バカ野郎だ。

そう思ったその時、俺は無意識にも手を彼女の頭に置いてしまった。

「―――っ!」
「……」

彼女は一瞬ビクリと体を震わせ、俺の顔を見上げるように視線を送る。俺はその視線が俺の視線とぶつかる前に目を閉じ、起きていないと思わせる為静かに寝息を立てる。

正直俺も驚いた。何故こんな行動に出たのか、俺にもわからなかった。
ただ体が自然に動いて、気づいた時には……おいそこ、ロリコンとかいうんじゃない!俺は断じてロリコンじゃない!

しばらくすると、自分とは違う寝息が聞こえてきた。
なのはに気取られないよう、静かにゆっくり目を開ける。

「…なんだ、結局寝たのか」
「すぅ……すぅ…」

彼女は先程泣いていた時と同じ体勢で、泣き疲れたのか小さい寝息を立てていた。

その顔には泣いた跡のようなものもあった。俺は目を細めて彼女の髪を撫でた。
すると彼女は一瞬表情を変えるが、すぐに穏やかなものになる。というか……

「ほんと、気持ちよさそうな顔だな…」

何が嬉しいのか、ご満悦の様子でいるなのは。その寝顔に、思わず笑みがこぼれる。
……何度もいうが、俺は断じてロリコンではないぞ!

そして唐突に、自分の瞼が重くなり始めたことに気がつく。あぁそうだった、俺めっちゃ疲れてるんだった……
そう自覚した瞬間には、すでに瞼は閉じられ俺は再び眠りについた。






















「ごめん、もう勘弁して…」

弱々しくそう言って、自室に向かう士君の背中を見て、集まっていた一同は少しばかり動揺しました。

「まぁしょうがないわ、彼も長い間囚われていた訳だし、ここ三日間は野宿だったんでしょ?」
「はい、そうだったと聞いてます」

この中では(ヴォルケンリッターの皆は抜いて)一番大人なリンディさんの言葉に答えると、リンディさんは彼も無理してるわね、と呟いた。

「あの様子じゃ、本当に今日は無理そうだね」
「仕方ないだろ。彼も僕達と同じ人間だ、ストレスや疲労は同じように溜まる」

残念そうなエイミィさんをなだめるように、クロノ君が言う。

「畜生…色々言いたいこともあったのによぉ…」
「まぁ仕方なかろう」
「今は我慢だヴィータ。またいずれ集まるのだ、その時でも遅くはなかろう」

シグナムさんとザフィーラさんの言葉に、むぅと唸ってむくれるヴィータちゃん。ほんのちょっとかわいいと思ってしまいましたが、言いたいことってなんだろう?

「じゃあ今回は一旦解散、という事でいいかしら」

リンディさんがそう締めくくり、高町家にやってきた皆がぞろぞろと帰っていきました。

その後お父さんも翠屋から帰ってきて、皆で夕ご飯……なんですが、士君は無理に起こさないようにしたので、結局今日の夕ご飯は士君抜きでした。
お母さんが―――というよりは皆士君がいないことに寂しそうにしてました。

それから少しして、時間は九時半ぐらい。
今日はいつもより少し遅めにベットに入ったけど、それでも一時間程経過している。だけどどうにも寝付けない。

仕方ないので一旦体を起こして、水でも飲もうとリビングへ。
それもすぐに済ませて、寝れるかどうか心配になりつつも自分の部屋へと向かい―――

途中で士君の部屋を通りかかった。
今彼はどうしているだろう、と変な好奇心に駆られてしまい、私は静かに扉を開ける。

「………」

静かに寝ている彼の寝顔。部屋は電気が消されていてボンヤリしていたけど、丁度ドアを開けた隙間から入る光で、それだけは見えた。

そこに彼が―――士君がいる。

そう思ったその時には、私は足を踏み入れていた。
ゆっくりと、静かにベットへ近づき、起こさないように慎重に潜り込む。大丈夫、夕ご飯前に身に来た時はかなり熟睡していた。これくらいじゃ起きない筈。

横になっていた士君の体と向かい合う形で、私は体を近づける。『温かい』、彼の体に触れてそう思った。
ここに確かに彼がいる。自分が思い描いた虚像じゃなく、現実に彼が―――帰ってきた。

「…ッ……ッ…」

不意に涙が。心の底から、大声で叫びながら泣きたい衝動が襲ってきました。しかしそれはダメ、彼を起こすことになってしまう。
できるだけ小さく、彼を起こさないように静かに……私は泣き始めました。

「…ッ…ッ、ッ……」

嗚咽が漏れる。彼はここにいるのに、泣くなんておかしいじゃないか。
でも涙は止まらない。止めようと思っても、一向に止まる気配がしない。
だけど…いや、だからこそ気づいた。

私は、士君がまた離れてしまうんじゃないかって、恐れているんだ。

そんな事はない、きっと大丈夫だという思いとは裏腹に、そんな考えがきっと心の奥底にあるんだ。だからこの涙が…不安が止まらないんだ。

それに気づいても、涙を止める術がわからない。困り果てたその時―――

「―――っ!」

不意に、頭に温かいものが。
視線を上げてみると、士君の手が私の頭に乗っかっていた。どうやら寝相の所為みたいだ、彼はまだ寝息を立てていて起きている様子ではない。

そしてふと、私の目から涙が止まっていることに気がついた。
それが驚きによるものなのか、はたまた……頭に置かれた彼の手の、その温もりの所為なのか。

でも私は―――それだけで、どこか安心してしまった。

私はまた彼の胸に額を、顔を当てる。さっきは気にしなかったが、鍛えられた彼の体は頼もしく、そして温かかった。これが彼の温もりなんだろうか?
彼の手から、彼の体からの温もりを感じながら、私は目を閉じた。

あぁそうだ、士君は今こんなに近くにいるんだ。

そう思ったら、なんだか嬉しくなってしまった。そしてその嬉しい気持ちを抱えたまま、私は眠りの世界に没入した。


今日はいい夢が見られる、そんな気がした。


 
 
 

 
後書き
 
あ~、恥ずかしい(笑)
この内容、前回の話を書いている間に思いついた物で……息抜きみたいなものです。
できれば、今回の話の感想は控えてもらいたいです(;´・ω・)

次回からはStrikersまでの日常編を11、もしくは12話程度を予定しています。ちょっと間長くなったり、これから忙しくてなかなか更新できないかもしれませんが、よろしくお願いします。
  
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