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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章
  神仏の共有

俺は、詩乃と別れて行ったら通信機から詩乃の声が聞こえてきた。恐らくステルスモードになった者が盗聴をして俺に聞かせているのだろう。

『やれやれ・・・・』

『ふふっ・・・詩乃さんも良い人に惚れてしまったようですね』

『良い人ですが、戦闘になると戦闘狂になる御方ですし、心配もします。ですけど、一真様こそが天下無双の者何だと思いましたから』

『天下無双ですか。確かにそうですね。その天下無双の御方がいたからこそ、織田家は順風満帆、上洛まで漕ぎ着けた、と思っております。他勢力よりも先んじての上洛が持つ意味は、とてつもなく大きい。これからは上洛だ、侵略だ、などと言える日の本ではなくなるでしょうから』

『日の本全土を巻き込んだ、鬼との戦が繰り返される事になる。・・・・そう考えていらっしゃるのですか』

『越前での手際。そして魔薬の存在・・・・稀なる存在だった鬼が、こうまで表舞台に出てきた以上、力の劣る人という種の天敵になる可能性が高いでしょう。ですが、我が方にも薬となる男性(ひと)がいる・・・・それが救いです。久遠様もそのことに気付いたのでしょう。織田久遠の恋人であり、なおかつ足利公方・一葉様の恋人でもある、という奇手を打った。つまり有力大名で彼の人を共有すれば、彼の人を中心にして日の本中の力が集まる』

『その力でもって鬼を破ると?そんな事が果たして可能なのでしょうか』

『実際、天上人や田楽狭間の天人、または神の再臨などと呼ばれるだけであった彼の人は、名だけでなく実もあることを、何度も何度も披露してしまいましたから。となれば向後、他の有力大名に、協力を要請したとしても天上人の名聞と力を利用して天下を狙う・・・・そんな私心が織田にあるのでは、と勘ぐられるは必定でしょう。しかし名聞も力もある天上人を、皆で共有する姿勢を織田が示すというなら、乗ってくる勢力も出てくる』

『そのような手があったのですね』

『悩みに悩まれて・・・・ですが決断されたようです』

『でもそうなったら・・・・ふふっ。久遠様も詩乃さんも、恋敵が増えてしまって、女としてはやりきれませんね』

『まあ・・・・神仏を独占ではなく、皆で共有するものであると考えれば、あの方は平等に愛する事でしょう』

『確かに、あの方は本物の神仏。独占するとバチが当たりますね。天守教のデウス様みたいに』

『さて、戯言はここまでにしておきましょう。エーリカさん、明智衆と長柄の指揮を頼みます』

『はい。お互いに、無事に再開致しましょう』

『・・・・(コクッ)』

なるほどな、神仏を共有するか。久遠もなかなかいい考えをするな。確かに神は独占するものでもないしな。さてと、俺は少し離れたところで準備完了なので一葉と鞠との合流をしていた。

「へーくしょんっ!」

「どこぞでおなごが噂しておるな。お主を夜空の下で盛大に話しているのではないのか?」

「あははっ!一真だったらありそうなの!」

「まあ、こういうのは噂でくしゃみするからな。ところでさっきの恋人になる件、あれはいったい」

「余の口から説明する気はないが、もう分かっておるのじゃろ?」

「推測だけど、一葉と双葉を恋人にするんだろう?」

「正解じゃ。双葉も余の可愛がってくれ」

「そのためには、生き残らないといけないな。余計に燃えてくるぜ」

「燃えるのは構わんが、余の力をお主に貸そう。その代りお主の力を余に貸してくれ」

俺は当然と言いながら、一葉をそっと抱きしめる。いきなりの事で、驚いたがこれから恋人になるんだからな。

「よ・・・・良きに計らえ」

「ああー、一葉ちゃん、羨ましいのー」

「ははは。鞠はまた今度な」

言いながら、俺は一葉の身体を強く抱きしめる。

「一葉は俺が守る。だから一葉も俺の背中を守ってくれ」

「・・・・・ふふっ」

俺の腕の中で、緊張してたが軽くなったようだ。それと同時に神の力で緊張を解しているから。

「余も誓ってやろう。主様は余が守ってみせる。だから主様は余の背中を守ってくれ」

「主様ね、まあ呼び方に関しては気にしないけど」

と言って一葉から離れた。通信機からは少しずつだが、狙撃で減らしていると。

「はいはいはいはいなの!一真、次は鞠の番なの!」

ぴょんぴょんと跳ねながら、鞠が俺の傍に寄ってくる。

「いいよ。おいで鞠」

「うんなの!」

俺の腰に手を回し、ぎゅっと抱き着く鞠の身体を、しっかりと包む。

「鞠の事も俺が守ってやるが、俺の背中は一葉同様鞠が守ってくれ」

「うん!」

『隊長、来ます』

「分かった、いよいよ来たか」

「南で鏑矢が上がったようだが、上がる前に来るとは便利だな」

「戦いの始まりなの!」

「ああ、行くぞ!」

俺は、南門に行く。追いかけるように、一葉と鞠も追いかける。

「小波!」

「お側に」

「小波の力は、一真隊にとっては鍵だ。一真隊の仲間達と俺達の繋ぎを頼む」

「承知」

「あとは、・・・・そうだな。影から鞠と一葉を守ってほしい」

「しかし・・・・その場合、自分はご主人様を守ることができません」

「構わん!俺は俺の部隊の者たちが守ってくれるからな。だから、頼む」

「分かりました。ですが、あの・・・・ご主人様もどうか無事で」

「ありがとな。小波も無事に帰ってこい。また鍋で一緒に食べようじゃないか」

「自分如きが、また参加してよろしいのですか?」

「当たり前だ。仲間と一緒に生き残ったら、一緒に飯を食う。そして今後の戦に向けて祝うのさ。だから、この戦が終わったらな」

「・・・・(コクッ)行ってまいります、ご主人様」

「では気を付けて行って来い!無理は絶対ダメだからな!」

「・・・・承知!」

行ってしまったが、一葉には小波の気配が分からんと言っていた。俺には分かる。小波の気と気配。それに風の精霊が教えてくれるからな。それに小波は草ではない、小波は小波だとな。

「なるほど、身分など関係無しか」

「そういう事。身分よりも仲間の気持ちが大事だ」

「・・・・らしい言葉だ。やはり良い男だな、主様は」

「そういう一真だから、きっと皆が集まってくるの。だから一真はそのままで居て欲しいの♪」

ふっ、嬉しい事を言っているな。鞠は。俺の考えを理解しているんだろうと考えたけど、それも幸せな事何だなと思う。

「それでは一刻の間、死力を振るうのみ」

「鞠の宗三左文字が火を噴くのー!」

「それでは行くぞ!」

そして、行ったらもう戦闘は始まっていた。左が押されると鉄砲を撃ち、撃った後に弓で射る。その間に鉄砲の準備をする。 
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