万華鏡
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第七十三話 雪その八
「だからね」
「積もるのね」
「何でも今日はね」
「ずっと降るの?」
「そうみたいよ」
里香も他の四人も上を見上げている。大きな雪、ぼた雪がかなり多く降ってきている。その勢いを見ればだった。
琴乃もだ、こう言った。
「明日大変かしら」
「積もるからね」
「ええ、そうよね」
「だからね」
「明日雪でこけない様にしないと」
「しっかりした靴じゃないとね」
里香は上を見上げたまま琴乃に話す。
「こけるわね」
「そうね、それじゃあ」
「ええ、気をつけないと」
それこそ、というのだ。
「こけるからね」
「大変なことになるわね、ただね」
「ただ?」
「いや、何か今日本全体で大雪らしいから」
「交通ダイヤルとか」
「そう、飛行機とかね」
そうした交通がだというのだ、里香はこのことを考えて言うのだ。
「動くかしら」
「ちょっとまずいんじゃね?雪どんどん強くなってるよ」
美優は上を見上げつつ里香に話した、そうした話をしている間に。
五人が制服の上に着ているコートに雪がどんどんかかってくる、その勢いはもう積もらんばかりだ。それで美優はこう言うのだ。
「ちょっと急ぐか」
「とりあえずはね」
「クラスの中に入って」
「さもないと雪で濡れるよ」
だからだというのだ。
「急ごうな」
「まず部室に入って」
「そうして」
「そう、行こう」
こう言ってだ、そしてだった。
五人は足を速めて部室に向かった、そして部室に着くと。
既に来ていた部長達がだ、こう五人に言った。
「今日は走られないから」
「はい、それじゃあ」
「今日の朝練は」
「校舎の中でサーキットトレーニングよ」
それをするというのだ。
「いいわね」
「サーキットですか」
「それですか」
「そう、それでいくから」
こう琴乃達に話す。
「それでいいわね」
「わかりました、それじゃあ」
「今日は」
「そうするわよ、あとこの雪の勢いだとね」
部長も雪のことを話す、気候のことはどうしても避けられない。
「夕方もグラウンドは使えないから」
「演奏ですか」
「それですね」
「そっちに専念するわよ」
普段と違ってだ、そうするというのだ。
「それでいいわね」
「わかりました、じゃあ」
「今日は」
「そういうことでね、じゃあはじめるわよ」
部長は左手を自分の胸のところに延ばして置いて右手で掴みストレッチをしつつ言った。
「朝練をね」
「それじゃあ」
この日の朝練は校舎の中でのサーキットトレーニングだった、部長が言った通り。そして朝も昼も午後もだった。
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