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ロウきゅーぶ ~Shiny-Frappe・真夏に咲く大輪の花~

作者:46熊
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Four

(くそっ、くそくそくそぉっ……)

大学の近くにある何の変哲もないアパートの一階、私の家は此処にあった。自宅から通う事も出来たのだが一人立ちしたいと言う事もあり豪邸を捨ててこの小さな9,5畳の部屋に移ったと言うわけだ。
仕送りで十分食べて行けるので特にバイトをしている訳でもない、何をするわけでもないからこの空虚な部屋を嫌な気が満たしていく。
木星の如く深い重圧にさいなまれながら悶々とする。ただひたすらに悔しくて、悔しがっている自分に違和感を覚えてまた悶々とする。
バスケを辞めたと言っておきながら、ヒナに激怒し大人気も無くぶつかりそして持てる力全て出し尽くして攻め落とせなかった。あいつが高校に入ってから今までバスケに触れていたかいなかったかなどどうでもいい、自分が何をしたいのか分からない。
自分がバスケへの情熱を未だに燻らせているなど信じたくもない、だって自分は……

「ああもうっ、らしくないらしくないっ!!!!!」

乾いた言葉が誰もいない部屋に反響し自分に何発か突き刺さった。いたたまれないので冷蔵庫を開けキープしておいたビールを取りだす。先月の頭めでたく20歳になったので何の文句を言われるいわれもない。
プシュッと言う音を立てて缶から飛沫(しぶき)が舞う。酒に弱い私にとって酔いが回るのは一口で十分なのだが、この日ばかりは飲まずにいられず。
容易く一本全部飲みほしてしまう。何だか今日は行ける気がする……根拠のないバカみたいな直感を信じて冷蔵庫を再び開ける。ついでに裂刹・イカするめ(←商標登録済み)を棚から取りだし開封する。侵略したくなる味らしい。

「ふぅ~……何やってんだかな私……あれ、わた、し……」

視界がグラグラ、頭がぐわんぐわんとする。まずい、常温でビールを放置するなど愚の骨頂、寝落ちにしてももう少しましなやり方があると言う話だ。
朦朧とする意識の中ビールの缶を掴み(何度か手を滑らせた)何とか冷蔵庫の中に帰還させる事に成功する。ガタンと静かに扉が閉まり、冷気が遮断される。
謎の達成感、それと共に糸を切られた操り人形のように身体が崩れ落ちる。こんな所で寝て、また風邪引くよ……アイリーンなら絶対そう言うにきまっている。
でも良いじゃないか、もう大学生なんだし、自分のたいちょ、体調くらい、自分、で……なんと、k……






『……んで……』

『……んな、真帆……』

『……んでだy……う……て……って……うんだよ……』

『………んっ!!!!!!!』




「……んあ」

馬鹿な夢を見た。馬鹿な寝方をした自分にはお似合いの夢だった。忘れたくても忘れられない記憶の断片が今日も自分を苦しめる。
朝日が差し込む夜明け、今日も蒸し暑い日常が始まる。いつもと同じ、しかしそれは徐々に自分の日常を侵食していたのだけれど……

「そうか、今日は日曜か……」

その非日常に気付く術も無いままに。私は着替えて街へ繰り出した。




「ふんふふんふんふんふ~ん、ふぅうんふふんふんふんふ~ん」
「おい、うるさいぞ……時差ぼけで頭トチ狂ってるのは分かってるから落ちつけ」

午後の気だるい昼下がり。冷房の程良く効いた近所の喫茶店の秩序を乱す男が一人。我が甥ながら情けないと嘆息する美星。

「はぁ……何と言うか、雰囲気変わりましたね」
「あはは……サキちゃん、中々酷い事言うんだね」
「サキもアイリも待ってたんだ、もう少し何か言う事は無いの?」
「仕方ないじゃないかTiny Girls、全てがBigな国USAから帰ってみれば、こんなにも小さいじゃないか我が故郷。あ、麦茶と抹茶アイス一つ」

ストレートど直球で和風テイストなオーダーをかますと、男は急に淀んだ瞳をいつもの澄んだ物へと切り替えた。

「ただいま、二人とも」
「えへへ、おかえりなさいませっ」
「本当に……お久しぶりです」

「「長谷川さん……っ」」 
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