ハイスクールD×D 新訳 更新停止
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第3章
月光校庭のエクスカリバー
第62話 聖剣来ます!
前書き
教会側のオリキャラの一人が登場します。
『カラオケ?』
「久々に行かね?」
朝の教室前の廊下で俺と明日夏は松田と元浜にカラオケに誘われていた。
「そうだなぁ…久しぶりに行くか!」
「俺も良いぞ」
俺と明日夏は断る理由も無いので了承する。
「で、どこの店に行くんだ?」
「ああ、駅前の所にあるヤツだ」
「あそこなら挿入歌はおろかキャラソンまでフォローしているぞ」
「挿入がなんだって~」
「うおッ!?」
「桐生!?」
突然の桐生の登場に松田と元浜が驚く。
「やだやだ~、朝からまた士騎君を巻き込んでのエロトーク~?」
「カラオケ行こうって話してただけだ!」
「カラオケ!良いじゃん、私も付き合おうかな~♪ね、アーシア?」
「はい、行きたいです」
『何ぃぃッ!!』
アーシアが来るかもと松田と元浜がテンションを上げていた。
「よし!イッセー、明日夏!」
「……な、なんだよ?」
「……なんだ?」
「この際だ…」
「……他のオカ研の女子を誘えってか?」
「話が早くて助かる」
「ヘイヘイ」
「断られても文句言うなよ」
『何がなんでも誘うんだ!』
『……分かった…』
ま、俺もオカ研の女子が来るのは大賛成だしな。
「なんの話してるの~?」
そこへ鶇さんもやって来た。
「鶇、お前カラオケ行くか?」
「……ん~、あんまりそう言う所行きたくないな~…」
『えー!?』
「……だろうな」
「……はは」
鶇さんの答えに松田と元浜がショックを受け、俺と明日夏はそう言う答えが来る事が分かっていたので特に驚かなかった。
鶇さんってあんまりカラオケみたいな騒がしい所に行きたがらないんだよな。
と言うか、外出事態をあまり行わず、家で昼寝している事が多い。
「……イッセー君は行くんだよね~?」
「うん、俺は行くつもりだけど…」
「……う~ん、イッセー君が行くなら考えとこうかな~…」
「え?」
鶇さんの答えに素っ頓狂な声が出てしまった。
「……ひとまず保留って事で良いんだな?」
「うん」
なんか明日夏が話を進めていた。
「じゃあ、行く気になったら俺に連絡しろ」
「うん、じゃあね~」
明日夏とやり取りした鶇さんはそのまま教室に戻っていった。
「クソォッ!なんでイッセーがいると良いんだよ!」
「なんでイッセーばかりが!」
「……喧しい」
喚く松田と元浜を明日夏が黙らせてしまった。
現在、俺と明日夏は千秋達オカ研一年女子達と一緒に部室に向かっていた。
放課後、アーシアと鶇さんを先に部室に行かせ、俺と明日夏はカラオケの話を千秋達に聞きに行った。
ちなみに返事はと言うと…。
「行く」
「行ってあげるわよ」
「……行きます」
と、三人とも特に断る事も無く了承した。
……にしても、燕ちゃんと小猫ちゃんが来るのはちょっと意外だった。
小猫ちゃんに至っては結構乗り気であった。
「……何よ、その意外だなって顔は?…」
おおぅ、燕ちゃんがジト目で睨んできた…。
「ああいや、燕ちゃんって確か、あんまり騒がしい所って嫌いだったはずだなあって…」
燕ちゃんも鶇さん同様に騒がしい所はあまり好まない。
……まあ、理由はそれぞれ違うんだけど。
「……そ、それはそうなんだけど…」
……なんか顔を赤く染めて呟いていた。
「……なるほど、だいたい分かった」
……明日夏はなんか分かったようだ。
「要はアレだろ、お前は…」
「ちょッ!?いきなり何言い出すのよ!」
燕ちゃんが慌てて明日夏の言葉を遮る。
「?たまにはそう言う所に行くのも悪くないって思ったからなんだろうと言おうとしたんだが…」
「え?」
「何言うと思ったんだ?」
「え!?……あ……あうぅ…」
燕ちゃんがまた顔を赤く染めてして俯いてしまった。
そして俺達は見逃さなかった…。
燕ちゃんのそんな光景を見て、黒い笑みを浮かべている明日夏を…。
「ああ、これは…」
「……うん」
「……またですね」
うん、また明日夏が燕ちゃんを弄りだしたのだ。
明日夏は事あるたびに燕ちゃんを よく弄ってる。
明日夏曰く「反応が面白い」だそうだ。
ちなみに鶇さんも「反応がかわいい」って理由で明日夏と一緒に弄る事がある。
無論、燕ちゃんもやられっぱしなのは嫌なのか弄り返そうとするんだけど、如何せんその手の話術対決では鶇さんはともかく明日夏の方では明日夏の方に軍配があって、いつも返り討ちにあっていた。
そんないつもの光景を見ながら歩いてると部室に到着した。
「ちわーす」
俺を先頭にみんなで部室に入る。
「いらっしゃい。どうしたの燕?顔が真っ赤よ?」
部長が入ってきた俺達を見て挨拶をした後、燕ちゃんが顔を赤くしているのに気付いて聞いてきた。
「え~と、いつものです」
「ああ、なるほどね」
俺がそう答えると、部長も理由を察したようだ。
「あらあらうふふ、私も参加しましょうかしら?」
ああ、朱乃さんがSな顔をして呟いていた。
「ッ!?お願いだからやめてください!」
燕ちゃんは必死に朱乃さんに懇願する。
これ以上弄ってくる相手が増えるの(ましてやドSの朱乃さん)は勘弁願いたいようだ。
「そうですよ副部長、やめてください」
『え?』
普段から弄っている明日夏が何故かやめるように頼んでいた事に俺と燕ちゃんは思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「コイツを弄っていいのは俺だけです」
「って!ザケンじゃないわよ!!」
燕ちゃんが顔を怒りで真っ赤にして明日夏にハイキックを繰り出す。
明日夏は黒い笑みを浮かべながら蹴りを避ける。
うん、本音もあるけど、ほとんど弄る為に言ったな。
……て言うか…。
「おい、燕…」
「何よ!」
「その位置で蹴りを出せばイッセーにスカートの中が丸見えだぞ?」
「……ッ!?」
……明日夏の言う通り、蹴りを出すたびに柄物のかわいらしいパンツが見えてしまっていた。
燕ちゃんがスカートを押さえ、今度は羞恥と怒りで顔を真っ赤にし、涙目で睨んできた。
「………見たの!……」
「……え~と…」
……うん、ここは変に誤魔化すよりも正直に言った方がいいだろう。
「………うん見た……」
「……ッ!?………このぉ……」
「ちょっと待って燕ちゃん!今のは不可抗力…」
「ドスケベがッ!!」
「グヘァッ!?」
一気にジャンプで俺の目の前まで翔んできた燕ちゃんのジャンピングハイキックをもろに顔面に喰らってしまった。
……ちなみにこの時、蹴りが当たる瞬間にまたスカートの中身が見えた。
「……そう言えば部長、木場はどうしたんですか?…」
燕に蹴られた所をアーシアに治療してもらっているイッセーが、木場が部室にいない事が気になったのか部長に聞く。
「……祐斗は今日、学校を休んでいるわ」
「ッ!?……部長、昨日の話と何か関係があるんじゃ?」
「………」
イッセーの問いかけに部長は黙ってしまう。
「教えてください部長!木場と聖剣になんの関係があるんですか?」
「………祐斗が聖剣計画の生き残りと言う事は話したわよね…あ、明日夏は…」
「……千秋から聞いてます」
「……そう。……話を戻すわ。祐斗以外にもエクスカリバーと適応する為、何人もの子供が育生されていたの」
「え?」
「現在、聖剣エクスカリバーと呼ばれる物は七本存在しているからよ」
「七本!?」
「本来の聖剣エクスカリバーは大昔の戦争で四に散してしまったの。その破片を教会側が拾い集め、錬金術で新たに七本の剣に作り替えたって訳」
「木場はその剣を扱えるって事ですか?」
「……いや、使えないな」
「え?」
「もし使えていたら、今頃教会の聖剣使いとして部長達と敵対しているはずだ」
「って事は…」
「祐斗だけでなく、同時期に養成された全員がエクスカリバーに適応できなかったらしいわ。……計画は失敗に終わったのよ。そして…」
「……計画の主導者は木場達を処分した…ですか?」
「……その通りよ明日夏」
「処分ってまさか…」
「……言葉通りの意味だ」
「ッ!?」
「そんなッ!?主に仕える者がそのような!」
「……悪魔は邪悪って言ってる割には自分達がやってる事の方が邪悪じゃない…」
『………』
教会の奴らの行いにイッセーとアーシアは驚愕し、燕は吐き捨てるように言い、千秋と鶇は顔を嫌悪で歪ませていた。
「……兄貴が言ってたな…本当に邪悪なのは自身の悪意で何かを踏みにじる事…そして正義も時には悪意にもなる…そこに悪魔や人間…種族なんて関係無い…ってな…」
「……そうね。私もそう思うわ…」
さっきまでの和気藹々した雰囲気が一気に暗くなる。
「……あの子を見つけた時にはすでに瀕死だったわ。でも、一人逃げ延びたあの子は瀕死の状態でありながら、強烈な復讐を誓っていた。……その強い思いと力を悪魔として有意義に使ってほしいと私は思ったの…」
「……それで部長が木場を悪魔に…」
そして、ここ最近まではその部長の想いに応えて生きていたが、あの写真を見て、聖剣…エクスカリバーへの強い復讐心で再び心を満たしてしまったと言う事か。
「……昨日も言ったけどしばらく見守りましょう。今の祐斗はぶり返した復讐心で頭がいっぱいになってるでしょうから…」
……確かにそんな状態の奴に何を言っても聞く耳を持たないだろうからな。
……だが、不安が一つあるとすれば木場が復讐を果たす為に部長の下から抜け出す…つまりはぐれになる可能性がある事だが、実物のエクスカリバーを見れば起こりかねないが、写真に写っていた聖剣を見たぐらいでは流石にそこまでの行動は起こさないだろう。
コンコン。
部室に誰かが来たようだ。
「どうぞ」
「お邪魔します」
「生徒会長と副会長?」
入ってきたのは会長と副会長であった。
「リアス、緊急の話があるの。今から私の家まで付き合っていただけません?あそこなら誰にも干渉される事はありませんし」
「……相当込み入った話のようね…」
「……ええ、相当に…」
「……分かったわ」
緊急のそれも相当込み入った話…。
俺はふとあの神父の遺体の事を思い出す。
(……まさかあれと関係あるのか?)
「で、話と言うのは?」
「今朝、五人の教会関係者が接触してきました」
「接触?」
「この町に入ってくるのは久しぶりね。それで目的は?」
「リアス、貴女との会談を願い出てきたのです」
「教会関係者が悪魔に!?なんの冗談よ!……かなり厄介事なのは間違いなさそうね…。それでなんと答えたの?」
「受けておきました。明日の放課後、貴女の部室を訪ねてくる予定です」
「ええ!?ちょっと…」
「……ただ、一つ気になるのが…」
「?」
「接触してきた五人の内、二人は聖剣を携えていました」
「聖剣を!……聖剣を持つ教会関係者…それもこの町に……この町にいた教会の……ッ!?まさか!ごめんなさいソーナ、すぐに戻らなくては!イッセー達が危ないわ!」
「緊急の話って何なんだろうな?」
帰路につくなか、イッセーが聞いてきた。
「さあな。明日あたりに部長が話してくるんじゃねえか」
「それもそっか…ッ!?」
「イ、イッセーさん…」
家に近くまで来て突然、イッセーとアーシアが表情を強張らせた。
「どうした二人とも?」
千秋達も疑問符を浮かべていた。
「……お前らは分からないのかよ?……この嫌な感じ……」
(嫌な感じ?……まさか!)
「嫌な感じってどんな!」
「……何て言うか…体中から危険信号が出てる感じだ……この感じ、前にも感じた事がある…」
「……前にも?」
「アーシアと出会って、教会に案内に案内した時……それと…フリードと出会った…ッ!?」
「イッセー!」
俺とイッセー、事態を察した千秋はイッセーの家へと駆け出す。
イッセーとアーシアが感じてたのは悪魔の聖なる力に対する危険信号だった。
つまり、今イッセーの家に教会関係者が来てる。
理由は様々だが、最悪なのは悪魔の関係者に対する攻撃行為だ!
今イッセーの家にはイッセーの母親がいる。
俺達は玄関のドア開け、警戒しながら中の様子を伺う。
すると、おばさんの楽しく談笑する声が聞こえてきた。
俺とイッセーは怪訝に思いながらお互いに目を合わせると、警戒心を解かずおばさんの声が聞こえるリビングに向かう。
中の様子を伺うとおばさんが見知らぬ女性三人と談笑していた。
三人の特徴はそれぞれ栗毛のツインテール、青髪に緑のメッシュのショート、黒髪のポニーテールと言う髪型で三人とも白いローブを着込んでいた。
雰囲気から間違いなく教会関係者…。
「あらみんなお帰りなさい。それからいらっしゃい明日夏君、千秋ちゃん。どうしたのみんな血相を変えて?」
俺達全員警戒心を抱いてるせいかかなり強張った表情をしてるらしい。
まあ、当然警戒心を解けるはずもなく…なんて思っていると、栗毛の少女が口を開いた。
「久しぶりだねイッセー君、明日夏君」
『え?』
「あれ、覚えてない?私だよ?」
そう言って微笑む栗毛の女性。
「……え~と~…」
イッセーは未だに分からないようだが、俺はなんとなく察し始めていた。
教会関係者で栗毛の髪…そんな知り合いは一人しかいない。
「……お前、イリナか?」
「せいか~い♪」
「ええ!?イリナって、紫藤イリナの事か!」
「そうだよ~♪」
そう、彼女は俺とイッセーのもう一人の幼馴染みである紫藤イリナだった。
「この頃は男の子みたいだったけど、今はこんなに女の子らしくなっちゃって、母さん見違えちゃったわ」
おばさんが当時の写真を見せながら言う。
「……俺この子の事本当に男の子だと思ってた…」
「まあ、あの頃かなりやんちゃだったし…」
……確かに、そこいらの男子よりもやんちゃ坊主だったなコイツは…。
「でも、お互いにしばらく会わない内にいろいろあったみたいだね。本当、再会って何があるか分からないものだわ♪」
この様子、イッセーが悪魔だと言う事に気付いてるな。
その後、特にこれと言った事態に発展せず、しばらくするとおばさんが「私はもう十分話したから」と言い、幼馴染み同士で積もる話もあるだろうと席を外した。
俺達は元教会関係者であるアーシアがいるのは危険だと判断し、アーシアだけを部屋に行かせ、他はリビングに残った。
「……で?」
「ん?」
「……わざわざ懐かしの幼馴染みに会う為だけに日本に来た訳じゃないんだろ?」
俺が質問すると、青髪の女性が口を開いた。
「……その口振りから察するに、君は…いや、君だけじゃなく彼女達も、隣の彼が悪魔だと言う事に気付いているようだな?」
「……まあな」
俺は特に気にする事もなく答えた。
それにしても、彼女の横に置かれてる布に巻かれた物を見る。
イッセーもそれを見ているが、物凄い冷や汗を流していた。
その反応を見るかぎり、あれはおそらく聖剣だろう。
「……それよりも答えろ…何故教会関係者がこの町にいる?……しかも聖剣使いがだ…」
「ほおぉ、これが聖剣だと気付いると言う事は、君はただの一般人と言う訳ではなさそうだな 」
青髪の女性が笑みを浮かべながら告げる。
「え~と、もしかして貴方、この町にいる悪魔の方とご関係が?」
今度は黒髪の女性が話し掛けてくる。
「……友好的な関係を築いている」
「でしたら、その悪魔の方がたぶん話されると思いますよ。もしかしたら明日、会う事になるかもしれませんし。あ、私、神田ユウナって言います」
黒髪の女性…神田ユウナが名乗る。
「ところでイリナちゃんって、男の子に間違えらるくらいだから相当やんちゃだったんですか?」
「ちょっとユウちゃん!?」
「まあ、相当なやんちゃ坊主だったな。イッセーだけじゃなく他の男子も間違えてたくらいだし、ぶっちゃけ俺は女子だって分かっていたが、正直「コイツ本当に女子か?」って疑っちまったからな」
「ちょっと明日夏君!?女の子に向かって坊主って酷くない!あと疑うって私そこまでやんちゃだった!」
「当時のお前の印象はそんな感じだったな」
「もう、間違えてたイッセー君もだけど、明日夏君も酷いよ…」
「うふふ、本当に仲良かったんだね」
この神田ユウナと言う女性、教会関係者のわりに俺達が悪魔と悪魔に関わりのある者達であるにも関わらず、やけにフレンドリーだな?
「ところでその娘達って…」
「ああ、コイツは俺の妹で後の二人はお前と入れ違いで俺達が会った…要するにお前と同じ幼馴染みだよ」
「へ~」
イリナは興味深そうに千秋達の事を見ていた。
「おい、二人とも、そろそろ行くぞ。あまり長居する訳にはいかないだろ」
ほとんど会話に参加せず黙っていた青髪の女性がおいとましようとイリナと神田ユウナを急かす。
「ああ、待ってよゼノヴィア!それじゃあねイッセー君、明日夏君♪」
「それではまた明日、会えたら」
三人はそのままイッセーの家を後にした。
後書き
新オリキャラの神田ユウナの紹介は少し後になります。
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