DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第6章:女の決意・男の勘違い
第41話:敵対する心が敵を作る
(ロザリーヒル)
トルネコSIDE
ふぅ……どうやらデスピサロさんもリュカさんと啀み合うことを無意味に感じたみたいで、凄い顔で睨みながらもロザリーさん・ラピスさんの側で落ち着いた。
素人の私でも、この二人が戦い合ったら周囲への被害が大変なことになると判るので、仲良くしてもらうのが一番良いと思います。
「キサマには言いたい事が山ほどあるが、今はエビルプリーストを押さえる事が先決だから、後回しにしてやる! ロザリーとラピスに感謝しろリュカ!」
「僕の感謝表現はベッドの中でなんだが……感謝しちゃって良いの?」
「殺すぞコノヤロウ!」
「君、そればっか(笑)」
折角纏まりかけてるのにリュカさんがデスピサロさんを怒らせる。もう勘弁してほしい……
「リュカ、その感謝はロザリーとラピスの友達である私が受け取るわ!」
これ以上喧嘩させない為なのか、ビアンカさんが収拾を付けに動く。
胸を旦那の腕に押し付けて、夜の夫婦生活を滾らせる。
「では私も……リュカさんは二人に感謝したいでしょうから、ビアンカさんと共に私もお受け致しますわ!」
「こ、こらミネア! あ、あんたは引っ込んでなさい」
ミネアさんの突然発言にマーニャさんは慌てて妹さんの腕を引き押さえようと試みる。
「何を言うかミネア! ロザリー様へは兎も角、私への感謝は私自身が受け取る。無用なお節介はしないでいただこう!」
「ラ、ラピス……お前がこんな女だとは思わなかったぞ」
「ご、誤解ですデスピサロ様! リュカだけですから……リュカは特別ですから!」
“甘い物は別腹”的な言い方で、上司に……以前は憧れてた上司に言い訳するラピスさん。
口調がちょっと怖い感じな人ですが、意外と可愛い面もあるんですね。
しかし、何時までもここで口論しててはラチがあかないので……
「まぁまぁ……それよりも、デスピサロさんはエビルプリーストさんの居場所を知ってるんですか? 完成版の進化の秘法を使われ、取り返しの付かない事になる前に、どうにかしないとならないのでは?」
「ん……あぁ、そうだな」
正直リュカさんとの遣り取りに疲れていたのだろうデスピサロさんは、私の言葉にホッとした感じで答え表情を改める。
「ちょっと待て!」
だがしかし、まだ満足いかないのかリュカさんがデスピサロさんの言葉を遮り、別の問題で場を混乱させようと試みる。
いい加減にしてもらいたい。
「まだ何かあるのか!?」
「あるに決まってるだろ馬鹿者!」
あぁ……また喧嘩しそうな雰囲気が漂ってきました。
「何だ!?」
「『何だ!?』じゃねーよ、サントハイムの人々を解放しろ! お前が進化の秘法実験体用に異空間へ幽閉した、サントハイムの連中を今すぐ元の時空へ戻せ馬鹿野郎!」
あぁ、そうか……
そう言えばアリーナ姫様達の故郷サントハイムは、デスピサロさんが手を下して人々を異空間へ幽閉してしまい、大問題になっているんでした。
視線を向けるとアリーナ姫様等も真剣な表情でデスピサロさんを睨んでいる。
「なんだ……そんな事か」
「『そんな事』とは何よ!? 早くお父様達を解放しなさいよ!」
流石は血気盛んで喧嘩っ早いお姫様……魔族の王様相手に、恐れる事なく噛み付いていく。
私だったらリュカさんの後ろに隠れたって出来ないです。
「す、すまん。侮辱する意味での言葉ではないのだ……と言うか、私が進化の秘法を使い化け物へ変化した時点で、私の魔力が遮断され解放されたはずなんだ。多分、2.3日前くらいからサントハイムに人々が戻ってると思うぞ。確認してみたのか?」
「お前がヤンチャしてた所為で、確認に戻ってる暇が無かったんだよ!」
「そ、そうだよな……済まんリュカ……」
大切の人の事を思うアリーナ姫様等の気迫と、歯に衣着せぬリュカさんのザックリした台詞と、今更ながら酷い事をしてしまったとの後悔の念で、流石のデスピサロさんも素直に謝ってしまった様子です。
「リュカ、申し訳ないんだけどルーラでサントハイムまで……」
「勿論だよアリーナ! こんな大事な場面でルーラを渋るほど僕は人でなしじゃない。ただ気球も持って行きたいから、取り敢えず村から出て気球に乗り込もうね。みんなも忘れ物は無いよね?」
ルーラでサントハイムへ行くのなら、この村で仕事を得ておきたかったなぁ……
そんな事言ったら怒られるかな?
怒られるだけなら、物は試しに言ってみるかな?
「トルネコさん……流石に止めた方が良いですよ」
考えていると私の肩に“ポンッ!”と手を乗せウルフさんが心を透かし読んだかの様に呟いてきました。
まだ何も言ってないのに!!
「今この場で『金儲けしたい』なんて言ったら、100%この場に置いて行かれますよ。俺も止める気になれないし……」
ですよねぇ~……
そんな気はしてました! ただ、もしかしたらって、ちょっとだけ思っただけなんです!
トルネコSIDE END
(サントハイム)
ホイミンSIDE
「お父様-! みんなー!」
リュカさんのルーラで気球ごとサントハイムへ辿り着くなり、アリーナさんが凄い勢いでお城に駆け込んで行きます。
その後にクリフトさんとブライさんが急ぎ足で続きます……するとリュカさんが、
「やれやれ……面倒だがこれまでの説明は僕がしないとならないか」
と溜息交じりで呟きお城へと入っていきました。
別にリュカさんでなくても良いとボクは思うんですよ……リュカさんは偉い人に敬語を使わないから、説明とかするのには不適切だと思います。
また騒ぎを巻き起こすだけなら遠慮してもらいたいですねぇ……
お城の中に入ると、そこには人が沢山居ました。
アリーナさんは既に奥へ行ってしまったみたいですけど、クリフトさんとブライさんは軽く声をかけながら進んでいます。
きっと先へ急ぎたくて、もどかしい思いなんでしょうね。
以前はモンスターに占拠されてたサントハイム城ですが、今はモンスターも居らず……と言っても、この前来た時にリュカさん達(リュカさん以外)が追い払ったからだけど……その時に破壊された箇所を、皆さんが修復しています。
でも皆さんが無事な様で、本当に良かったと思います。
2階にある玉座の間には、玉座に座った王様に抱き付くアリーナさんの姿が……
何時もは気が強そうにしてるけど、今は泣きながら王様の無事を喜んでます。
やっぱり女の子なんですね……って言ったら怒られそうですね(笑)
「おぉブライにクリフト……一体何があったのだ!? 急に目の前が真っ暗になり、次に視界が開けたら城がボロボロになっておったぞ!?」
どうやら異空間へ閉じ込められている間は時間経過が無く、王様達にとっては一瞬の出来事だったみたいです。
「その説明は僕がしよう……」
困り顔の王様に、珍しく説明役を名乗り出たリュカさん……
皆さんの視線を気にする事無く話し始める。
「王様……あんた確か、予知夢を見るクセがあったよね?」
「別にクセで見てるのではない!」
へー……そんな事出来るんだ!
「兎も角……魔族がその能力を恐れて声を封じたのだが、結果的に事なきを得た。だから魔族は次の手段として、異空間へ閉じ込めちゃったんだよ!」
「何と!? し、しかし……それなら私だけを閉じ込めれば良いのではないのか?」
「えっ!? ……う、うん。きっと魔族も面倒臭くなって、サントハイム城全域指定で魔法を発動させたんだよ!」
「……なるほど。では何故、我々は戻って来れたのだ?」
「うん、彼が協力してくれたんだ! 彼の名はデスピサロ……魔族ではあるんだけど、異空間に閉じ込められたみんなを解放してくれたんだ。所謂サントハイムの恩人だよね」
「ま、魔族なのか!? にしては……リュカ、お前に似ているなぁ」
でも性格は違うんですよぉ。
「当然だろう! コイツは僕の先祖にあたるんだからね……イケメン中のイケメンだから、みんなを異空間から解放したんだ。だから僕みたいなイケメンは信用できるんだよ」
リュカさんの思考回路って凄いですよね。馬鹿なのかと思うくらい凄いですよね。
「お、おい……リュカ……」
「あ、お礼はいいってさ。彼は恥ずかしがり屋さんだから、面と向かってお礼を言われると照れちゃんだよね。だから子孫の僕がお礼を受け取るよ!」
サントハイムの皆さんを閉じ込めたのもデスピサロさんなんだけど、解放した事だけを強調して原因を言わないリュカさん。
きっとデスピサロさんも、その事が気がかりで何かを言おうとしたんだろうなぁ……
リュカさんが遮ったけどね。しかもお礼をよこせって言ってるけどね。
「まぁケチなお前等は、お礼なんてする気ないだろうけど、皆さんを助け出した英雄達……すなわち僕等に、今後の事を話し合う為の会議室みたいな部屋を貸してもらうよ。これでお礼の件はチャラで良いからね! さぁブライ……会議室に案内しろ」
そこまで一方的に話しきると、これまた一方的に全員を引き連れサントハイム城の会議室に移動するリュカさん。
お父さんの無事を喜んでいたアリーナさんまでも、強引に連行しちゃいました。
「おいリュカ……さっきのはどういう事だ!? この城の人間を異空間へ閉じ込めたのは俺だぞ! それを言わず、恩着せがましい事だけを言って「良いんだよ!」
嘘吐く事が嫌いなのか、デスピサロさんは本当の事を言わなかったリュカさんに詰め寄ります。でも顔を右手で押さえ込まれ、文句の言葉も遮られました。
「お前がサントハイムの人々を解放した事は事実なんだし、無駄に敵を作る事も無いだろう。今後サントハイムは元より、人間と敵対する気は無いのだろ?」
「……まぁ……ロザリーが……」
ロザリーさんが『人間とは仲良くしましょ』って言ってるから、デスピサロさんも人間と敵対しない気になったみたいですね。
「じゃぁ良いじゃん、もうそれで!」
「いいや、良くない事もある! 何でお前が俺の子孫なんだ! 顔が似てるってだけで、勝手に俺を先祖にするんじゃない!」
確かに迷惑ですよねぇ。リュカさんの祖先になるなんて、人生悲観しちゃいますよね。
「でも……それは事実だし……」
プンプン怒ってるデスピサロさんを更に怒らせそうな発言をするリュカさん。
でもなんだか……
ホイミンSIDE END
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