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ソードアートオンライン ~黄昏の流星群

作者:鷹 三代目
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1話 星なき夜のアリア



全くふざけた話だ。
勝手に送られたゲームソフトを試しにプレイしてみたらもし死ねば本当に死に、ログアウト出来ず百層にも連なるこの世界をクリアしなければ現実世界に帰れないなんて

ふざけてる

だが自分では思ったより悲観していなかった。何故か分からない。心が踊る。 昔から戦国時代などには憧れて戦いはやってみたいと思っていた。この世界の戦いは楽しいがリアリティが足りなかった。なんて思っていたのは自分だけだろう。

ただ一番悲しいことはダッチが死んだことだ。あぁ安達駿のことだよ。
そとから無理やりナーヴギアを外そうとした人がいたんだろう。それは一番悲しかった。

が、とりあえずこれからどうするか? だな。ダッチに戦闘は手取り足取り教えて貰ったが美味しいクエストなどは全くわからない。
とりあえずベーターテスターについて行くのがいいかな。

お、今最初の人がこの広間から出て行ったな。青い髪が目印だ。よし、あの人について行こう。




はぐれた! 後ろから頑張ってついて行ったのに。広間出たら誰もいなかった。しかも適当に町歩いてたら迷った~!!! どうしよう変な路地に来てしまった。

「じゃあ、ここでお別れだな」

ん、誰かいるんだろうか。
たったったったっ
まずいこっちに来る、隠れよう。

よかった。少し中年の赤い人はどっか行ってくれた。もう一人子供顔の人は一度こちらを振り向いたあと、反対側に迷いのない足取りで駆け出していく。おおっ、これはもしやベータテスターさまなのか。
とりあえず話を聞こうと思ったが。
彼、かなり早い。敵も瞬殺。追いつけない。大声を上げながら走ってらっしゃる。

いつまで走るんだろう?
と、思った時村が見えて来てその村に入ったとき彼は走るのをやめた。
これがチャンスと思い声をかける。
「お、おーいそこの君〜」
彼は振り向き、困惑の顔を見せる
まぁ当たり前か
「君ベータテスターでしょ。これからどこ行くの?」
「君はベータテスターじゃないの?」
「ああ、違うよ。スタートダッシュをよくするにはベータテスターについて行くのが一番かなーと思って。君を追いかけてたんだ。それで、どこ行くの?」
「そこを曲がった所の小屋の中のあるクエストの報酬はかなり強い片手直剣なんだ」
声が小さい。もしかしたら人見知りなのかもしれない。いや、多分ベータテスターだから他の人をおいてきた罪悪感があるのだろう
「そーなんだ。もしよければそのクエスト一緒にやろうよ」
「別にいいよ」
「本当?じゃあ早速クエスト受けよう!」
そんな感じで2人でクエストを受けることになった。
「実つきのネペントは攻撃すると仲間を呼ぶから絶対攻撃するなよ」
「分かったー」


「スイッチィィィ」
片手直剣 単発技 ホリゾンタル を放つと残り3割ほどあったリトルネペントのヒットポイントが消滅した。
けっこう相性は悪くない。タイミングもあってる。しかしまだ花つきのネペントは一匹も出ていない。こんなに出ないのかな?とか思っているとキリト(言い忘れていたが一緒にクエストを受けた少年)の方から華やかなファンファーレの音がする。

これでキリトがレベル4ぼくがレベル3になっている。

それと同時にまた二匹ネペントがよってきた

‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

どちらにも花が付いている!なんと幸運なんだ。
「運がいいな‼︎」
「ミック、右のほう頼むぜ」
「分かった」

そして戦闘に入る。
ネペントの粘液攻撃を回避し片手剣下位単発ソードスキル スラントを発動ネペントのヒットポイントが3割ほど減る。

ここでネペントが不可解な行動に出た。いきなり動きを停止したのだ。よく分からないが止まっていたので遠慮なくソードスキルを叩き込む。もう一度スラントを打ち込みさらに3割減らしスキル硬直時間が終わる、がネペントはまだ動きを止めている。
そしてホリゾンタルを放つ!


と、ネペントから「ザァー」という音が響く。そしてキリトがその音に振り向き困惑の表情をしている。が、その顔はすぐに驚愕に変わる。
それが普通だろう。 なぜなら、花付きの花が付いていたところに身がついていたのだ!
さらに一度発動したソードスキルはもう止めることは出来ない。

ズガァーン‼︎

その直後パァーンという乾いた音が鳴り響く。

思いっきり実を攻撃してしまった。
同時にこっちの事態に気が逸れていたキリトがツタによる攻撃を食らう。

あちこちから敵が寄ってくる音が聞こえる


まずい まずいぃー







寄ってきたネペントの数は1、二、
3、4、数え切れない。しかも周囲を囲まれているので逃げることが出来ない。"倒すしかない‼︎‼︎"
「キリト......ごめん」
「今のはミックは悪くないよ。こんなことはβテスト時1度もなかった。」
「だけど.....」
考えてみれば当たり前なのだ。
花が咲いたあと時間が経てば実がなるのは花として普通だ。ネペントの動きがおかしくなった時に気づくべきだった。
「倒すしかないな」
そうつぶやいたキリトはもう戦闘形態になっている。
「ああ」
そのあともう何が何だかわからなかった。めちゃくちゃに剣を振り回して走った。無我夢中だった。

そして気付いた時には敵はもう一匹もいなかった。キリトも僕もHPはすでに危険域に入っていた。


帰る途中


走っていたら大きな切り株につまづいたのだ。そいつはモンスターだった。
メタルネペントの切り株という名前だ。
攻撃力はかなり低かったが、HPがかなり高く異常な程硬かった。倒すのに四十分もかかった。もちろんボスモンスターじゃない。通常MOBだ。
そしてドロップ品にメタルアイヴィーインゴットというインゴットがあった。これはレアなのかもしれない。

ホルンカの村に戻った時すぐにでも使ってしまいたい衝動に駆られたがなんとか自制し、鍛治スキルの高い鍛治プレイヤーが出てくるのを待つことにした。そしてクエストの報告にしに来たとき....

一瞬、小屋の影に始まりの日につけようとして見失った。青い髪のプレイヤーが立っていた気がしたがもう一度まばたきした間には消えていたので気にもとめなかった。

そしてキリトと一緒にクエストの報酬のアニールブレードをもらう。
その剣を試しに握ってみるとしっくりくる感覚が手に広がり、重さが感じられた。さすがはベータテスターの情報力。

いい剣だ!


そこで一旦声をかける
「じゃあここで一旦別れようか」
「そうだな」
「フレンド登録だけしておこうぜ」
「分かった」
「いろいろありがとうな」
「いや、こちらこそ」
こんなやりとりをした後
俺はキリトと別れ、レベル上げに走った。





「はーい、今日は皆集まってくれてありがとう。」

‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

な、なぜ?




今ここはフロアボス攻略会議が開かれている始まりの街の広場だ。フレンドメールでキリトからフロアボスの攻略会議があるということを聞いてやってきた。あるパーティーがボスの部屋を発見し討伐のための会議が開かれるということだった。

そのあるパーティーのリーダーというのディアベルという人がさっきの声の主でここを仕切っている。
「いよいよ始まるみたいだな」
「ん?、ああ」
キリトの声で我にかえるが疑問は残ったままだ。

そう、このディアベルさん、髪が青い。見間違えるはずもない。デスゲームが始まったあの日最初にベータテスターをつけようとして目に焼き付けた青い髪の持ち主!

だが、当たり前といえば当たり前か。
ベータテスターと判明すればすぐに糾弾されようこの世界で自分がベータテスターだと名乗るはずも無い。
だから別にあの日、最初に行動して自分だけ強くなってからみんなを率いるというのもおかしくはないだろう。しかし、何か違和感を感じる。


「じゃあみんなパーティーを組んでくれ!」
あ、しまった考え事をしててで何も聞いていなかった。

え、パーティーを組むだと!

ここはとりあえずキリトとパーティーを....

「ちょっとそこの君! 誰も組む人がいないのなら一緒にパーティー組まないか?」
「え、お、俺ですか?」

ここで少し戸惑ったのはパーティーに誘ってもらっただけではなく、誘ってくれた人の顔が怖くて(失礼かな?)びっくりしたからだ。

「ああ、大体はメンバー決まったんだけどもう1人入るから。人数は多い方がいいからな。」
む、どうしよう。キリトにちらりと視線をやるとフードをかぶった子に声をかけている。俺のこと無視かよ!と心の中でつっこみ少し考える。 やはりこの人が言ったように人数は多い方がいい。 よし!
「そういうことならよろしくお願いします。」
すると、もう1人のパーティーメンバーの人が肩を組んできて
「一緒に頑張ろうな!」
と声をかけてくれた。フレンドリーな感じだ。
もう一度キリトに視線をやるとこちらに抗議の目をされた。もしかしたらキリトは俺とパーティー組むのは当たり前と思っていたのかもしれない。
ふん、無視したりするからだ!と思っているといつの間にか自己紹介が始まった。

最初に声をかけてくれた人がエギルさん次に声をかけてくれたフレンドリーな人がテンさんそしてきれいな女の人がグリセルダさんにその夫のグリムロックさん、そして最後にアオイさん。え、と思ったが一瞬で理解する。おそらくアオイさんは女性プレイヤーとしてこのゲームを始めようとしたのだろう。だが、あの手鏡によって姿を戻されてしまったのだろう。道理で声が少し小さかったわけだ。そりゃあはずかしいだろうなぁ。
しかしそれでもここまでのプレイヤーになるなんてかなり精神力の強い人だ。

「じゃあ最後に君も自己紹介を」
エギルさんに促されて俺も自己紹介をする。
「ミックです。片手剣を使ってます。 よろしくお願いします。」

「ちょお待ってんか。」
と言っておりて行ったのはキバオウという人らしい。
その人はベータテスターがいるかもしれんから軽々しくパーティーなんぞ組めん。と言っておられる
ちらりとキリトを見ると歯切れの悪そうなかおをしている。
そうだ、と思いつき、ディアベルさんを見やると少し、してやったり、みたいな表情をしていて気になった。彼はベータテスターじゃないのか?あの日、最初に広間から出て行ったのに?

そこで横にいたエギルさんが入り、反論に入った。
だがそこでは他の人の表情まで見る余裕が無かった。
なぜなら、道具屋で500コルもしたあのガイドブック、あとから来た人にはただで配られていたらしい。
俺はベータテスターじゃないのに...

500コル損した気分になった

そんな感じで会議は締めくくられ、明日の集合は午前10時ということになった。

帰るときまたキリトにジト目で睨まれたが、こちらは知らんぷりをしておく。
そしてそのままパーティーの人達と一緒に連携の確認がてら少し戦闘をしたあと、宿屋に帰って寝た。


次の日の午前10時


「今日はみんな集まってくれてありがとう。一人でも遅れたら今日のボス討伐は行わないつもりだったんだ。だけどそれはいらない心配だったみたいだな。絶対にボスを倒そう。」と、ディアベルがみんなを盛り上げると
「「「おぅ!」」」
とみんなが返事を返す。雰囲気はいい感じかな?



そしてエギルさん達パーティーメンバーと雑談しながらボスフロアまでたどり着いた。
「みんな、俺達はここでボスを倒し、100層にも渡るこの世界をクリア出来るということを示さなければならない。
頑張ろう!」


ギイィーーという音が鳴り、ボス部屋への扉が開く。
そして中に流れ込んだ。

暗い。
と、青い炎が横から燃え上がり、ボスが姿を表す。


その名も『イルファング ザ コボルトロード』


おぉぉぉーー!
という声をあげながら突っ込む。



そして戦闘に入ったが驚くほど順調だった。俺達もディアベルさんに指示されながら攻撃していた。


そしてボスのHPゲージが残り一本を切ったとき、変化ぎ起こる。曲刀を投げ捨て武器を持ち替えようとしている。
これも、ガイドブック通りだ。
と、ディアベルさんがおかしな指示を出す。
「ここは、俺に任せろ!」

この場合全員で囲む予定じゃなかったか?

そして、そのとき後ろからキリトの声が聞こえた。
「やめろ!!!」

だが、時既に遅し

ボスが手に持っていたのはガイドブックとは違う変な武器。

ディアベルさんは突き上げられたあと、ピンチに陥っていた。

空中に浮いている。いても立ってもいられなかった。
彼の方に飛んで行く。

そのあいだにもボスは剣を光らせソードスキルを発動させる。一撃、届かない
2連撃、届かない…
「届けーーー」
3連撃目!なんとか斬撃は自分の腕で受け止めた。部位欠損状態になり地面に倒れこむ。

ディアベルさんもHPが赤の危険域にまで入っているが、なんとか助かっている。

よかった。 もしボス4連撃以上のソードスキルを使っていたら、間違いなく死んでいた。
だが、これで終わりではない。

「エギル!」
呼ばれたエギルはハッと我に帰り
「すまん、俺としたことが竦んじまったぜ」
と言って。パーティーメンバーを率いてボスへ向かう。

そしてキリトにも目配せすると彼もボスの方へ向かって行ってくれた。
あとは彼らに任せよう。

そう思っていると知らない人に壁際まで運ばれ回復してろと言われた。リーダーを助けてくれてありがとうとも言われた。

横にはディアベルが居た。彼を助けたのは、どうしても質問したかったからだ。
「ディアベルさん、あなたは何を考えている?」
「すまないが、どういう質問か分からないな。」
「あなたはベータテスターなんだろう。それに最後もラストアタックボーナスを取ろうとしたんじゃないのかい?」
彼は苦笑したあと、
「どうやって気づいたのか教えて欲しいね。」
「あなたはあの日、1番最初に広間を出ていった。それを見ていた。」
「よく見ていたな」
「自分で責任取れよ。あれだけの人を騙したんだから。」
「分かってる」
何か思いつめたような表情だった。まだ違和感が取れなかったが彼は大丈夫だろう。

そしてそのときボスは倒れ、みんなから勝利の雄叫びが上がった。

だがそのとき、お前、ベータテスターだろ! という声が上がる。キリトに向けてのものだ。

「ディアベルさんが突っ込んだとき相手が違う技使うこと知っとったやないか!」

そういえばそうだ などという声が上がる。
このままではまずい、ベータテスターを対象にしたキリトへの糾弾が始まってしまう。

「ハッハッハッハ」
? キリトが変な声で笑い出した。

「ベータテスターだって?俺をそんな奴と一緒にしないでくれ。βテストに選ばれるのはたった千人、その中にゲーマーが何人いたと思う?大半はレベリングのやり方も知らない素人ばっかだったぜ。今のお前らの方がまだマシさ。
俺は誰も登っていないような層まで登りつめた。相手が使うスキルを知っていたのももっと上の層であのスキルを使うモンスターと散々戦ったからだ。」
「そんなんもうチーターやん」
そして反感の声が大きくなり、「チートのベーター、ビーターだ。」
「ビーター、いい名前だな。それ、これからはベータテスターごときと一緒にしないでくれよ。二層のマッピングは俺がしといてやるから、」

「待て!俺もベータテスターだ。ついていくよ」


なんとそう言ったのはディアベルさんだ。キリトも含めて皆、困惑の表情を見せている。

「俺もこいつと同じくらい高い層まで登ったとおもう。
さっきのはこんな低い層であのスキルを使うやつなんていないと油断しただけだ。俺がお前らを率いたのはお前らを強くするためじゃない。単に人数が多い方がいいだけだ。
俺は1番最初にあの日、広間を出て全員見捨てたからな。
少しぐらいはたすけようかと思っただけだ。初見のMOBに殺される覚悟があるやつはついて来い。」


おぉっ。覚悟は決まってるようですね。
なかなかいい責任の取り方だ。見上げた魂だな。

フードの子(今はフードを取りめっちゃかわいい女の子だけど)がキリトと何か話している。

何はともあれ、これで一件落着みたいだな。

ま、キリトが1番混乱してるみたいだけどな。
ディアベルさんは笑顔だからいっか。

疲れた。早く宿屋帰って寝よう。



 
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