万華鏡
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第七十三話 雪その六
「けれどよ。この場合は」
「例えなのね」
「そう、lあの人がお酒大好きだったからよ」
「何でも出陣中でも飲んでいたのよね」
「あの人はね」
そこまで酒好きだった、尚謙信は出家しているのでこの場合は般若湯になる。酒は駄目でも般若湯ならいいのだ。
「逆に信長さんjは飲まなかったのよ」
「えっ、織田信長さんはなの」
「そう、飲まなかったのよ」
「そういえば何処かで聞いたわ、そのお話」
琴乃は信長が下戸という話をここで思い出した。
「信長さん飲めなかったのよね」
「お酒はね」
「如何にも飲みそうだけれど」
「実際は甘党だったのよ」
意外と思う意見が多いだろうが実は信長が好きなのはそちらだった。酒はほんの少し飲めるかどうか程度だったというのだ。
「そっちだったのよ」
「ううん、お話聞いてたら飲みそうなのに」
「お酒は駄目だったの」
「じゃあ酔ったりとかも」
「お酒飲まないのよ」
それならばだった。
「それはないわよ」
「そうなるわね、やっぱり」
「そう、琴乃ちゃんはどっちもいけるわね」
「うん、お酒もお菓子もね」
「だったら余計によ」
「身体には注意なのね」
「日本酒は糖尿病になるわよ」
ここに酒も加われば余計に、というのだ。
「明治天皇みたいに」
「あの方はお酒お好きだったの」
「お好きだったわ」
さらにだったのだ、明治帝は。
「あとお菓子もね」
「甘党でもあられたのね」
「蒸しカステラに羊羹がお好きで」
「私もどっちも好きよ」
「アンパンにアイスクリームね」
「その二つも好きよ」
「しかもそこにお酒だったのよ」
とかく酒がお好きだったらしい。清酒を飲まれてその味に感動されてから生涯愛されたという。
「だからね」
「糖尿病になられたのね」
「それで崩御されてるから」
「えっ、死因は糖尿病だったの」
「だから琴乃ちゃんにも言うのよ」
実際に皇室では明治帝のことから糖尿病にはかなり気をつけている、無論他の病気についても細心の注意が払われている。
「身体には注意すること」
「そのことが大事なのね」
「さもないと大変なのは自分よ」
「私なのね」
「そう、琴乃ちゃんよ」
他ならぬ彼女自身だというのだ。
「だから気をつけなさい、いいわね」
「そうするわ」
「アルコール自体がね」
つまり酒全般が、というのだ。
「過ぎると駄目なのよ」
「そうなのね」
「お母さんも気をつけてるから」
「そういえばお母さんも」
「ええ、最近日本酒じゃなくてね」
この酒でなく、というのだ。
「ワインにしてるのよ」
「洋風にしてるのね」
「肉料理やパスタは赤ワインでね」
そして、というのだ。
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