転生者物語 in ハイスクールD×D
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第一章・その名は邪王真眼 小鳥遊六花(高校一年間)
第六話
前書き
今回はボリスとACトレインにスポットを当てます。
六花達が学園生活を楽しんでいる頃、ボリスは駒王町をパトロールしていた。そんな中、彼はある一台のパトカーを見つける。
「よお、バリケード。そっちの方はどうだ?」
ボリスはそのパトカーの隣に止まると、声を掛けた。
「ああ。ボリスか。」
このパトカーの名はバリケード。ボリスと同じトランスフォーマーだが、サイバトロンではなくデストロンである。そんな彼が何故ボリスと仲良く会話しているのか?
実はバリケードはボリスによって救われた魔に取り憑かれていた転生者なのである。
デストロンファンと言う事で、悪質な神に目をつけられたのだが、彼自身は善良だったため魔を植え付けられてしまったからである。
そんな彼が望んだ姿は『G1バリケード』。トランスフォーマーの実写映画に登場したバリケードのG1風デザインである。だが、魔に取り憑かれた事で実写映画バージョンになってしまっていたのだ。
「実はさっき、根っからの方の悪質転生者と交戦したんだ。だが、また能力が『王の財宝』だったから、多少苦戦したものの倒せちまったな。」
そう不満とも安堵ともとれる答えをするバリケード。
根っからの悪質転生者が選ぶ能力の八割が『無限の剣製』か『王の財宝』なのだ。ゆえに、派遣転生者および改心した転生者の中ではすっかり攻略法が出来上がってしまっている。とはいえ、厄介な能力には変わりないので楽勝とはいかない。
「お前一人でか!?凄いなあ。」
「おっと。バリケード一人じゃないぞ!」
すると、バリケードの助手席に置いてあったラジカセが変形した。彼はバリケードの相棒のフレンジー。もちろん、デザインはG1仕様である。
「そう言えば、お前が居たな。フレンジー。」
「俺だけじゃねえぜ。サウンドウェーブも居たぞ!」
「そうか、あいつもか。」
サウンドウェーブもまた、魔に取り憑かれていた転生者だ。カラーリングはG1仕様だが、ボディはSGサウンドウェーブのワゴン車に変形するものとなっている。
「それと、サウンドウェーブが『あの二人』に関する新しい情報を手に入れたから、お前に伝えてくれって言ってたな。」
「何!?それは本当か!?」
「ああ。今そっちにデータを送信するから待ってろよ。」
夜中の線路。終電が終わった頃にそこを爆走する列車があった。
「再び蒸機の栄光を掲げるために!ブルートレイン再興のために!!東海道よ、私は帰って来た!!!」
それは、20系客車を連結したC62型蒸気機関車だった。
「悪いが、ここは東海道本線じゃないぞ。」
すると、その後ろから迫る銀色の車両があった。ACトレインである。
「夜中に暴走されたら保線管理がロクに出来ないからな。止まってもらうぞ!ヒカリアンチェンジ!!!」
そして、ACトレインはヒカリアンへと変形した。
「私の邪魔をすると言うのか?面白い。ならば受けて立ってやろうではないか。ブラッチャーチェンジ!!!」
さらに、C62もブラッチャーへと変形する。
「トランスフォーマーじゃなくてブラッチャーだったか。そうなると、このマイナスエネルギー反応が魔によるものか、本人によるものか判断し辛いな。」
マイナスエネルギー反応を示すのは魔だけではない。ブラッチャーなどと言った暗黒のエネルギー生命体などもマイナスエネルギーを発しているのである。
「まあ、これを当ててみれば分かる。」
すると、ACトレインは一丁の拳銃を取り出した。本来、技術者である彼にまともな武装はついていない。だが、これは魔に取り憑かれた転生者を救うために新たに作った武装である。
この『ハイスクールD×D』の世界に存在する勢力『堕天使』に属する『はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)』は堕天使の加護により、光の力を行使している。それと同じ原理で派遣転生者と改心した転生者達は六花と十花の堕天使としての部分の加護を受けて光の力を使えるようになっているのだ。ただし、仕様目的はあくまで取り憑いた魔を追い出す事なので、出力は最小にしてある。
「当たれ!フラッシュガン!!」
ACトレインは銃から光の弾丸を発射した。ブラッチャーはそれを回避し、背中の煙突型キャノン砲で応戦して来る。
「やはり一筋縄ではいかないか・・・それなら。ジェッター!!!」
ACトレインがそう叫ぶと、彼が分離した先頭車が縦に割れ、そこから一台の黄色いロボットが現れた。ヒカリアンの世界で初代主人公であるのぞみに武器を届ける役目をしたロボット『踏切ジェッター』の量産型としてACトレインが開発した『ジェッター』である。ジェッターは手に挟んだ一枚の縦を射出した。ACトレインはそれをキャッチする。
「フラッシュシールド!」
これも堕天使の加護により、のぞみのスカイサンデーのように光を放つ事が出来る装備だ。威力はスカイサンデーと互角、つまり目くらまし程度だが、魔やブラッチャーが相手なら十分な威力かつ、広範囲を光で照らす事が出来る。もっとも、その分燃費が悪いのが欠点ではあるが。
「フォールンフラッシュ!!」
ACトレインの叫びとともにフラッシュシールドからまばゆい光が放たれる。
「ま、まぶしい!!」
その光に目をつむるブラッチャー。すると、彼の身体から黒いモヤのような物が出て来た。魔である。
「やはり彼も魔に取り憑かれていたか!」
それを確認したACトレインは拳銃の出力を上げ、魔に狙いを定めた。
「これで、終わりだ!!!」
そして、光の弾丸に貫かれ、魔は消滅した。
「大丈夫か?」
「ああ。すまない・・・」
魔を消滅させた後、倒れてしまったブラッチャーが身体を起こすのにACトレインは手を貸した。
「君も災難だったな。」
「ああ。しかし、私のボディはこのまま良くて博物館行き、悪くてスクラップだな。」
そう言ってブラッチャーは自分の車体と客車を見た。魔が消滅する前、それらは新品のように輝いていたが、今はあちこち塗装が剥がれ、錆び付いていた。ACトレインはそれを眺める。
「ふむ・・・確かに酷いが『JHR』の技術ならば、修理不可能と言う訳では無さそうだな。」
「本当か!?」
「まあ、詳しく調べてみなければ分からないが・・・まだ走れるか?」
「ああ。何とかな。」
「なら、着いて来てくれ。ヒカリアンリターン!!」
「分かった、ブラッチャーリターン!!」
列車形態に戻ったACトレインは、C62を先導する方で走り出した。
ACトレインがC62を案内した場所。そこは車両基地だった。
「ここに、何があるんだ?」
「着いて来れば分かるさ。」
C62の質問にそう答えるACトレイン。そして、彼らは車両基地の外れにある側線に着いた。すると、側線の一部が下がり、地下へ続く線路が現れる。
「こ、これは!?」
それを見て驚愕するC62。そんな彼に対し、ACトレインは先に地下へと入って行く。それを見たC62も彼に続いた。やがて、二編成は広い空間に出る。
「これは・・・」
「ようこそ、『JHR地下基地』へ。」
『JHR』。それは、かつてACトレインが所属していた組織であり、この世界で改心させた列車系TF転生者などと共に極秘で作った組織である。ここの設備があったからこそ、ACトレインは自分のボディび旅客運用のための改造を施す事が出来たのだ。
「それじゃあ、修理を開始するから、そっちの線路に入ってくれ。」
「ああ。済まんな。」
「別にいいさ。その代わり、直ったらバリバリ働いてもらうぞ。」
「働く!?私がか!?」
ACトレインの言葉にまた驚愕するC62。すると、ACトレインは呆れながら言った。
「そりゃあ、直すんだからその分働いてもらわないとな。とりあえず、20系客車の内装は『走るホテル』から『走る高級ホテル』にグレードアップして・・・ふふふ、アイデアがどんどん浮かんでくるぞぉ。」
「その、お手柔らかに頼むぞ・・・」
何やら、客車を修理のついでに改造する気満々なACトレインを見て、少し不安になるC62だった。
続く
後書き
次回は玄の駒王学園での生活と、サウンドウェーブが手に入れてきた情報についてです。
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