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いつか必ず、かめはめ波を撃つことを夢見て

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第19話 圧勝!桃白白との戦い

「ちぇい!」
 桃白白が、地面を蹴りあげ、ナシゴに向かって拳を繰り出す。そのまま、桃白白は右腕をナシゴの心臓目掛けて繰り出した。ナシゴは冷静にその腕を掴むと、そのまま腕を極めて桃白白の右腕を無慈悲に折った。

「がぁぁっ!?」
 桃白白は、自分の攻撃が簡単に受け止められて、しかもそのまま腕を折られた事を把握するのに数秒かかった。
「がっ、なに……?」
 
桃白白はプランプランと、揺れる折れた右腕を呆然と見ていた。そして、一気に怒りが爆発した。

「貴様ごときに、この世界一の殺し屋桃白白様が、腕を折られただと……!」
 今度は、桃白白が心の芯まで熱くなって怒る。怒りに任せて攻撃を繰り出す。右腕は使いものにならないので、左腕と両足を素早く動かしながらの攻撃だ。
 
 しかし、ナシゴには1撃もヒットを与えることなく、受け流される。桃白白は、次第に怒りよりも焦りが大きくなって、攻撃の精度が段々と荒くなってきた。ナシゴはこんなものかと、しらけて桃白白の顔を殴り飛ばす。桃白白はされるがままに数メートル吹っ飛び倒れる。

「ぐあっ!……き、貴様!」
 桃白白は頭の血管が切れるくらい、怒り狂いナシゴを睨んだ。しかし、ナシゴはどこ吹く風。そして、ナシゴはボラを殺されかけて怒っていた感情を落ち着かせることに成功していた。ボラは仙豆で治した、そう考えてこの無意味な戦闘も終わらせようという気になった。

「貴方は、私には敵わない。死にたくなかったら、ここから去ってもう二度と俺の目の前に現れるな」
「ぐぐぐっ」
 桃白白は、怒り狂っては居たが、ナシゴとの圧倒的な武力の差を感じていた。しかし、世界一という称号を持っていて引くに引けない状態だった。

 ナシゴは、桃白白が引かない事を見やり、仕方なく別の手段を講じる。
「悟空、桃白白の相手をしてみろ」
「いいのか? ナシゴのおっちゃん」
 悟空は、久々の稽古以外のバトルに心躍った。

「おい、桃白白。これで傷を治せ」
 ナシゴは、持っていた仙豆を一つ桃白白に投げてよこした。桃白白は左腕でしっかりと受け止めると、受け止めた豆を不思議そうに見た。
「なんだ、これは?」
「それは仙豆、身体を治すのと、体力回復してくれる」

 桃白白は、素直に仙豆を飲んだ。もしも、毒だったとしても修行の末に手に入れた毒耐性がある自分には効かないはずだと考えたからだ。

「なんと……」
 桃白白は、折れていた右腕がしっかりと元通りになったことに驚いた。

「おさげのおっちゃん。次の相手はオラだ」
「なに……? こんな小僧に。舐められたものだ」

 桃白白は言葉の割に、慎重に相手の力量をしっかりと測ろうとしていた。先ほどナシゴにこてんぱんにやられた結果、ガキだとしても舐めてかかったら痛い目にあうかもしれないと。しかし、桃白白は悟空の力量を測りかねていた。

「ちぇい!」
 ついに桃白白が先に動く。悟空は、自分の小さい身体を目一杯動かして、反撃する。

「げぇっ」
 丁度良く、カウンター気味に悟空の蹴りが桃白白の腹に直撃して、桃白白は悶絶する。さらに悟空は、右の握りこぶしを桃白白の顎にめがけて殴りつける。殴られた反動で、桃白白は空を見上げるような形になり棒立ち状態になった。
「ハッ!」
 がら空きになった腹にさらに正拳突きを、桃白白の腹にめがけて放つ。そのまま吹き飛ばされる桃白白。
 
 何とか、起き上がる桃白白だったが、小さな子供にも敵わない事を知り、もう世界一の殺し屋なんて称号を気にする余裕もなく、ここからどうやって逃げるかを考えていた。そして、最終兵器を出すことにした。

「すっ、すまなかった。私が悪かった! ゆるしてくれ」
 桃白白の土下座とともに放たれた言葉に唖然とする悟空。しかしナシゴは嘘の芝居だろうと見ぬいていた。
「たのむ、このとおりっ。もう 二度と悪いことはしない。本当だ! 許してくれ」
「……」
 悟空が、どうするかとナシゴに目線を向ける。悟空が桃白白から目を離した隙に、桃白白はズボンの裾に隠しておいた爆弾を手に取り、悟空に向かって投げる。
「死ねっ、小僧」
「なにっ!?」
 悟空が、素早く桃白白へ向き直る。しかし既に桃白白の手からは、爆弾が放たれた後だった。そして桃白白は、力いっぱい地面から飛び上がっていた。

「爆弾だ! 避けて悟空さん!」
 今まで、隠れていたウパがテントから飛び出し、叫ぶ。桃白白は、爆弾から離れるために空高く飛び上がった。
「悟空くん、蹴り返せ!」
 ナシゴは、ウパとは違う方法を悟空に伝える。悟空が一つ頷くと、地面すれすれに落ちそうになっていた爆弾に足を潜り込ませて、鋭く空に向かって蹴り上げた。

「へ?」
 桃白白は間抜けた最後の言葉。

 ボカンと大きな音をさせながら、爆弾が爆発した。桃白白の身体は跡形もなく消え去ってしまった。辺りにパラパラと爆発の破片や火の粉などが飛び散る。

 今まで横になって休んでいたボラが立ち上がり、お礼を言う。
「ナシゴ様、悟空さん。なんとお礼を言えばいいか。危ないところを、あなた達のお陰で助かりました」
「お父さんを助けてくれてありがとう!」

 ナシゴは、考えていた。桃白白が刺客として送られてきたということは、レッドリボン軍に聖地カリンの場所を知られたということだ。このまま放っておくと、更なる刺客が送り込まれて、ボラの負担になると。

「悟空くん、ドラゴンレーダーは持っていますか?」
「これのことか?」
 悟空が懐から出した機械をナシゴに渡す。

「ふむふむ、こうやって使うのですね」
 原作知識にあったドラゴンレーダーの実物を見て少し興奮するナシゴだった。少しの操作で、使い方を学び、それからドラゴンボールが集まっている地点を見つけ出す。

「悟空くん、少し用事が出来たので、一緒に付いてきてくれますか?」
「いいぞ。どこに行くんだ?」

「レッドリボン軍の本拠地です」 
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