進撃の巨人〜緋色の翼〜
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第八話:入団
前書き
更新遅れました!!
すみませんでしたm(_ _)m
「貴様!」
だだっ広い広場に男の声が響き渡る。
「ハッ!」
「貴様は何者だ!!」
「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」
「そうか!!バカみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」
「祖父がつけてくれました!」
「アルレルト!貴様は何しにここに来た!?」
「人類の勝利に役立つためです!!」
「それは素晴らしいな!!貴様は巨人のエサにでもなってもらおう!!
三列目!!後ろを向け!!」
「貴様!貴様は何者だ!?」
今行われているのは通過儀礼と呼ばれているものだ。
しかし、その通過儀礼を受けていない者もいる。エレンやミカサ達がそれだ。受けていない者の殆どは二年前のあの日に巨人による地獄をみせられた者だ。その者達は皆、他の者とは違う空気を身に纏っている。
赤目の少年、シルヴィオ・クロイツも勿論、それに当てはまる。しかし、シルヴィオから感じられる殺気はその者達の比ではなかった。
訓練兵達を恫喝している教官──キースはシルヴィオの前で思わず足を止めた。
(こいつが兵士達が噂していた緋眼の少年か……噂は聞いていたがこれは……凄まじいな)
シルヴィオはあの日から近く居た憲兵団の兵士達が、緋色の眼の少年がいる、と兵士の中で噂を広めていた。それを聞いた開拓地に手配されていた兵士が見てみたところ、緋色の眼の少年は確かに居た、さらにそいつは見ていて寒気がしたという。
シルヴィオはそこではまだ感情を抑えていた。ようやく巨人を殺せる技術が手に入ることにシルヴィオは抑えていた感情を爆発させていた。
シルヴィオの前後と両隣の二人程は居ない。既にこの殺気に当てられて気を失い医務室に運ばれている。近くの訓練兵も目眩を起こし軽く冷汗をかいている。キースがその殺気を正面から当てられて顔を顰めるだけで済んでいるのは流石、というべきだろう。
数秒程シルヴィオの前で足を止めた後、何も言わずに次の兵士へ向かった。
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(ようやく兵士になれた…これで奴らを殺せる)
俺は儀礼が終わった後、しばらくそれだけしか考えられなかった。
俺が気が付いたのは夕食の時だった。ふと周りを見渡すと俺の周りには一人も人が居らず皆俺を避けているようだった。
(と言っても別にこいつらと仲良くする気は無いのだが)
訳をエレンに聞こうとして馬面の男と話し終え外に出たエレンを追おうとするがまた俺を避けるように道が分かれた。
(まあ、こっちとしては勝手に道を開けてくれるし楽なんだが)
そのままエレンの近くに行って呼び止め何故かと理由を聞いた。
「なあ、なんで皆俺を避けてるんだ?」
しかし、それを聞いたエレンは苦笑いを返してきた。
「シルヴィオがまた無意識に周りを威圧してたからだよ」
それを聞いた俺も苦笑をせざるを得なかった。
「またやっちゃったか」
俺は開拓地でも巨人の話を聞く度、無意識にこんな風になることが多かった。
「悪かったな。エレン、ミカサ」
「いいよ。開拓地で慣れたから」
「気にすることは無い…」
幼馴染たちの言葉を聴き苦笑してまう。とはいえ、これでもましになったほうだ数ヶ月ほど周りを威圧しまくっていた。俺を見て開拓地にいた兵士がびびっていたほどだ。
「そっか…なら、明日から訓練だ。寮へ行こうぜ」
ミカサと別れ、エレンと寮へ向かった。
寮では俺と同じ部屋になった奴が絶望の表情を浮かべていた。
……………失敬な。
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翌朝
「……ん。くっ…。そろそろだな」
まだ、太陽もうっすらとしか出ていない早朝に目を覚ます。
部屋には僅かな太陽の光が射し込むなかで殆ど暗中模索状態でエレンの近くに寄りエレンの頬を数回はたき、小声で起こす。
「おい、エレン。起きろ。朝ランニングするんだろ?起きろって」
「くっ……あっ…。シルヴィオ?ああ、そうだったな起きるよ」
俺とエレンは周りを起こさないよう静かに荷物から動きやすそうな服とタオルを引っ張り出し、昨日、サシャ(って言ってた様な気がする)が走らされていた場所へ移動した。
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「そろそろ終わりにしようぜ」
「ああ、部屋に戻るか」
数十回程度走り終えた後、敷地内にある井戸を汲み顔を洗い汗を流した。
部屋に戻ると既にアルミンと他、数人程目を覚ましており俺たちは軽くベッドを整えた後、食堂へ向かった。
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「おはよう、エレン。あとシルヴィオとアルミンも」
「おう」
「おはよう、ミカサ」
「おはよう。って、僕らはついでなんだね…」
食堂へ向かう途中、ミカサに会い、四人で飯を食うことにした。
四人で飯を食っていると坊主頭の男が話しかけてきた。
「よう!俺、コニーってんだ、アルミンって言ったっけ?お前さ、シガンシナ区出身って言ってたよな。その日もいたよなシガンシナに!」
「おい、あいつ、あの赤目がいるところに話しかけたぞ」
「マジかよ!?死ぬんじゃねえか?」
「ばっか、お前!!聞こえたらどうすんだ!」
コニーが話しかけたことに周りはざわめきをたてた。
「う、うん。僕だけじゃ無くてこの三人も同じ、シガンシナ区出身だよ」
アルミンは俺たちに目を向けて話を振った。
「よろしく、エレン・イェーガーだ」
「…ミカサ」
「シルヴィオ・クロイツだ。よろしく」
「おう!!よろしくな!」
二カッという効果音が出そうな笑顔で返してくれた。威圧してた俺が悪いのだが幼馴染の四人以外で話しかけてくれた人は居なかったので正直嬉しかった。
「それで?見たのか?超大型巨人」
「ああ……」
エレンのその答えに次第に人が集まってくる。
「本当か!?」
「どのくらい大きいんだ!?」
「壁から首を出すぐらいだったな…」
「うそ!?、私は壁を跨ぐぐらい大きかったって聞いたわよ!?」
「俺の村でもそう聞いた」
「ど、どんな顔だったの?」
「皮膚が無くて、口がでかかったな」
超大型巨人、俺の両親を殺した巨人。
「じゃあ、扉を壊したっていう鎧の巨人は?」
「普通の巨人と同じくらいだったよ」
次はアルミンが答える。
鎧の巨人、フローラを殺した巨人。
「エレン、ミカサ、アルミン、悪い、先に寮へ戻っとく」
立ち上がって訓練へ向かうために寮へ戻ることにした。
、というのは建前だ。実際には殺意が抑えられそうになかった。
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バキッ!!
俺は木を殴りつけることによって気持ちを発散させた。
手を戻すと僅かに凹む木が目にはいる。
「ふう、頭冷やさないとな」
俺は空に見上げながらそう呟いた。
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