万華鏡
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第七十二話 三学期その十二
「カレーは相当に広い世界なのよ」
「ハヤシライスと比べても」
「そう、違うのよ」
「そういうことなのね」
「けれどハヤシライスね」
今度はハヤシライスのことを話した景子だった。
「あれもいいのよね」
「そうよね、悪くはないわよね」
「そう、美味しいわ」
「それは否定出来ないわよね」
「カレーライスとは確かに大きな違いがあるけれど」
それでもだと話してだった、景子は話しながら述べていた。
そしてだ、そうした話をしてだった。
ふとだ、こんなことを言った景子だった。
「今度私も食べてみようかしら」
「明日にでもここで食べる?」
里香が言ってきた、五人が今いる食堂でだ。
「メニューにもあるから」
「そうね、いいわね」
「美味しいことは確かだから」
「いいわね、それじゃあ」
「私も食べようかしら」
里香もこう言うのだった。
「ハヤシライス」
「そうよね、いいわよね」
彩夏も言うのだった。
「そういえば最近私ハヤシライス食べてないから」
「そうでしょ、思ったより食べないから」
「カレーの方がどうしても多くなるから」
「たまにはね」
「ハヤシライスもね」
「食べることも悪くないわね」
こうした話をしたのだった、そのうちに美優も加わってだった。
四人はハヤシライスを食べることにした、しかし。
ここでだ、琴乃がこう言ったのだった。
「私は昨日食べたから」
「ああ、琴乃ちゃんはな」
「そう、だからね」
それでだと言う琴乃だった、美優に微妙な顔になって返す。
「明日ハヤシライスを食べるのはね」
「ちょっと、だよな」
「今晩もだから」
ハヤシライスを食べるというのだ。
「だから明日もっていうのはね」
「ちょっとあれだよな」
「ええ、いいわ」
「その辺り難しいよな」
「三日続けてはね、カレーライスでもね」
こちらも出してだ、微妙な顔に笑って言った琴乃だった。
「飽きるから」
「だよな、ハヤシライスも結構味が濃いし」
「強い味よね」
「結構以上にな」
「だからね、三日続けてハヤシライスはね」
辛いというのだ。
「その時の気分によるけれど」
「いいんじゃね?何食わないといけないとかないしさ」
そうした決まりは最初からない、だから美優もこう琴乃に返す。
「それならな」
「そうよね。それじゃあね」
「ああ、あたし達は明日ハヤシライスここで食うけれど」
「私は私で」
「好きなもの食えばいいさ」
「そういうことよね」
「食いたいもの食えばいいんだよ」
その人がその時に、というのだ。
「だからさ、明日も五人でここで食おうな」
「それじゃあね」
こうしたことを話してだった、そのうえで。
五人はこの日の昼食を一緒に食べた、そしてその次の日だった。
琴乃はハヤシライスを食べていた、他の四人も同じだがそれでもだった。
美優は首を傾げさせて琴乃にこう問うた。
「三日連続だよな」
「ええ、昨日の夜も食べたわ」
はっきりとだった。琴乃は美優の問いに答えた。
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