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美しき異形達

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第八話 土の忍者その二

「お互い力の持ち主だしね」
「そうなのね。では菊さん」
「うん、それでいってね」
「貴女のご家族もいい人達なのね」
「ええ、それは菖蒲ちゃんの家族もよね」
「実の家族よ」
 菖蒲もこう言うのだった。
「血がつながっていないだけれど」
「そうそう、私にしてもそうなのよ」
「幸いなことにね」
「じゃああたしは院長さんが親か」
 薊も薊で言う。
「そう思っていいな」
「いいんじゃない?少なくとも薊ちゃんも寂しい思いしていないでしょ」
「ああ、全くな」
 何一つとしてだとだ、薊は菊に答えた。
「生まれてこのかたな」
「孤児院にいたのよね、横須賀の」
「八条グループが経営してるな」
「そこで皆と仲良く暮らしていたのよね」
「全然寂しくなかったな」
 実際にそうだったと答えた薊だった。
「本当にな」
「お互いそこは幸せみたいね」
「実の親がわからなくてもな」
「案外一緒の親だったりしてね、私達」
 笑ってこんなことも言った菊だった。
「ひょっとして」
「あはは、力も持ってるしな」
「それでね」
「若しそうだったら面白いよな」
 笑って応えた薊だった。
「そういうのも」
「そうよね」
「まあとにかく菊ちゃんは幸せなんだな」
「お兄ちゃん達もずっと優しいしね」
「一人娘になるのね」
「そうそう、お父さんもお母さんも女の子も欲しかったらしいから」
 菊は菖蒲にも話した。
「それでなのよ。可愛がってもらってるの」
「それで忍術も教わったのね」
「そうよ。身体の動きがいいに越したことはないからって言われてね」
 それでだというのだ。
「物心ついた頃から教えてもらったわ」
「それで忍術を身に着けたの」
「そうなのよ」
 こう二人に笑顔で話す菊だった。
「土遁の術以外にも全部使えるわよ」
「水遁とか火遁もか」
「そうした術も」
「一番得意なのは土遁だけれどね」
 やはりこれが最も得意だというのだ。
「それでもね」
「土遁ねえ」
「そして力も」
「土なのよ。結構色々使えるわよ」
「そうか、じゃあな」
「これからのことだけれど」
「一緒に戦おうかっていうのよね」
 菊の方から二人に言ってきた。
「そうよね」
「ああ、駄目か?」
「一緒に戦っていいかしら」
「一人でいるより三人の方がいいからね」
 断ることはしなかった、菊は。
 笑顔でだ、こう二人に答えたのだった。
「頼むわよ」
「ああ、じゃあな」
「宜しくお願いするわね」
「最近何か訳のわからない化けものが出て来て困ったいたのよ」
「そうそう、怪人な」
「あの連中のことは今調べてもらっているわ」
 二人は菊に彼等のことも話した。 
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