ソードアート・オンライン stylish・story
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最終話 stylish・story
前書き
最終回です。少し寂しい気もしますがよろしくお願いします!!
ALO中心都市アルン付近上空で一つの人影が通り過ごす。早いがどこかに向かっている訳ではなさそうだ。
そして勢いを付け、さらに高度を上げる。さらに高く、このまま行けば宇宙空間に出てしまうかもしれないと思わせる程だ。しかし・・・
ビーー!!!
高度の限界値が来てしまったのか警告音が鳴り響き、
その影はそのまま落下を始めたが再び羽を広げ飛ぼうとはせずに重力に身を任せ、ドンドン降下していった。このまま行けば地面か水面に激突するのは間違いなかったが、その影を受け止めるもう一つの影が出てきた。
「何やってんだ?リーファ」
その影の正体は紫のロングコートを纏い、腰には日本刀を差していたインプ・・・シュウだった。そしてシュウに受け止められたのはシルフのリーファだった。
「もうすぐ約束の時間だったから迎えに来たぜ?」
「そっか。ありがとう、修也さ・・・シュウ君」
そう言うとシュウはゆっくりリーファを降ろし、彼女も自分の羽で宙に浮いた。
「ねぇ。シュウ君はSAOのアバターにはしないの?」
現在のALOは正式な会社が運営を始めたが他のオンラインゲームからのコンバートは可能だった。SAO帰還者の殆どはアバターをSAOの時と同じ物にしているがキリトとシュウはALOのままだった。またキリトに至ってはステータスを一からリセットしてしまったみたいだった。本人は『SAOのキリトの役目は終わった』と言っていた。
そしてシュウは・・・
「俺はSAOよりもALOのアバターの方が好きだからな。まあステータスはSAOで生きていた事を忘れないためにこのままだけどよ」
「そうなんだ」
シュウ自身も何か考えがあっての事みたいだった。
「それにしても落ちてる時なんか心此処に在らずって感じだったが何かあったのか?」
「そ、そんな事ないよ?私はただ・・・」
「今日のオフ会の事・・・引きずってるのか?」
実は今日の学校の放課後、エギルの店でSAO攻略の祝賀パーティが行われていた。メンバーはキリトとシュウを中心とした親しみのあるメンバーだった。
その中にはかつてキリトが自分の事を偽って所属していた【月夜の黒猫団】のメンバーも来ていた。そのギルドは誰一人欠ける事無く無事にリアルに復帰出来たみたいだった。シュウのアドバイスを元にゆっくりレベルを上げて最下層の協会の手伝いを主にやっていたらしい。
そんな中で溶け込めていない人物がいた。それはリーファだった。自分はSAOと何の関わりもないのにここに居る事が可笑しいと思っていた矢先、シュウがそれを察してみんなの中に引き込んだのだ。しかし彼女自身はSAO帰還者と自分との距離感があまりに有り過ぎている事を感じていた。
「そうだね・・・遠すぎるよ。シュウ君やみんなのいる所は・・・私じゃとても追いつけない」
リーファはそう言うと目から一つの雫が零れる。それは自分だけが一人ぼっちと言う孤独感と何故自分の場所がそこにはないのかと言う悲哀感からによるものだった。
「確かに。だがリーファはどうしたいんだ?ずっとこのままで、SAOメンバーと一緒にならなくて良いのか?」
「なりたいよ!!でも私は・・・」
「なら俺を頼れ、リーファ」
シュウの質問にリーファは食いつく様に鋭くそして弱々しく答えたがシュウはそれをいなし、リーファを優しく抱きしめて頭を摩る。
「シュウ・・・君?」
「道が遠いのなら縮めれば良い。一人じゃ出来ないと思ったら頼れば良い。お前は一人じゃない、俺やキリトがいるだろ?」
自分の事は自分で解決しようとしていたリーファは自分には恋人のシュウや兄であるキリトがいると言う事を頭の中に過ぎらせ、ハッとした表情になる。
「一つの【点】でも、それが積み重なると一つの【線】になる。俺にも手伝わせてれよ?リーファの道と言う【線】を作るための一つの【点】に」
少しギザっぽい言い方だがシュウは曇りのない真剣な表情でリーファを説得していた。
彼女もシュウの胸の中で目線を彼に向けていた。
「・・・うん。もっと頼るよ。私もみんなと一緒に居たいから」
「ああ。任せろ!(やっぱ、リーファは笑顔が似合ってるぜ)」
リーファはシュウから離れ目に溜まっていた雫を指で拭うと満面の笑みでそれを返した。どうやら彼女自身の悩みもシュウと一緒ならば頑張っていけると察したのだろう。
「あっ!そうだ。シュウ君!踊ろっか?」
「What(何)?そう言うシステムあったか?」
「ううん。違う違う。これは私が開発した高等テクだよ。良い?ホバリングしたままゆっくり横移動するんだよ」
「ホバリングしたままゆっくり横移動・・・」
シュウは目を瞑り神経を集中させ、言われたように羽を動かすと横に滑るように体が動いた。例えるならアイススケートみたいな動作だ。
「そうそう!上手い上手い!」
リーファはポーチから小瓶を取り出しそれを開封すると中から星屑のようなキラキラ光る粒子みたいなものが出てくるとシュウとリーファを包み、一つの舞台へと誘った。
そしてシュウは動作に慣れ、何かを思いついたのか膝まづき右手を差し出す。
「Shall we dance?Princess(一曲踊ってくれませんか?お姫様)」
「喜んで♪」
リーファは笑顔でシュウの手を取る。
ダンスは初めてなのか基本的な事しか出来なかったがシュウは懸命にリーファをリードするように踊った。そして踊り始めてから数分後一段落したのか一旦羽を休める。それと同時に0時を表す鐘の音がALOに響いた。
「そろそろか」
「そう言えば今日は何があるの?シュウ君」
オフ会の後0時にアルンの上空に集合と言われていたが事の詳細は聞かされていたなかった。リーファが訪ねた途端、周りが更に暗くなった。夜という事で暗いのは当たり前だがさらに暗くなるのは不可解な事だった。
「来たぜ!!」
シュウが指さした方には真夜中を照らす大きな月を遮りながら『それ』は現れた。
「まさか・・・あれは」
リーファは見覚えがあるのか声を漏らす。それはかつてシュウ達が居た所・・・SAOの象徴とも言われた巨大な城・・・
「そうだ。あれが【浮遊城アインクラッド】だ!!」
「でも、どうして!?」
「決着を付けるためだ」
キリトがヒースクリフを倒しSAOをクリアした事は紛れもない事実だがそれはあくまでも75層によるもの。つまり75層以上の攻略はまだ行われていなかった。
「完全攻略・・・奴との決着はまだ付いてねぇ。だから・・・」
そう言うとシュウはリーファの頭にポンと手を乗せる。
「リーファ。アインクラッドの攻略は半端なモンじゃない。みんなが団結されて初めて出来る事なんだ。手伝ってくれねぇか?」
シュウの言葉には別の意味があった。アインクラッドであった事をリーファに知ってほしい、またこれを機会にSAOメンバーと溶け合って欲しいという願望もあった。
リーファはそれの意味を理解する事は出来なかったが頼られる事の嬉しさ嬉し涙を流す。
「うん。行くよ!何処までも・・・一緒に!」
そして二人がアインクラッドに近づこうとすると・・・
「お~い。遅ぇよ!シュウ」
サラマンダーで腰に刀を差したクラインを先頭にノームで大きな戦斧を担ぐエギル、ピナを連れたケットシーのシリカ。そしてレプラコーンのリズベットの隣にはシュウと同じインプで大剣を背中に差したプレイヤーが居た。それに引き続きユリエールと彼女と入籍したシンカー。教会でお世話になったサーシャ。その他にも周りには様々な種族の妖精達がアインクラッドに向かって羽を羽ばたかせていた。
「ほら置いてくぞ!」
「お先!」
「ほら!」
「早く!」
クライン、エギル、リズベット、シリカの順番で二人の横を通り過ぎていく。そしてインプのプレイヤーがシュウと向き合う。
「久しぶりだな、ルート。右腕はもう大丈夫なのか?」
「それオフ会の時にも聞いたぜ?アンタ。リアルでもALOでも問題なしだ。全力で攻略に望めるぜ」
「それを聞いて安心した。これからよ「ルート!置いてくよー」挨拶はまた後で良いか。ほら行けよ。恋人が呼んでるぜ?」
「うっせぇ・・・」
ルートと呼ばれた男子はリズベットに呼ばれている事を察し、顔を赤らめながら彼女の元に急いだ。そして今度はウンディーネのアスナとスプリガンのキリトが近寄ってきた。
「さあ、行こう。シュウ君、リーファちゃん」
「リーファの腕前、頼りにしてるからな」
アスナに差し出された手にリーファはコクンと頷き、その手を取る。キリトのポケットからピクシー状態のユイが出てくるとシュウの左肩に座る。
「ほら行きましょう!おじさん!」
「そのおじさんってのはもう慣れたぜ、ユイ」
シュウは苦笑いを浮かべながら頬掻きながら、アインクラッドを見据える。
シュウ自身には再びアインクラッドを攻略できる事に嬉しさを感じていると同時にこの世界・・・オンラインゲームの醍醐味を再び味わっていた。
「本当に・・・楽しすぎるぜ!この世界はよ!!」
シュウは羽を広げ、飛び立つとこう言い放った。
「I'm absolutely crazy about it(楽しすぎて、狂っちまいそうだぜ)!!」
ソードアート・オンライン stylish・story 完結
後書き
と言う訳で完結です!!
約一年間でしたが愛読して下さった方々誠にありがとうございました!!
中には分かった人もいると思いますが次の物語の布石も書いてありました。デビルメイクライをプレイしてきた方々なら次はどんな物なのか分かると思います!!
その物語はに僕のオリジナルとなるので投稿は遅くなると思います。そして万死の方を再開したいと思います。これからも長らくの付き合いよろしくお願いします!!
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