ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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猛炎の将VS龍の魔術師
少年が視線を注ぐところには大きなクレーターが存在していた。そこは先程まで木が生い茂っていた森林地帯。
しかし少年の踵落としによって墜落したユージーンによってそこ一瞬にして姿を変えた。煙の中から昇ってきたユージーンは苦虫を噛み潰した表情を浮かべている。
『クッ、パワーで私が劣るとは・・・。コイツ、相当できる!!』
「さあ、はじめようか」
「貴様、何故羽を広げないで浮いていられる?」
「それは企業秘密で♪」
少年は人差し指を口の前に寄せた。その姿は何処と無く謎目いた雰囲気を感じさせる。
「フン、まあいい・・・」
ユージーンは剣を構える。
「ここで貴様を斬ることに変わりはない!」
「《魔剣グラム》か・・・、さすがは《猛炎の将》。厄介なものを持ってる・・・」
「怖じ気づいたか?」
「いいや・・・」
少年は拳を構えるその表情は確認できないが口元は笑っていた。
「久々にワクワクしてるぜ!!」
少年は両拳を力強く合わせる。銀のガントレットは小さく火花を散らし、光を放った。
「行くぞ!!」
「押して参る!!!」
両者同時に動き出す。ユージーンの刃と少年の拳がぶつかった瞬間、奇妙な現象が起こった。
「何故、ダメージが通らない!?」
「それは、コレのお陰だよ!」
刃を弾き、いったん後退する。
「流石に重いな・・・、しょーがない。いくぞウロス。狙撃!」
『ギャアッ!!』
少年はそう言うと目の前にボウガンが出現した。
「ボウガンだと?距離を取る気か、だがしかし!」
「ショット!!」
少年は矢を放った、しかし放たれた三本の矢をユージーンはいとも簡単にかわした。
「こんなものでは倒せんぞ!」
ユージーンは少年に向けて刃を向ける。
「・・・そうだな、確かにこんなちゃちな矢じゃアンタは倒せない・・・。だからはずした」
「何ッ!?ガハッ!!」
直後ユージーンに意図しない衝撃が襲った。体勢を崩すユージーンを見ながら少年は言った。
「まだまだくるぜ」
「ッ!!どうなっている!?」
今度は側面から衝撃が襲う。
「チェック」
「・・・まさか、貴様。矢を・・・」
「流石、たった二撃で見破るとは・・・だが、少し遅かった」
次の瞬間、一本の矢がユージーンの胸を貫いた。
「グッアアアア!!!」
紅蓮の炎へと姿を変えたユージーンはそのまま重力に従い落下していった。その姿を見ながら少年は最後に指を鳴らし、言った。
「チェックメイトだ」
悠然と眺めている少年の姿にある者は思い出したかのように言った。
《龍の魔術師》と───。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「よもや、貴様が龍の魔術師とわな・・・」
「そんな呼び方されてるとわね~、はじめて知った・・・」
復活した、ユージーンの一言に少年は苦笑する。
「世界は広いということか・・・。おい、龍使い」
「ん?」
「貴様、本当にそこのスプリガンの連れなのか?」
「ああ、諸事情で戦線から外れていたがな・・・」
「・・・そういうことにしておこうか、次は負けんぞ!」
ユージーンは拳を突き出した、少年も拳を合わせた。
「次も勝つぜ!」
その後ユージーン率いるサラマンダーの軍勢は去っていき、その場にはシルフとケットシーの集団、そしてスプリガンの少年と龍使い(?)が残った。
「さて、早速聞かせてもらおうかな龍使い殿?」
「・・・何をですか?」
「君が何故、ユージーン将軍に対してあのような質問をしたのかを・・・」
それは、ユージーンたちが引き上げる前。龍使いはある質問をした。
『天空都市に住む騎士について知っているか?』と、
その質問に対してユージーンは噂だけならと答えて言った。
シルフの領主、サクヤは疑問に思っていた。
「何故、天空の騎士について聞いたのだ?」
「疑問に思ったんですよ、どうして天空都市なんかに騎士を置くのか」
「どうしてってそんなのクエストなんだからどうしよも・・・」
「確かにそうだ、ならどうして最初からやらない?」
「最初から?」
「グランドクエストは無数の騎士を払いのけて突破する。なのに誰もクリア出来ないまま天空の騎士を配置した、コレじゃあ明らかにプレイヤー側は不利になる。ゲームバランスが崩れるのもいいとこだ・・・」
「あッ・・・!」
リーファはハッとなった。龍使いはさらに続ける。
「天空の騎士が配置されたのはここ数週間前、いまだ無敗のクエストの難易度を上げるのは何故か。仮説はいくつかある。一つ、運営側の悪ふざけ。二つ、新しいプログラムの運用テスト。三つ、時期的にプレイヤー達のレベルが上がってきたからその対応。恐らく二つ目が最もあり得るやつだろうな、だが俺はそれよりも天空の騎士について疑問に思った」
「天空の騎士?」
「ああ、はじめはCPUがやっているんだろうと思ったが、他にも仮説ができた」
「仮説?」
「一つ、さっき言ったようなCPU。二つ、俺たちと同じ人間が操作しているアバター。そして三つ・・・」
次の瞬間、龍使いは衝撃的な一言を口にした。
「マインドコントロールされた人間が操作しているアバター」
「ッ!!マインドコントロールだと!?」
「あくまで仮説だ、確証はない。だが可能性はある。」
「根拠は?」
「これだ」
龍使いはキリト、リーファ、サクヤ、アリシャにあるメッセージを送った。それを見た四人は驚愕した。
「これは・・・!?」
「嘘だろ・・・!?」
「そんな・・・」
「ウソ・・・」
「コレがもし本当なら、下手をすれば全種族で向かうしかない。その時は力を貸してほしい」
龍使いは頭を下げた。その姿にサクヤは苦笑する。
「はじめからそのつもりだよ、今さらお願いされることじゃない」
「すまない・・・」
「謝るな、しかし時間が欲しい。しばらく待ってはくれないか?」
「分かった、できるだけ多くの兵を寄越してくれ。さて、そこのスプリガン。キリトと言ったかな?」
「ああ」
「お前に伝えておく、怒りに任せて剣は振るなよ。太刀筋が鈍るぞ」
「ッ!・・・分かってる」
「ならいい、それともう一つ・・・焦るなよ・・・」
「お前・・・」
「じゃあな!」
「あッ、おい!」
龍使いはその場を飛び去って言った。
『いいのかい?本当の事を言わなくて?』
「ああ、いつか嫌でも話すときが来るさ。それに今伝えるべきことは伝えた」
『コレで少しは増えるといいのだがな・・・』
「増えてくれないと困る。ヤツの、オベイロンの計画を潰すためには・・・」
『楽しそうだな』
「そうか?・・・まあ、確かに」
龍使いの口元は笑っていた。いや、ニヤついていたというほうが正しい。
「久々に本気で戦えそうだからな♪」
『お前、今物凄い悪い顔しているぞ・・・』
「誉め言葉だ!さて、こっちはこっちで動くぞ!」
『了解!』
龍使いはさらに加速する。そして、計画は次の段階へと移行する。
「待ってな須郷、もうじきテメーの首を捕りに行ってやるからな!!」
後書き
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ではでは~三( ゜∀゜)ノシ
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