とある彼/彼女の籠球人生
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第三話
前書き
先ずは一言謝罪を。
すいませんでした。
もしかしたら感想拒否状態になっていたかもしれません。感想ほしいとか言っておきながらこの様とは……。
一応設定を弄って拒否状態を解除出来ているとは思うのですが……。
本当に申し訳ありませんでした。
「最近の子は凄いなぁ。そうは思わないか?」
「うん……そうだね……」
「朱里も何かやってみたらどうだ? バスケなら教えてやるぞ」
「考えとくよ……」
はじめまして、小学五年生になりました、篠沢(しのざわ) 朱里です。
ところで、突然ですが皆さんのお父さんはどんな方でしょう。私のお父さんは学生の頃バスケをしていて大きな大会にも出たことがあるそうで、たまに昔の自慢話で聞くことがあります。なんでも子供の頃ビデオで見たバスケの世界大会の日本代表として出た人達に影響を受けて始めたそうです。大きいお父さんより更に大きい人や眼鏡をかけた人が格好良かったそうです。どちらも病気や事故で亡くなっているそうですが、どんな人達だったんでしょう。
でも、私としてはむしろお父さんにバスケを止めてほしいとも思っていました。
二年生の時見た世界の衝撃映像という番組で、バスケの試合中に空中で二人の選手がぶつかり片方の人が運ばれていく大怪我をしてしまいました。そしてそれを見た私はお父さんにクラブのバスケを止めてほしいと泣きついたことがありました。ただ、その時お父さんは私の頭を撫でて「まだ夢を見てたいんだ。すまないな」と言っていたのを覚えています。
「そういえば二人とは同じ学年だろう?
話したりとかしないのか?」
「でもクラスも違うし、話す理由も無いし……」
そんなお父さんですが、大体二年ぐらい前から晩ご飯になると、よく同じ学校の人達の話をするようになりました。
水無月 夏音さん、日神楽 皐月君。
クラスこそ違いますが、学年では有名な二人です。水無月さんはよく目立ちます。なにせ大きいです。学年どころか学校中の生徒の中でも目立ちます。以前月一の全校生徒が集まる朝礼の時、横に並んだことがありますが見上げるほどです。同い年などと、とても信じられません。
ですがこの二人が有名なのは水無月さんが大きいからだけではなく、運動全般が得意だからです。
学校の部活やクラブに入っている子からも勧誘を受けています。水無月さんは全部断っているそうですが、日神楽君だけ野球クラブに入ったそうです。ただ、二週間もすると「合わない」と言って止めてしまったらしいですが。
え、随分詳しい? 友達が話していました。日神楽君はいつも水無月さんに怒っている印象がありますが、女の子には優しいらしく憧れている子は多いみたいです。私の友達もその一人で話しかける機会を窺っているようですが、未だに話しかけたことはないようです。まぁ、隣にあんな大きい人が居たらしょうがないですよね。私も怖いです。
「そうなのか? 前に体育館に行ったんじゃなかったか? そん時に話したと思ったんだが……」
確かに去年、お父さんのいるバスケのクラブが借りている体育館に行きました。けれどその時は話しかけられる空気ではなく、入口から覗き込むだけで終わりました(しかも日神楽君に見つかりました)。
けれど━━━━。
「なにか……キッカケでもあればなぁ……」
なんとなく……なんとなくですが話せなかったのが残念な気持ちはあります。
友達が「日神楽君はなんとなくカッコいいんだよ」なんて曖昧なことを言っていましたが、今ならその気持ちが少しだけ分かります。シュートに集中する日神楽君は確かに格好良かったです。その代わり水無月さんへの恐怖度も上がりましたが……。あんな大きな男の人に自分からぶつかっていくなんて、私にはまずできません。
「だったら、やっぱりバスケをやってみたらどうだ? 同じことをしていれば話には事欠かないだろう」
お父さんがさっきと同じ提案をしてきましたが、今度は少し深く考えてみましょう。
そういえば、以前廊下で日神楽君も水無月さんに同じことを言っていました。
『だからな……お前にダチが出来ないのはバスケの話しかしないからだって。なんか無いのか? ファッションの話とか』
『そう言われてもなぁ……私からすればあの子らの会話は異次元の会話にしか聞こえん。なぁ、皐月、“こすめ“ってなんだ?』
『いや……俺に聞かれても……。ファッション誌とか借りてみたらどうだ?』
『いや、でも……デ○ッド・ロ○ンソンとか載ってないだろ?』
『お前は何時の時代の人間だぁ!? って、ゆうかファッション誌にそんな人らが載ってるか!!』
『じゃあ読まないよ』
『ぬがぁ!!』
何故でしょう……。バスケに詳しくなっても水無月さんとばかり話が弾みそうな気がするのは?
いや! 何事も先ずはキッカケです!! もしかしたら水無月さんから日神楽君とも話すキッカケになるかもしれません!
「それじゃあ━━━━」
もしも……もしも何十年経ってもこの時の事を思い出せるなら━━━━。
「……あれ……?」
日曜日に私がお父さんに連れて来られたのは何故かいつもお父さん達が使っている体育館とは別の体育館。
「よく来たな新入り!」
「新入り!」
「私の名前は日暮 琴那!」
「琴覇!」
仁王立ちで私を出迎えてくれたのはまったく同じ背丈と顔をした女子ミニバスケットクラブの“自称エース“のお二人。
「来年の全国大会に向けてビシバシ鍛えてやるからな!」
「やるかりゃっ……!? はんだ(噛んだ)……」
「そもそもなぜ私はここに居るのでしょう?」
━━━━きっと私は過去の自分に苦笑いを浮かべているでしょう。
まさか男の子に話しかけたいがためにバスケをやろうと思った決断が、一生の友人達を得るキッカケになるとは━━━━。
「目指すは世界!!」
「ことにゃ(琴那)~~……ひはい(痛い)~~……」
━━━━そんな子達と本当に世界を目指す事になるなんて……。
想像すら出来なかったでしょう。
後書き
以上で第三話になります。
本編というよりは番外編みたいなものですね。だ、大丈夫! 次はバスケします!
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